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ポートレートを撮る 第一回

約 4 分
ポートレートを撮る_orphoto
Leica M-E

ポートレートを撮る 第一回

数回にわたり、ポートレート撮影について今一度考えてみたい。
第一回は撮影時に心構えについて考察した。

現代では人を撮ることを称して「ポートレート」と呼ぶ。特別行楽地などに行かなくても人は撮れる。自分の生活空間だったり、大好きな街だったり、どんなところでも撮りたい「人」がいれば撮れるのだ。撮影をする上で、重要になってくるのは相手と真摯に向き合う気持ちだ。
モデル撮影だろうと友人の撮影でも、大事なのはリスペクトする気持ち。相手を尊重できず、独りよがりの撮影になってしまえば、出来上がった作品に違和感をおぼえることがある。その違和感は作品への疑念を生み、最終的には共感してもらえない写真になってしまう。相手をリスペクトすることで、その場にある空気感をしっかりと封じ込めた写真になる。
初対面の人との撮影の場合には予めその人の事を調べておく。芸能事務所所属の人なら、プロフィールや過去の宣材写真をもらったり、一般の人ならInstagramやTwitterなどの「SNS」をこまめにチェック。その人がどんなことに興味があり、最近どんな出来事があったのかを知っておくことで、撮影中のネタにもなる。リスペクトとは「相手を理解すること」。であれば、撮影前からやるべきことはたくさんあるのだ。

Panasonic LUMIX S1

大事なのは話題作りだったりするのだ

モデル撮影会やレッスンセミナーでよく見かけるのは、撮ることに集中しすぎて被写体を見ていないことだ。ファインダーを覗いているわけだし、そういう意味では「見ている」。しかし、本当に被写体が、そういうポーズを望んでいるのか、そもそも、その場所でいいのか、光はきれいなのか……などもっと見てほしい部分はたくさんある。モデルさんあるあるだが、「あのポージングは嫌だった」「会話がなさすぎてどうしていいのかわからない」「眩しくて目がうまく開けられない」「この場所にこの衣装はどうなんだろう…」などなど見えていないことで、被写体自身の気持ちを汲み取れていないケースが多々ある。事前に情報がたくさんあれば「こういうポーズが似合う人なのでは」「衣装もこれがいい」「相手の好きなドラマの話でも…」など撮影に向き合うための情報が得られ、結果「会話」が生まれる。ポートレート撮影の醍醐味は「最後はアナログ」であることだ。初対面でも親しい友人でも結局は相手のことを知ろうとする行動と意志が大切。

自分と被写体の気持ちが表現できるレンズ選び

どんな形であれ、被写体とのコミュニケーションはとても大切なのだ。それをないがしろにすると見えてくる景色が変わってしまう。それが写真の楽しさであり、怖さだ。そこができるようになれば、きっと自分がイメージする写真が撮れるようになるし、また撮るのが楽しくなるはずだ。大事なことは「楽しい」こと。自分自身も相手も楽しい気持ちでいれることは、長く続けることができる。
そして、カメラの機材についても少し触れておこう。カメラを始めたばかりの人によく聞かれるのが「どのレンズがいいのか」ということ。正直なところ。どのレンズでも自分のイメージに合った写真が撮れるのなら問題ないと筆者は思う。しかしあえておすすめがあるかと聞かれれば、単焦点レンズをおすすめする。それも35㍉判換算で50㍉前後がいい。理由は、人の目に近い焦点距離と言われているので、被写体との「距離感」や「イメージ」がつかみやすいことだ。また、初心者なら自分にとっての「絶対焦点距離」を見つけるためにも標準域と言われている50㍉前後で撮影し、そこを基準にテレ側かワイド側かを手探りしていくのがいいだろう。また、距離感がつかめないうちにズームレンズを多用すると、自分が「動く」ことを忘れてしまう。それは写真の可能性を「殺す」事になりかねない。便利なズームレンズを否定しているのではなく、その性能をフルに使い切れるようになるためにも、まずは単焦点レンズで距離のコントロールを身体で覚えるのがいい。
また単焦点レンズのほうが、ズームレンズよりも開放値が明るいものが多い。同焦点距離での撮影の場合には、f値が明るいほうが、被写界深度が浅いため「ボケやすい」のだ。ボケやすいことで被写体をより際立たせたり、街中での撮影の際に背景の整理がしやすい。もちろん、絞り込むことでボケ感は薄れていき、全体的にピントのある写真にすることもできる。要は表現の幅が広がるということなのだ。手軽なズームレンズもいいが、単焦点レンズを1本持っておくことで、撮影のスキルも表現もアップする。なんともありがたいレンズではないか。

Leica M-E

次回予告

次回は、コロナの渦で人物撮影がどう変わったのか、また変わっていないのかを現場ですでに商業写真の撮影を開始した写写真家の田口るり子さんと福井麻衣子さんに話を聞いたのでまとめて載せたい。

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