orphotograph

写真の今がわかるWeb情報マガジン

Sony α7Ⅲ SHOOTING REPORT

約 6 分
Sony α7Ⅲ + Sonnar T* FE 35mm F2.8 ZZA・1/2500秒・f2.8・ISO100・絞り優先モード

高いトータルバランスが味わえるフルサイズカメラ

2018年3月に発売したSony α7Ⅲ。すでに上位機種に該当する「R」シリーズは第四世代に突入している。このカメラはフルサイズセンサーでありながら、価格が非常にリーズナブル。これからミラーレスカメラでデビューをしたい人にもおすすめできるカメラだ。メディアでのインプレは「R」シリーズが多く、あまり注目を浴びていないように感じるかもしれないが、むしろα7Ⅲのほうがトータルバランスのいい扱いやすいカメラだ。
有効画素数約2400万画素のセンサーのためデータの取扱いが非常にしやすい。RAW派の人でAdobe LMなどで現像処理を行いたい場合にもサクサクと作業ができるし、パソコンのHDDがすぐにいっぱいになることがない。まさに死角の少ないカメラだ。
ポートレート撮影で実際に使用してみた。色づくりの方向性はやや黄ばみが強い印象はあるが、全体的に良好な発色とフルサイズセンサーならではのダイナミックレンジの広さは、RAW派の人におすすめできる。特に暗部の色情報の豊富さは際立っていて、あとから持ち上げてもしっかりと色データがあるため、破綻の少ない調整が可能。人肌表現に関してもとても自然で健康的な色合いだ。
カメラの操作性に関しても第二世代と比べて大幅に改良された。撮影時の操作感アップに貢献しているのが、新設したマルチセレクターだ。撮影中、フォーカスエリアをノールックで自由自在に移動することができ、今までのように2プッシュ以上の操作が必要になるケースが激減。移り変わる被写体の表情や動きに合わせて、AFポイントを細かく動かすことができる。また背面液晶モニターがタッチパネルになったことで、より直感的な操作がしやすくなった。

Sony α7Ⅲ + FE 85mm F1.8 ・1/125秒・f2.8・ISO100・絞り優先モード

カメラとしての性能は申し分ない

また、AI技術を活用した「リアルタイム瞳AF」はポートレート撮影時にとても重宝する機能だ。画面内にいる被写体の瞳を自動検出。シャッターを半押し状態でリアルタイムに瞳へピントを合わせ続けてくれるので、構図に集中できる。昨今のポートレート撮影ではいわゆる「日の丸構造」のような写真は少なくなり、被写体が隅の方に配置されていたりする写真をよく目にする。これはミラーレス化がもたらした新しい構図だと思うが、こういうシーンでもしっかりと瞳を捉えてくれるのはいい。α7Ⅲは撮像領域の約93%で像面位相差AFが使えるため、四隅を生かした構図が作りやすく、自分らしい作品を作り上げるのに貢献してくれる。
連写性能に関しては、最高約10コマ/秒のAF/AE追随高速連写が可能なため、動きの激しい被写体の決定的瞬間を逃すことなく撮影可能。さらに非圧縮RAWでも約40枚の連続記録が可能なので、いわゆる「待機」で撮れないということが少ない。本当にストレスの少ないカメラなのだ。

Sony α7Ⅲ + Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA ・1/4000秒・f1.8・ISO100・絞り優先モード

設定されているレンズ群がどれでも高性能

基本性能が非常に高いα7Ⅲだが、ソニーの強みはボディーだけではない。その人気の秘密はレンズ群の豊富さとその高い光学性能だ。ソニーのカメラにはAマウントとEマウントという2つの規格が存在する。このカメラに対応しているのはEマウントレンズのほうだ。純正レンズだけでも単焦点レンズ、ズームレンズなど50種類以上あり、さらにシグマ、タムロンなどの他社製レンズをいれれば、さらにその数は増える。
プロカメラマンにとって選べるレンズが多いということは、その分表現の引き出しが増えることを意味し、より自分のイメージを具現化することに貢献している。特に筆者がおすすめなのがSonnar T* FE 55mm F1.8 ZAだ。焦点距離が55mmとほぼ標準域の明るいレンズで、初めて買うレンズとしてはとても使い勝手がいい。このレンズをおすすめする理由はズバリその「大きさ」だ。どんなに光学性能が優れていても「でかい、重い」では、ミラーレスカメラの利点をスポイルしてしまう。しかしこのレンズの重さは約280㌘とかなり小型かつ軽量。それでいて、開放値でのピント面はかなりシャープなので、積極的に開放値を使っていけるレンズ。それでいて防塵防滴性能も備わっているというのだから、まさにα7Ⅲのために存在するレンズだ。 またGマスターシリーズのレンズに関しても非常に光学性能が高く、どんなジャンルでも活躍できるレンズで、癖のない美しい描写をするのが特長だ。

Sony α7Ⅲ + Sonnar T* FE 35mm F2.8 ZZA・1/800秒・f2.8・ISO100・絞り優先モード

好き嫌いが「はっきり」するカメラ

改良点は他にもある。α7Ⅱよりも大容量になったバッテリーを採用したことで、1日の撮影でも2本あれば十分に対応でき、今までの「小さめ」なバッテリーのときとは雲泥の差だ。さらに、約5段の補正効果を実現できるボディー内5軸手ブレ補正機構を搭載していることで、夜間時の撮影や超望遠レンズを用いた撮影も比較的簡単にできてしまう。もう至れり尽くせりのカメラだ。 唯一の弱点といえば、そう「優等生すぎる」ことだろう。男女間で言うならば、あまり優等生と付き合ってしまうと、完璧すぎてスパイスが足りず、飽きてしまうことはないだろうか。これだけ完璧なカメラだからこそ、「ここがすごい」や「ここだけは負けない」という点がないのだ。それは良くも悪くもフラットなカメラであり、使いこなす醍醐味や楽しさをスポイルすることがある。「じゃじゃ馬」なクルマをねじ伏せて使いこなせるようになったときの感動……のようなものが筆者には感じられなかった。もちろん、出来のいい子がかわいい親もいれば、できの悪い子のほうがかわいいという親もいる。どちらが「正解」ということはない。要は自分に合っているかどうかだ。逆にこのカメラを最初から手にしてしまうと、他のカメラは触れなくなる!?かもしれない(笑)そういう危険をはらんだ「凄い」カメラだ。

Sony α7Ⅲ + Sonnar T* FE 35mm F2.8 ZZA・1/1250秒・f4.5・ISO100・絞り優先モード

ここで紹介している商品はコレ!


撮影・文/大貝篤史
モデル/等々力有咲(ABP所属)

■Sony α7Ⅲ
https://www.sony.jp/ichigan/products/ILCE-7M3/

投げ銭でサポーターになる