「OLYMPUS PEN(E-P2)というミラーレスカメラの原点でもあるカメラの魅力に迫る」
HITORIGOTO vol.02
早すぎた日本のミラーレスカメラ
日本のデジタルカメラは早すぎたのかもしれない…。時代を先取りしすぎていると感じることが最近多い。XやInstagramなどSNSが盛んな昨今、一般的な需要では高画素である必要がなくなっている今、6000万画素のミラーレスカメラなどは一定の職業での使用など需要があるシーンはだいぶ少なくなった。個人的に写真を楽しんでいるカメラ愛好家であれば、1600万画素や2400万画素のミラーレスカメラで目的は達成される。デジカメ全盛期では、大判プリントでの展示などでは、メリットもある。少し前は個人での写真展などが今よりも多数行われていたが、新型コロナ到来で人を集める行為はできなくなり、急速に衰退した。
最近では、また写真展を行う機会も増えてきているが、個人というよりかは集団での写真展が主軸になっている。プリントサイズもせいぜいA3ノビ程度であり、これであれば低画素モデルのカメラでも十分に耐える事ができるだろう。Web投稿が主力になることで、高画素モデルに対する期待感もその必要性も薄れているのが現実だ。筆者もSNSを盛んに利用しているが、RAW現像後は「あえて」小さめの解像度に下げて書き出し、投稿をおこなっている。今だからこそ低画素モデルでも十分な環境が整いつつある。写真は約6インチ程度のサイズで見ることが普通になってきたことを再度認識するべきだろう。
求められるのは個性と基本性能
「高画素戦争」に終わりが訪れ、残ったものはなにか。それはそのカメラにおける個性だろう。今こそ、個性的なカメラが求められている。そこにこそ、お金を払う意味があると思う世代は増えていく。ここで忘れてはいけないのは、性能<個性というわけではない。性能がしっかりしているのが前提で、そこからその味付けの問題だということだ。センサーも画像エンジンも今の時代なら十分に魅力的なスペックだ。次に追い求めてほしいのは、デザインの良さだったり、ユーザビリティーの高いカメラだ。それはカメラメーカーが切磋琢磨して、至高のカメラを作り上げてほしい。(余談だがIS壊れてもE-P2はそのまま稼働して普通に撮れる…)
OLYMPUS PENの存在
といううんちくはさておき、筆者にとって思い入れのあるオールドミラーレスカメラはオリンパスのE-P2だ。もともとオリンパスのE-5を使っていたのだが、一眼レフカメラだったので、気軽に持ち出せなかった。そんなときにオリンパスのPENシリーズが目に入り、小型かつ軽量なのにもかかわらず、ビルドクオリティの高さに魅力を感じ愛用した。それから使い込みすぎて、ボディー内手ブレ補正機構が壊れ使えなくなったところで、現役引退になったのだが、最近はこのカメラを持ち出して作品撮りに活かしている。
今一度スペックを見ると約1230万画素のマイクロフォーサーズセンサーを搭載したカメラ。当時は「いつかはフルサイズ」という合言葉のように、センサーサイズが大きな高画素モデルへと舵取りしていくのだが、Web用途での撮影が増えている今では、これぐらいの画素のほうがむしろ扱いやすい。データ量もそれなりに小さいので現像環境にもやさしい。何よりもそのデザインの良さに、「どこにでも持ち出したくなる」という衝動に駆られる。
手に馴染む外観とそれでいてチープさを感じない作り込まれたデザイン。カメラとは高級品なのだということを再確認させてくれる「迫力」があった。外装が剥げてきても、それも「味」で済まされるは、ライカとOLYMPUS PENぐらいだろう(笑)。
お気に入りのシャッター音とフィーリング
OLYMPUS PEN(E-P2)で一番気に入っているのは、そのシャッター音とフィーリングだ。ボタンを押し込んだときの、程よい重さや切ったときに手に伝わる微振動など「今シャッターを切った」という意識を触覚と聴力でしっかりと教えてくれている感じがたまらない。こういうフィーリングのミラーレスカメラは昨今ではあまりない。このあたりはOLYMPUS PENの後続機であるPEN-Fなどにも引き継がれており、PEN-Fユーザーであっても実感してもらえるだろう。
久々にE-P2で撮影してみたが、RAW現像前提であれば、十分に魅力的な色方向性だ。今のデジタルカメラよりも、イエローが強い印象で、柔らかく温かい仕上がりにすると、その良さをさらに実感できる。「オリンパスブルー」も健在で、強めのブルーは他社のカメラメーカーとの差別化にはなる味付けだ。唯一気になるのは、やはりエンジンが古いこともあり、高感度におけるノイズだ。
しかし20代でもRAW現像するのが「当たり前」になった今。Photoshop Lightroomがどんどん進化しており、ノイズ除去機能に関してはこの1年でかなり向上した。今であれば、現像時にノイズ除去を行えば、SNS投稿やA4サイズプリントであれば、十分に実用的だ。
そう考えると、ミラーレスカメラの購入に中古カメラも選択肢に入れれば、まだまだ魅力的なカメラは存在する。あとは自分の撮影スタイルに合わせてチョイスしていけばいい。なんでもかんでも昔のものがいい……。と言いたいわけではない。だからこそカメラメーカーにお願いしたいのは、最新スペックでデザイン性かつ所有することがステイタスに感じるような拘ったカメラを出すことだ。そうすれば、きっとマーケットはもっと活性化され、カメラ愛好家もプロカメラマンの意欲を高まっていく。2025年のcpプラスにはそんなカメラが発表されるのだろうか。クラフトマン精神のある「Made in Japan」を楽しみたい。
文・撮影/オーマイ
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