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写真の「チカラ」#19 助川康史

約3分

鉄ちゃんな人生

終わりのない夢の続き……。それが僕にとっての写真の「源」だ。 幼い頃は、電車の運転手になりたかった。鉄道はまさに憧れの対象だった。写真は小学校2年生頃から撮っていた。だから、自分の好きなことに「向き合える」ツールこそがカメラだ。今で言う編成写真を撮りまくり萌える日々(笑)。鉄ちゃんとしての王道な時間を過ごす。そして、中高生のときは、部活で野球をやっていたので少し写真から離れることに。大学生になって、本格的にカメラを勉強しようと思った。そんなときにマンネリ化している自分の写真に少し飽きていた。「変化がほしい」そう思ったときに、風景写真も撮り始めたのだ。独学で学ぶことの難しさを感じながらも、著名な写真家の作品を見ることで触発され、撮り続ける。そういうことの積み重ねが、着実に僕を成長させてくれた。

自分を変化させ、進化させてくれるもの

そして鉄道写真家・真島満秀氏の写真に感銘を受ける。鉄道写真の撮り方の常識を覆す写真の数々を作品として残し続ける真島氏の手法に惹かれ、逆光での撮影を積極的におこない、編成写真ではないイメージ写真のような鉄道写真を撮るようになった。なによりもそういう写真を撮ることが「楽しかった」のだ。また今までとは違う撮り方をすることで、小さなことにも気付けるようにもなり、視野が広がった。それは自分の写真の作品性が広がったことを意味する。
撮影していると、ふと思うことがある。変わりゆく時間とそこにいる人々との出会い。それは、まさに「一期一会」だ。写真のチカラでもあり、写真にチカラを与えてくれるのは、そういう出会いなのかもしれない。写真はいい。撮る側にも見る側にもそれを見抜く力が必要だ。そういうとても人間らしい時間を過ごすことは、写真家には必要なのかもしれない。


助川康史  すかがわ・やすふみ

東京生まれ。秋田経済法科大学法学部、東京ビジュアルアーツ写真学科卒業後、鉄道写真家の真島満秀氏に師事。鉄道車両が持つ魅力だけでなく、鉄道を取りまく風土やそこに生きる人々の美しさを伝えることをモットーに日本各地の線路際をカメラ片手に奮闘中。鉄道ジャーナルや鉄道ダイヤ情報などの鉄道趣味誌や旅行誌の取材、JTB時刻表(JTBパブリッシング)やJR時刻表(交通新聞社)などの表紙写真を手掛ける。またJR東日本などの鉄道会社のポスターやカレンダー撮影も精力的に行っている。日本鉄道写真作家協会(JRPS)理事。(有)マシマ・レイルウェイ・ピクチャーズ勤務。

※プロフィールはニコンサイトから抜粋