夜のポートレートを楽しめる単焦点レンズとは
HITORIGOTO vol.03
サイト管理人のbigshellgramです。今回の「ぼやき」は、夜のポートレートについて。冬の時期は空気が澄んでいるし、アーバンシーンはイルミネーションなど玉ボケを活かした撮影が楽しい。山沿いに行けば、積雪などもあり、夜に撮影に行くと面白い写真が撮れたりする。それでも冬の撮影の最大の「敵」は寒いことだ(笑)。
寒いので、確実に撮っていきたい。モデルそれなりに体力を消耗するし、撮影者も同じこと。スピーディーに撮影するには、
①構図をイメージしてから撮影する
②レンズ交換など機材設定で時間をかけない
③広範囲で撮らない
の3つが重要になってくる。構図を決めてから撮影するのは何も冬の夜に限ったことではない。瞬時にその場所を最大に活かせるようなアングルや画角を決めることは、いつもやっていなければならない。となると一番効果的なのは「機材設定に時間をかけない」ということだ。ボクのメイン機材はLUMIX S5もしくはS5IIだ。最近はLUMIX S5のほうがなんとなく色方向性が気に入っているのと、AFの合焦速度が意外にこちらのほうがもたつかないという理由でLUMIX S5をメインにしている。もう少し位相差AFのレスポンスが良くなればいいのだが……。それはもう少し先のことだろう。
話を戻すと、LUMIX S5以降のフルサイズモデルであれば、ISO4000でのノイズ処理なども含め、結構使える。基本的にはISO4000をデフォルトで撮影する(使っているカメラによって許容範囲は変わる)。となると重要なのはレンズ選びだ。ISO4000でもそれなりにシャッタースピード(個人的には1/125秒前後)ぐらいは稼ぎたい。撮影場所の光源にもよるが、アーバンシーンならf1.4前後の明るさのレンズを使えば可能なシャッタースピードだ。
LUMIX S5 + SIGMA 50mm F1.2 DG DN | Art・1/125秒・f1.2・ISO4000
ここでおすすめなのがSIGMA 50mm F1.2 DG DN | Artだ。このレンズの明るさは驚異のf1.2という明るさ。開放値からの撮影でもピント面はかなりシャープだし、ボケ味に関しては、まるで85mmなどの中望遠で撮影しているような錯覚を感じるほど、ボケ感がある。スナップポートレートの場合、85mmだとどうしても運用面で不利だ。ストリートの場合には引きが取れない場所などが多く、さらに撮影面積を広げることで、通行人の邪魔になることがある。それはマナー的にもきびしい。
LUMIX S5 + SIGMA 50mm F1.2 DG DN | Art・1/320秒・f1.2・ISO4000
50mmの画角であれば「足で稼げる」レンズということもあり、適度に広角気味に撮影ができるし、自分がモデルとのディスタンスを縮めれば、85mmのような適度の圧縮効果を感じた撮影ができる。ここで重要なのは「明るいレンズ」であること。例えば開放値がf2.8程度のレンズでは、背景の整理ができないシーンがあり、もっと明るいレンズが欲しくなる。
LUMIX S5 + SIGMA 50mm F1.2 DG DN | Art・1/125秒・f1.2・ISO4000
LUMIX S5 + SIGMA 50mm F1.2 DG DN | Art・1/100秒・f1.2・ISO4000
SIGMA 50mm F1.2 DG DN | Artは上記のような問題点をすべてクリアにしてくれるレンズだ。これ一本であらゆるシーンが撮影できるので、レンズ交換の必要があまりなく、そのあたりのタイムロスがない。もちろん、絞りたいシーンがあれば絞り込めば解決。その分、シャッター速度が遅くなるが、LUMIX S5のようなボディー内に強力な手ブレ補正機構が付いているカメラであれば、その許容範囲は広がる。
LUMIX S5 + SIGMA 50mm F1.2 DG DN | Art・1/100秒・f1.2・ISO4000
LUMIX S5 + SIGMA 50mm F1.2 DG DN | Art・1/200秒・f1.2・ISO4000
さらに「ロケハン」をしっかりと行うことで、無駄のない撮影ルートをしっかりと構築。モデルを無駄に歩かせないことで、体力も温存できるし、さらに時間的短縮も可能だ。温かいところで暖が取れないのであれば、60〜90分程度が限界だ。それぐらい経ったら、カフェで少し休憩するか、クルマなどの移動手段を使ってその間体を暖めることをしたほうがいい。そのあたりの対策さえできれば、「冬の夜ポートレート」はとても楽しい。ぜひ皆さんにもチャレンジしてほしい。
番外編だが、最近のカメラにはあまり標準装備されていない「内蔵ストロボ」を使うのも手だ。自然光で撮影するのとも少し違う1990年代のファッションストリートのようなスナップポートレートを撮影できる。また、その分シャッタースピードもISO感度も稼げるので、手ブレやノイズの少ない写真が撮れる。最近はオールドミラーレスカメラやコンデジなどに注目が集まってきているとのことなので、うまく組み合わせて使ってみるのもいいだろう。
OLYMPUS PEN E-P3 + LEICA DG SUMMILUX 15mm/F1.7 ASPH. ・1/60秒・f1.7・ISO200
OLYMPUS PEN E-P3 + LEICA DG SUMMILUX 15mm/F1.7 ASPH. ・1/60秒・f1.7・ISO200
OLYMPUS PEN E-P3 + LEICA DG SUMMILUX 15mm/F1.7 ASPH. ・1/60秒・f1.7・ISO200
OLYMPUS PEN E-P3 + LEICA DG SUMMILUX 15mm/F1.7 ASPH. ・1/60秒・f1.7・ISO200
文・撮影/bigshellgram モデル協力/an
■製品情報
SIGMA 50mm F1.2 DG DN | Art
https://www.sigma-global.com/jp/lenses/a024_50_12