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Nikon Z 5 SHOOTING REPORT

約 6 分

撮りたい瞬間を逃さないシンプルで扱いやすいZ 5

ハイクオリティーな撮影が「軽快」にできるカメラ

2020年8月28日に発売予定のニコンのミラーレスカメラ「Z 5」。すでに上位グレードに該当するであろうZ 7とZ 6は発売しており、数回に渡るファームアップで機能が強化され、非常に使いやすいカメラとして定評がある。その流れを組んでのZ 5。否応なしに期待感が高まる。ポートレート撮影をもとに、どんなカメラなのかを紐解きたい。

まず、真っ先に上げたいのは「電子ビューファインダー」の出来だ。他社製のミラーレスカメラを愛用している筆者がもっとも購入基準にしているのがここだったりする。「ミラーレス化」で失われたものは「光学ファインダー」であり、「写真を撮る」ということに関して言えば、まだまだ光学ファインダー派の人はいるだろう。そんな人でも好感が持てるとても鮮明かつ嫌味のない見え方をするのがZ 5のファインダーなのだ。約369万ドットなので非常に高精細に見える。ただチカチカするようなことはなく、とても自然な色合いで長時間の撮影でもまったく疲れなかった。特に動き回るモデルを一緒に走りながら撮影した場合、どうしても自分自身も動くこともあり、ファインダーが不自然に見えることがある。しかし、Z 5に関してはそのようなことはほとんどなく、非常に見やすいファインダーだ。カメラファンにとっては、ファインダーが見やすことは購入する「決め手」になってもおかしくない妥協できないポイントだろう。その点、Z 5は安心して使える見やすいファインダーだ。

また、もう一つの利点はその重さだろう。割り切った設計にすることで無駄な部分がなく、エントリーモデルとして絶対的に必要な部分は残し、無駄だと思われる部分は削がれている。そのことで、重量がとても軽いので、NIKKOR Z 50mm f/1.8 Sを装着した状態で長時間握り続けたが、「重いなー」と感じたことは一度もなかった。グリップ部分が持ちやすい構造になっていることもあるが、これはとても重要なポイントだ。砂浜での撮影などでは、砂が風などで舞い上がることがあるため、機材をあまり置いておきたくない。そんなときは、肩からぶら下げるか、握ったままでいることが多く、どちらにしても軽量であることは体力的に助かる。それでいて、上位モデルと比べても遜色のない「いざ」というときの防塵かつ防滴性能やマグネシウム合金を使用した堅牢性も確保。妥協してはいけない部分をしっかりメーカーが分かっているからこそ、基本ポテンシャルが高い。久々にいいカメラだなと感じた。

Nikon Z 5 + NIKKOR Z 50mm f/1.8 S
Nikon Z 5 + NIKKOR Z 50mm f/1.8 S

AF性能の良さが撮影を楽しくさせる

いざ撮影を開始して「お!」と思ったのがAF性能の良さだ。爆速ではないが、必要十分なスピードで合焦してくれるので、テンポのいい撮影ができる。重宝するのはフォーカスポイントが広いこと。画面の約90%をカバーしていることで、被写体の配置の自由度があがり、フレーミングの制限がほぼ皆無。まさにカメラから「お前の好きなように撮れよ」と言われているようだ。作品作りを行ううえで、フレーミングの自由度が高いというのはとても重要。まさにミラーレス化の恩恵だ。ライブビュー時にはタッチAFが使え、直感的にAFポイントを移動できる。被写体の一瞬の表情を逃さない。

さらに最大の驚きは「瞳AF」だ。モデル撮影などでは重宝する機能だが、この精度とスピードが「半端ない」。オートエリアAFに切り替えて、被写体をフレームインするとすぐさま顔を認識。寄ることで瞳を認識し、さらに左右任意の瞳にAFを合わせ続けてくれる。精度もキャッチするスピードも速く、砂浜を走り回るモデルを追いかけながら撮るシーンでは、フレーミングに100%集中することで、イメージ通りの撮影がいとも簡単にできてしまう。これを一眼レフカメラでやろうとすると……。想像するだけで大変である。さらにボディー内5軸手ブレ補正機構が搭載されていることで、ブレもしっかりと抑えた撮影が可能だ。スタジオなどFIXでの撮影をほとんどしない筆者にとっては、まさに「神カメラ」なのではないか。フルサイズカメラだと日頃からLUMIX S1を愛用している筆者なので、Z 5のボディーとレンズの「軽量さ」はうらやましくもある……。

さらにZ 5は記憶メディアがSDカードのダブルスロットになった。筆者はLUMIX S1を持っている関係上、XQDカードを保有しているが、本来はSDカードのほうが圧倒的なシェアであり、他社製カメラと2台体制にする際にもSDカードスロットのほうが何かと便利だろう。

Nikon Z 5 + NIKKOR Z 50mm f/1.8 S
Nikon Z 5 + NIKKOR Z 50mm f/1.8 S

写真機としてみたら「もうこれでいい」と思う完成度

最新のテクノロジーをふんだんに搭載したZ 5。それでもやはりニコンだなーと感じたのは、その「色づくり」だ。今回はRAWで撮らず、すべてポートレート設定でのJPEG撮って出しなのだが、人肌の表現が非常にうまい。久々に健康的かつ透明感のある人肌表現をJPEG撮って出しで感じることができた。これだけ完成度の高いJPEGデータが撮れるのであれば、全体的な色合いはWBで調整することで、RAWデータの同時取得は必要ないと感じられるほどだ。やはり光学メーカーとして培われた技術を感じる。その技術は、撮り手に安心感とさらなる写欲を生み出させてくれるのだろう。写真家の河野英喜先生が愛用するのがよく分かる(笑)。

撮影してみて感じたのは、ニコンのZ 5は「写真機」だということ。スチル写真を撮るための人に向けたカメラで、その人達が満足できる機能や性能は妥協することなく付加。そしてあまり必要がないだろうと感じた部分は削ぎ落とした。もちろん削ぎ落とした恩恵はしっかりと「価格」に反映されている。特にトリップフォト、スナップおよびポートレートを撮っている人やファミリーユースの比率が多い人におすすめできるカメラだ。筆者的には「もうこれでいいんじゃないか」という思いでいっぱいになった。非常にバランスの良いカメラだ。

※ここでのレビュー記事は発売前のベータ機での試写なため、実際の製品と異なる場合がございます

Nikon Z 5 + NIKKOR Z 50mm f/1.8 S

■写真・文/大貝篤史 ■モデル/橋本佳奈

■Nikon Z 5  https://www.nikon-image.com/products/mirrorless/lineup/z_5/