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FUJIFILM X-T50 SHOOTING REPORT

約6分

FUJIFILM X-T50
SHOOTING REPORT

小さいボディーに
ハイスペックな機能が備わった
丁度いい富士フイルムらしいカメラ

-REPORT-

富士フイルムの主力シリーズとも言えるX-Tシリーズでもミドルクラスのカメラとして人気の高いX-Tシリーズの二桁モデル。その最新モデルとして「X-T50」がついに発売した。ミドルモデルだと侮るなかれ、上位モデルのX-T5と比べても遜色のないスペックを持っており、ハイアマチュアはもちろん、場合によってはプロユースでも十分に活躍できる性能を持っている。

センサーの画素数は前モデルある「X-T30 II」の有効画素数約2610万画素から約4020万画素と大幅に進化。画像エンジンも第5世代「X-Processor 5」を採用することで、より解像感を感じる写真を撮る事ができる。また画像エンジンの進化のおかげで、AF性能も飛躍的に向上。合焦の速度および精度ともに向上している。正直なところ、X-T30 IIのAF性能でも十分に感じるユーザーは多いハズだが、被写体認識AFの精度がかなり上がっている。従来だと迷ってしまいがちなシーンでも、認識率が上がったことで、狙いたい場所にしっかりとピントを合わせ続けることができる。

また、自動認識の対象も、人物の顔および瞳、動物、鳥、クルマ、バイク、自転車、飛行機、電車、昆虫、ドローンなどその範囲は大幅に増えている。もう地球上に存在する「動くもの」はほとんど網羅されているイメージだ。

ボディーに関しては小型でありながらも、ホールド性はあり、長時間握っていてもそれほど手が疲れることはなかった。もちろん、X-T5に比べるとホールド性は弱いが、プロの長時間撮影などの使い方がなければ、このホールド性で十分。むしろグリップの出っ張りが少なく、カバンなどにも入れやすく好感が持てた。そもそもボディーが約438gとかなり軽量なので、よほど重たい超望遠ズームでも装着しない限り、重いと感じることはない。今回の撮影ではXF33mmF1.4 R LM WRとXF23mmF1.4 R LM WRを使用して作例を撮ったが、レンズとのバランスも思っていたよりも悪くない。

全体的に角の少ない丸みを帯びたデザインなので、女性が持っていてもどこか「可愛らしさ」があり、ユニセックスに使えるカメラだ。

ファインダー部に関しては、少しフラットすぎるかなと印象だったが、EVFが非常にクリアで見やすいため、違和感はない。特に筆者のようにメガネを掛けている人でも十分に見やすいファインダーだ。背面液晶に関しては、チルト式液晶を採用。ハイアングルおよびローアングルの撮影などに便利だ。動画撮影時にも個人的にはチルト式のほうが使いやすいと思っており、スチルでも動画でも使い勝手のいい背面液晶だ。

今回の作例はこのカメラの主戦場であるスナップやポートレートなどを中心に撮影。その使い勝手をチェックした。

スナップにおいては非常に軽快に撮影できる。やはり小型かつ軽量なのは「正義」だ。また富士フイルムもお家芸ともいえる「フィルムシミュレーション」も、上部にダイヤルを設置することで直感的に変更ができる。それはとても使いやすかった。撮影しながら、簡単にフィルムシミュレーションを選べるので、その場の雰囲気にあったシミュレーションを、クルクルとダイヤルを回しながら選べる。速射性が高いことはスナップ撮影には重要な要素だ。

FUJIFILM X-T50 + XF23mmF1.4 R LM WR・1/420秒・f5.6・ISO125・クラシックネガ

FUJIFILM X-T50 + XF33mmF1.4 R LM WR・1/2400秒・f1.4・ISO125・クラシックネガ モデル:青柳うみ

FUJIFILM X-T50 + XF33mmF1.4 R LM WR・1/89秒・f2.2・ISO400・クラシックネガ

FUJIFILM X-T50 + XF23mmF1.4 R LM WR・1/4700秒・f4.5・ISO400・ノスタルジックネガ

ポートレート撮影では、筆者愛用の「クラシックネガ」か「ノスタルジックネガ」などをセレクトすることで、味のある写真を簡単に撮影できる。RAWデータをパソコンやスマートフォン上で現像処理することを考えると、ワークフローとしてはかなり短縮できるのがいい。
ポートレート撮影だと、やはり開放値で撮影したくなる。そんなときには、カメラの設定をメカニカルシャッターと電子シャッターの自動切り替えにしておく。そうすることで、1/4000秒では露出が抑えきれなくても、電子シャッターに自動で切り替わり、適切な露出で撮影できる。このあたりはX-Tシリーズでポートレートを撮るうえでとても快適だ。また暗所での撮影でも、ボディー内5軸手ブレ補正機構が搭載されているため、少々シャッタースピードが遅くなっても、ブレのない写真が撮れる。

FUJIFILM X-T50 + XF33mmF1.4 R LM WR・1/1250秒・f1.4・ISO125・クラシックネガ モデル:青柳うみ

FUJIFILM X-T50 + XF33mmF1.4 R LM WR・1/550秒・f1.4・ISO125・クラシックネガ モデル:青柳うみ

FUJIFILM X-T50 + XF33mmF1.4 R LM WR・1/2800秒・f1.4・ISO125・クラシックネガ モデル:青柳うみ

高感度耐性についても、ISO1600程度であればノイズ感じることはなく、ISO3200程度から徐々に目立ってくる。ISO4000で実際に撮影してみたが、フィルムシミュレーションをベースに考えると、適度なノイズ感が加わり、むしろそのノイズも活かした作品が撮れる印象だ。ディテールは少し甘くなるが、ソフト側でそのあたりはカバーすることができそうだ。日中から夜間・暗所でのポートレートまで幅広いシーンに対応してくれる。
AF性能に関してもAF-Cで「人物の顔・瞳認識」を使って撮影してみたが、旧モデルよりもかなり精度が上がっている。複数人いる場合には、ジョイスティックを動かすことで、対象になる人物をセレクトできる。このあたりも使い勝手が良かった。

FUJIFILM X-T50 + XF23mmF1.4 R LM WR・1/140秒・f1.4・ISO4000・クラシックネガ モデル:くろゆか

FUJIFILM X-T50 + XF23mmF1.4 R LM WR・1/38秒・f1.4・ISO4000・クラシックネガ モデル:くろゆか

正直、このカメラで撮れないシーンはほぼないのではないかと思うほど。カメラの基礎体力が高い。センサーサイズがフルサイズではないという指摘をする人がいるが、その分、このカメラでしか味わえない「写真の世界」がある。センサーサイズが必ずしもカメラの性能にイコールとなるわけではない。重要なのは、何が撮れるのか、そしてそこにある可能性だ。X-T50はこの一台で写真も動画もハイクオリティーにこなせる「モンスターなミドルカメラ」だ。

■文・撮影/オーマイ モデル協力/くろゆか、青柳うみ


■製品情報サイト
富士フイルム X-T50
https://fujifilm-x.com/ja-jp/products/cameras/x-t50/