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SIGMA 28-45mm F1.8 DG DN |Art SHOOTING REPORT

約5分

SIGMA 28-45mm F1.8 DG DN |Art
SHOOTING REPORT

F2を切る明るさが
作品の方向性を増やしてくれる
高性能ズームレンズ

-REPORT-

シグマより2024年6月に発売された「SIGMA 28-45mm F1.8 DG DN | Art」。ズーム全域で開放値がF1.8と大三元レンズよりも明るい「新大三元レンズ」と呼べるズームレンズだ。ワイド端で28mm、テレ端で45mmと広角域を網羅。風景、星景、スナップ、ポートレートなど幅広いジャンルで活躍できる。シグマは過去に「SIGMA 18-35mm F1.8 DC HSM | Art」などをリリースしている。APS-C専用だったとはいえ、通しでF1.8のズームレンズは衝撃だったことを覚えている。そんな筆者もニコンFマウントを購入した。今回はEマウントおよびLマウントのフルサイズセンサー対応でリリースされたのだから、まさにアンビリバボーだ。

フィルター系は82mmとそれなりに大口径だ。この手のレンズとしてはありがたいのが、最短撮影距離が30cmと寄れることだ。近接撮影が可能なので、まさにこれ一本で何でも撮れるイメージだ。重量に関しては約960gと1kgを切る重さだ。レンズ単体として見えれば、正直決して軽いわけではない。ただ、28mm、35mm、45mmの明るい単焦点レンズを個別に持ち出したと思えば、十分に軽量だ。

オートフォーカス(AF)に関しては、リニアモーターHLAを採用。高精度かつ高速な合焦が可能だ。実際に使用した際にも合焦速度はとても速く、ストレスなく撮影できた。また精度に関してもLUMIX S5との組み合わせではあったが、十分な精度を誇る。また駆動音が無音なのではと思えるほど静かで、静かな室内撮影などでも気にならないだろう。余談だが、動画撮影時に気になる「フォーカスブリージング」に関しても抑えた設計になっているとのことで、動画撮影にも最適な1本になるだろう。

Panasonic LUMIX S5 + SIGMA 28-45mm F1.8 DG DN | Art・1/30秒・f1.8・ISO1250

Panasonic LUMIX S5 + SIGMA 28-45mm F1.8 DG DN | Art・1/30秒・f1.8・ISO1250

Panasonic LUMIX S5 + SIGMA 28-45mm F1.8 DG DN | Art・1/60秒・f1.8・ISO1600

Panasonic LUMIX S5 + SIGMA 28-45mm F1.8 DG DN | Art・1/80秒・f1.8・ISO1600

肝心の写りに関してもピカイチだ。特にボケ味に関しては単焦点レンズと遜色のない美しいボケ感を全域で味わえる。ポートレート撮影は開放値での撮影が多いため、このあたりは妥協したくない部分なのだが、濁りのないクリアなボケを味わえる。さすがに開放値での撮影では、周辺で流れる傾向にあるが、十分に許容だ。街中の夜間撮影では点光源が多くなるので、クリアなボケ味のレンズだとさらに奥行き感を演出できる。開放値からかなりシャープなレンズなので、絞り込みたくなることはほぼなかった。夜間はそれなりに暗いので、F2.8通しのレンズでは、感度をさらに上げるか、ノイズが出るのを覚悟で撮影するか、こちらでストロボなどの光源を用意するか……。それなりに考えることが増えてくる。F1.8通しのレンズは、オペレーションが圧倒的にイージーに済むのがいい。

Panasonic LUMIX S5 + SIGMA 28-45mm F1.8 DG DN | Art・1/80秒・f3.2・ISO1600

Panasonic LUMIX S5 + SIGMA 28-45mm F1.8 DG DN | Art・1/125秒・f1.8・ISO1600

また明るい単焦点レンズをその都度交換する場合には、脱着時に破損、汚損のリスクがある。しかしこのレンズなら、交換することなく撮影できるので、そのリスクは最小限で済む上、交換する時間的なロスもない。フレキシブルに撮影しないといけない現場では強い味方になってくれる。

Panasonic LUMIX S5 + SIGMA 28-45mm F1.8 DG DN | Art・1/50秒・f1.8・ISO1600

Panasonic LUMIX S5 + SIGMA 28-45mm F1.8 DG DN | Art・1/30秒・f1.8・ISO1600

個人的にはテレ端が50mmまであるとより使い勝手が良くなると感じた。ただ、サイズ、重量などを考慮すると、45mmまでにすることでのメリットを優先した結果だろう。次はきっとおそらく50-100mm F1.8というようなレンズが出てくると、まさに「新大三元」としての地位が確立するだろう。シグマはいつもトリッキーなレンズを出してくるので、今後が楽しみだ。

□文・撮影/オーマイ □モデル協力/an


■製品情報ページ
SIGMA 28-45mm F1.8 DG DN | Art
https://www.sigma-global.com/jp/lenses/a024_28_45_18/