orphotograph

写真の今がわかるWeb情報マガジン

35mm判フィルムの選び方とは?

約5分
フィルムの写真

何はともあれ、ネガフィルムで始める

 簡単なフィルムカメラの種類を前回アップしたが、今回はフィルムについても少し触れておこう。フィルムにもいくつか種類がある。その中でも、もっともいやすくビギナーにおすすめなのは、カラーネガフィルムだ。「カラーネガフィルム???」と思う人もいると思うが、カメラ屋さんに行って置いてあるのはだいたいこの「カラーネガ」なのだ。ほかにもモノクロ専用フィルムやプロ向けのポジフィルムというものがあるが、最終的には自分の用途に合わせて選ぶことになるだろう。まずは、カラーネガフィルムからだ。

 カラーネガフィルムのメリットは「許容範囲の広さ」。適正露出よりもアンダーだったり、オーバーだったりしても補正できる幅が広く、きちんとした写真として成立しやすい。筆者の場合には「へたくそはとりあえずネガね」と言われていた。それだけフィルムが持つ許容範囲が広いため、失敗写真が少なくなる。高価かつ最大36枚しか撮れないネガフィルムだけに、無駄はなるべく避けたい。

 また、現像に出しても、カメラのキタムラやコイデカメラの場合ならだいたい60~90分待てば現像とデジタル化を行ってくれるところが多く、近くで時間をつぶしておけば当日受け取ることができるのも手軽でいい。気をつけたいのは、フィルムの種類によっては「預かり」になってしまい、数週間かかるものがある。カメラのキタムラの場合、店舗によってはKodakのPORTRAシリーズは預かりになるところがある。そのあたりは、事前に現像に出したいお店に確認を取っておく必要がありそうだ。
「現像」と言ってもその方向性は一つではない。ショップによってその方向性はだいぶ変わる。すぐに見れることを優先するのであれば、身近なお店で現像処理してもらうのもいいが、自分なりの方向性やフィルム自体の特性などを味わいたいのであれば、現像するお店も自分なりに調べてみるといい。お店によっては、方向性を伝えると、そのように微調整してくれる。「これが正解」というのは無いので、自分の求めている色味やコントラストでいいと思う。大事なのは自分の表現したい現像の方向性になっているかだろう。

PORTRA400のパトローネ
Kodak PORTRA 400のパトローネ

明るさによって使うフィルムは変わる

 実際に店頭にいくと、たくさんの種類がありどれを買ったらいいのか……。となってしまう人は多いだろう。これに関しては非常に悩ましいが、まずは富士フイルムかKodakのフィルムなら癖もなく、扱いやすい。どちらかのメーカーから始めてみるのがいいだろう。
 次に問題になるのは、ISO(感度)だ。パッケージに100や200、400など記載されている数字がそれに当たる。感度が低いほど、多くの光が必要になるが、ノイズが少ない。また、感度が高いほどノイズは激しく出るが、それほど光を必要としないので、暗いシーンなどでも写る。あまり難しく話すとわからなくなるので、この程度に思っていると気楽に撮れる。

ISO100 晴れた屋外での撮影
ISO200 少し曇りがちな屋外での撮影
ISO400 曇天の屋外やカフェなどの室内での撮影
ISO800 夕方やトワイライト、暗めの室内での撮影

 上記がなんとなくだが「使いどころ」のイメージだ。お気づきの人もいると思うが、フィルムは一度挿入すると使い切らないと取り出すことはできない。正確には途中で巻き取る事が出来るのだが、もったいないので心理的にできない(笑)。そうなると、例えば一日フィルムで撮る場合に、1種類のフィルムで撮ることはむずかしい。日のある時間帯はISO100か200で夕方からはISO400で撮るなど半日で35枚撮りきって入れ替えている。こうすれば比較的良好な環境で撮影が可能になる。特にポートレート撮影で使用したい場合には、レンズ側を絞り開放で使用することが多いので、自ずとISO100で撮らないとシャッタースピードの許容を超えてしまう(フィルムはデジタルカメラのように速いシャッタースピードを使えないものが多い)。ポートレート撮影ならISO100ベースに考えてもいいかもしれない。スナップ的にフレキシブルに撮りたいならおすすめはISO400。レンズを絞り込むことで明るいシーンでも対応できるし、少々暗くてもしっかり写る。

パトローネにあるこの奇怪なシルバーとブラックの模様のパターンに感度情報があり、挿入すると感度を読めるカメラなら自動設定してくれる

フィルム選びは自分の使いたいシチュエーションに合わせて適切なものを選ぶ必要があり、そこそこ面倒だ。しかし、一度その原理を身体で理解すれば、自然と適切なチョイスができるようになるはずだ。こういう煩わしいところもフィルムカメラに愛着が沸く理由だろう。

 最後にフィルムをまとめ買いした時にはどう保管すればいい?と聞かれることが多いが、筆者の場合には暖かくなると冷蔵庫へ移動している。ネガフィルムは20℃以下での保存がいいと言われているため、真夏の室内はこれに該当しない。なので、冷蔵庫へ移動している。結露の心配などもあるが、取り出してすぐに使わないようにすることで問題は回避されるだろう。親にはいつも「食べ物じゃないのに冷蔵庫にいれないで!」と嫌味を言われるが、1本1000円前後するフィルムを無駄にはしたくない。ちょっとした工夫で楽しいフィルムカメラライフが待っている!

●フィルムの選び方のポイントはコレ●

・ネガフィルムのほうが扱いやすいし、手に入りやすい
・最初は富士フイルムかコダックあたりで買うべし!
・ISO400を基準に、撮影場所の「明るさ」でフィルムは変える
・明るいレンズを使いたいならISO100でもいい(ポートレート撮影など)
・セットしたフィルムのISO設定を忘れずに
・購入したら高温な場所での保管は避ける

■文・撮影/大貝篤史



■富士フィルム https://www.fujifilm.com/jp/ja/consumer/films/negative-and-reversal