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SIGMA Contemporaryシリーズでポートレートを撮る

約5分

7月10日に発売したシグマのLマウント用単焦点レンズを実際にポートレート撮影で試してみたが、
3本揃えているとかなり使い勝手のいいレンズであることがわかる。

待ちに待った念願のレンズ群

シグマから今月発売になったAPS-C用ライカLマウントのContemporaryシリーズである単焦点レンズ3本を使ってポートレート撮影を行った。
まずシグマの「Contemporary」シリーズとはどういうラインアップなのかをおさらいしたい。このシリーズは「描写力とコンパクトさの両立」を図るために、最新の光学技術と一部ボディー側のデジタル補正技術を両立するモデルで、妥協のない写りを実現。単焦点レンズシリーズに関しては、明るい開放値ながらも、レンズはかなり小型かつ軽量。APS-C用、マイクロフォーサーズ用がラインアップされており、そのセンサーサイズに最適な小型化をテーマにしている。APS-Cおよびマイクロフォーサーズを搭載しているモデルは、概して小さい。しかし、明るいレンズを実現するためにはどうしても大型化してしまい、携帯性が著しく落ちる場合がある。しかしそれでは、本末転倒な話だ。それを解消するために生まれたのがContemporaryシリーズというわけだ。

今回使用したのはSIGMA 30mm F1.4 DC DN | Contemporary、SIGMA 56mm F1.4 DC DN | Contemporary、SIGMA 16mm F1.4 DC DN | Contemporaryの3本のレンズ。新規で追加された「L」マウント用なのだが、実は待ち望んでいたレンズで、その理由は、あまり知られていないライカのAPS-Cモデルである「Leica TL2」を筆者は持っているからだ。しかし、TL用のレンズはなかなか高くて手が出しづらい……。なので、M型のレンズをアダプターを噛まして使っていたのだ。ただ、やはりAFが使えないため、テンポの良い撮影ができるわけではなく、静止していることが多いポートレート撮影や、街中でのスナップショットでの使用に限定されていた。今回のレンズを購入したことで、よりアグレッシブな撮影が可能になるのでは?と期待を胸に膨らませながら、撮影に向かった。

ポートレート撮影で撮りたいシーンはほとんど網羅できる

あいにくの天気だったが、逆に積極的に開放値を使った撮影ができた。どのレンズも良くできていて、絞り開放でつかっても描写が甘くなることはなく、ピント面はシャープ。ボケ味は少し硬いかなと感じるが、嫌味のない今どきの「デジタルカメラ専用」レンズだ。とても素直な写りをするので、オールドレンズなど癖の強いレンズを使っている人にとっては少し物足りなく感じるかもしれない。しかし、安定した写りは写真のクオリティーアベレージを上げてくれる。要は非常に「扱いやすい」のだ。

絞り込むと、繊細な描写をしっかり描いてくれるので、風景写真を撮影している人にもおすすめできる(SIGMA 16mm F1.4 DC DN | Contemporary)。レンズ自体の重量もそれほどないので、Leica TL2の小型ボディーに装着しても、十分実用的なサイズ感で収まる。街中でのスナップやポートレートにも最適だ。3本同時に持ち出しても、ショルダータイプの小型カメラバッグにも入る。
AFの精度に関しては、Leica TL2がコントラストAFのみなので、迷うことが多く、あまり効果測定にはならない。どちらかというとボディー側の問題だと思われる。ただ、ステッピングモーターの動き自体はとても速く感じたので、ボディー側のAF性能がいいモデルに装着すれば問題ないだろう。Eマウント用の同製品も所有しているが、そちらは爆速だ(笑)。またあくまでも簡易的だが防滴防滴仕様なので、多少の霧雨程度なら安心して使える。
特に気に入ったのはSIGMA 30mm F1.4 DC DN | Contemporaryだ。35㍉判換算で45㍉相当の焦点距離になるのだが、50㍉よりも少し広いのでスナップポートレートでは扱いやすい。35㍉だと主題がボケてしまう写真も、45㍉だと意図したイメージを汲みやすいのだ。被写体に寄って撮影すれば、f1.4の明るい開放値と相まって「THE PORTRAIT」という写真が撮れる。まさに「足で撮る」レンズだ。

レンズの違いで出てくる背景の圧縮率とボケ味。左が16㍉で撮影したもので、右が30㍉で撮影されたもの。より背景がボケやすいのは30㍉の方であることがわかる。16㍉で撮影するとより自然に感じる

この3本のレンズを揃えておけば、日常生活で撮りたいほとんどのシーンが撮影できるだろう。日常的なカメラを持ち歩く人ほどおすすめしたい。さらにこの3本のレンズは比較的安価なのもいい。学生でも買いやすい価格設定で、3本一気にそろえても、14万円以下(市場価格参照)で揃う。これから本格的にポートレート撮影を楽しみたい人におすすめできるレンズだ。


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写真・文/大貝篤史  モデル/込堂なみ

■シグマ
https://www.sigma-global.com/jp/lenses/

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