orphotograph

写真の今がわかるWeb情報マガジン

LUMIX S 85mm F1.8 SHOOTING REPORT

約4分

待望の小型かつ軽量なLUMIX Sシリーズの新定番ポートレイトレンズ。その魅力について語る。

超軽量かつ小型ながらも写りの「質」はプロレンズ

 2020年11月に発売したパナソニックのフルサイズミラーレスカメラ「LUMIX S」シリーズ用(Lマウント)の中望遠単焦点レンズ「LUMIX S 85mm F1.8」は、LUMIX Sシリーズレンズとしては、待望の2本目の単焦点レンズだ。純正レンズとしてのラインアップ拡充として優先されていたのは、おそらく使い勝手のいいズームレンズ。しかし、ハイアマチュアやプロカメラマンから要望が多い高性能な単焦点レンズを随時拡充していく計画は徐々に進んでいる。さらに今回の85㍉単焦点レンズは、PROシリーズではなく、「無印」シリーズのレンズ。きっとビギナー向けのレンズなのだろう……。という見方を筆者はしていた。しかし、撮影で使用してみたが、驚くほどシャープなのにも関わらず、開放値からのボケ感はとても柔らかい。非常に「プロ」好みの仕様だ。開放値もf1.8と控えめながらも、フルサイズセンサーと85㍉という焦点距離が生み出すボケ感は十分。むしろ、無理にf1.4や1.2にしないことで、筐体が小型かつ超軽量であることのメリットと恩恵のほうがはるかに多い。カメラバッグから取り出すときに思わず「軽!!」と叫ぶほどだ。85mmの明るいレンズは、大口径レンズであることが多く、その分重量も「ズシリ」だ。特に、LUMIX S5との組み合わせで使用するレンズとしては最適で、装着時のボディーとのバランスがいいので、長時間構えていてもあまり疲れを感じなかった。
 また、AFの駆動音が非常に静かであることに好感が持てた。あまり駆動音が大きいレンズの場合には動画撮影時にその音をかなり拾ってしまい、MFでの使用を余儀なくされていた。このレンズであれば、積極的に動画撮影にも使えるレンズだ。また合焦スピードも速く、PROシリーズと比べて遅いということはない。
 f5.6まで絞り込むと、周辺までパキッとした全体的にシャキッとした写りになり、ポートレート撮影で使うならf2.8ぐらいでまでで使うと「THE PORTRAIT」という雰囲気を醸し出す写真が撮れる。筆者としては、ほぼ開放値しか使わないという印象で、掲載している作品もほぼ開放値のものになっている。前述しているように、美しいボケ、特に丸ボケの形状の良さはインパクトがあり、率先して丸ボケを入れたくなってしまう(笑)。

■Panasonic LUMIX S5 + LUMIX S 85mm F1.8・フォトスタイル「L.クラシックネオ」にて撮影

今後のシリーズ拡充がカギ

 もちろん、筐体は防塵・防滴、−10℃の耐低温仕様となっており、プロユースでも十分に使える仕様。アクティブな環境下でラフに扱っても大丈夫だろう。全体的に作りはよく、所有欲は高い。現在発表されているレンズロードマップにも記載されているように、「f1.8単焦点レンズシリーズ」は今後拡充される予定で、24、35、50㍉が追加されるようだ。本当に追加されれば、さらにLUMIX S5との相性のいいレンズが増え、より使い勝手のいい撮影システムが確立されるだろう。ボディーもレンズもそうだが、外ロケが多い筆者にとっては、軽量であることは非常に重要。こういうコンセプトのレンズは歓迎したい。価格に関してもかなり安価。市場平均価格が7万円後半で10万円を切る。「安かろう悪かろう」とイメージする人もいると思うが、それはいい意味で裏切られるだろう。ポートレート撮影が主力のLUMIX Sシリーズユーザーは「買い」の名玉だ。今後、f1.8シリーズの単焦点レンズが予告通り拡充されていくことを見守りたい。

■Panasonic LUMIX S5 + LUMIX S 85mm F1.8・フォトスタイル「L.クラシックネオ」にて撮影



文・撮影/大貝篤史 モデル/あこ

■製品情報■
Panasonic LUMIX S 85mm F1.8
https://panasonic.jp/dc/products/s_series_lens/lumix_s_85.html

Panasonic LUMIX S5
https://panasonic.jp/dc/products/s_series/s5.html