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撮ることが楽しくなるOM-1 Mark IIの魅力

約7分

OM SYSTEM
OM-1 Mark II
SHOOTING REPORT

レンスポンスのいい
あらゆるシーンを切り抜ける
マイクロフォーサーズ至高の一台

-REPORT-

最近では「フルサイズミラーレスカメラ」が主流になりつつある。一昔前なら「いつかはフルサイズ」という言葉の通り、フルサイズカメラは憧れだった。それが今では、かなり手に届くところまで購入しやすいポジションに変わり、プロユース以外でも当たり前のように街で見かけるようになった。 そんな中、センサーサイズが小さいことが「デメリット」と言われるマイクロフォーサーズセンサーを搭載し、フルサイズ当たり前の世の中に殴り込みをしているのがOMデジタルソリューションズだ。この殴り込みという表現は非常に好意的な意味である。フルサイズセンサーのメリットがあれば、マイクロフォーサーズセンサーのメリットがある。

マイクロフォーサーズカメラのメリットは、被写界深度が深いところだ。ピントの精度も非常に高いし、解像感のある画づくりが特長なため、非常にシャープな写真になる。これは作例を見ても明らかで、「これマイクロフォーサーズ?」と思えるほどの解像感だ。もちろん、フルサイズカメラでも絞り込めば、解像感は高くなる。晴天の屋外であればそれもいいと思うが、場合によっては絞り込むことでシャッタースピードが犠牲になってしまうことがあり、ブレという問題が出てくるシーンがある。その点、マイクロフォーサーズカメラなら、開放値の明るいf値が使えるため、シャッタースピードを稼ぐことができる。特に、鉄道写真や飛行機写真、レースなど動きものを撮影する際には、その恩恵を大きく受けることになる。

OM-1 Mark IIはバランスのとれた基礎体力がとても高いカメラ。センサーは有効画素数約2037万画素の裏面照射積層型Live MOSセンサーを搭載。有効画素数もバランスのいい2000万画素クラスで扱いやすい。画像処理エンジン「TurePic X」との組み合わせにより、非常にクリアで抜けのいい解像感の高い写真を撮る事ができる。 高感度耐性に関して、ノイズ感は、夜間時のポートレート撮影で実際に使用しISO4000程度までが許容範囲のように感じた。センサーピッチが小さくなってしまうマイクロフォーサーズセンサーであることを考慮すると健闘している。ディテールに関しても保てているほうで、A3ノビサイズまで引き伸ばさないなら十分に合格点だ。SNSなどWeb掲載が主流になっている昨今では、通常利用であればそれほど大きく使用する機会は少なく、マイクロフォーサーズならではのデメリットはそれほど影響しない。

OM SYSTEM OM-1 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 20mm F1.4 PRO・1/8000秒・f1.4・ISO200

OM SYSTEM OM-1 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 20mm F1.4 PRO・1/8000秒・f1.4・ISO200

OM SYSTEM OM-1 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2・1/6秒・f2・ISO3200

風景写真などさらに解像感が欲しい撮影で重宝するのが「ハイレゾショット」だ。複数枚の写真を自動で合成処理する機能で、約8000万画素相当の解像感を得ることができる。通常記録の場合には12bit RAWなのだが、HiRes RAW記録であれば14bitも選ぶことが可能だ。ハイレゾショットは三脚固定が前提だが、手持ちハイレゾショット機能があり、その場合には約5000万画素まで落ちるが、高解像度写真を撮影できる。 また面白そうな機能にライブND撮影がある。日中にスローシャッターを切りたい場合には、NDフィルターをレンズに装着するのだが、OM-1 Mark IIでは擬似的に露光時間を延ばし、スローシャッター効果を付加できる。この小さなボディーに面白い「ギミック」が搭載されており、どのジャンルの撮影においても「引き出しが増える」イメージだ。

OM SYSTEM OM-1 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 75mm F1.8・1/8000秒・f1.8・ISO200

OM SYSTEM OM-1 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 20mm F1.4 PRO・1/8000秒・f1.4・ISO200

実際のポートレートシーンで使用しての使い勝手だが、全体にレスポンスがいいため、軽快に撮影ができる。もたつくフルサイズミラーレスカメラよりもOM-1 Mark IIは撮影が「楽しい」と思える。撮りたい瞬間にしっかりと撮れることが重要で、その原点をしっかりと具現化したカメラだ。こればっかりはカタログなどのスペック表には載らないパッションの部分だ。EVFに関しても120fpsであることも効いていて、タイムラグを感じさせない滑らかな動きだ。走り回るモデルの瞬間を切り抜けるEVFでのぞき心地が良かった。

あまり期待していなかったAI被写体認識AFに関しても、思っていたよりも「人物検出」が優秀で、ソニーのαシリーズと遜色を感じないほどだ。AF-Cモードでの追従性も抜群によく、フレーミングの自由度を感じた。構図に集中できるカメラは撮影が本当に楽しい。ただ若干低照度時における追従性は落ちるので、そのようなシーンでは、AF-Sモードでこ通常のピンポイントAFでの撮影のほうが歩留まりがいい。このあたりは今後のファームアップや次期モデルに期待したい。

OM SYSTEM OM-1 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 20mm F1.4 PRO・1/100秒・f1.4・ISO800

OM SYSTEM OM-1 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 75mm F1.8・1/25秒・f1.8・ISO2000

OM SYSTEM OM-1 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 20mm F1.4 PRO・1/125秒・f1.4・ISO3200

改めて感じたのは、M.ZUIKO DIGITALシリーズの写りの良さだ。開放値からキレキレのレンズが多く、芯のあるしっかりした写りを約束してくれる。ポートレート撮影において、あまりキレキレなのもどうかなと思っていが、キレのある解像感の中にも、ボケ味はどこか素直で美しいこともあり、それほど嫌味のある写真にはならない。むしろ奥行き感の感じるボケ感のレンズが多く、LUMIX Gシリーズユーザーにもおすすめできる。LUMIX Gレンズは、開放値ではやや甘い柔らかい写りをするレンズが多いので、それとは対照的だ。自分の好みでメーカーの垣根を超えて、選べるレンズ群があるのもOM-1 Mark IIの購入動機になるだろう。

OM SYSTEM OM-1 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 20mm F1.4 PRO・1/125秒・f5.6・ISO800

OM SYSTEM OM-1 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 20mm F1.4 PRO・1/8000秒・f1.4・ISO200

OM SYSTEM OM-1 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 20mm F1.4 PRO・1/4秒・f1.4・ISO1600

それと、カメラシステムとしてのメリットも感じた。レンズ5本とカメラボディーを持ち出したが、フルサイズミラーレスカメラで同じ機材量と比べると、重量も体積も約半分程度なった。もちろん、持ち出すレンズによってそこまでの差が出ない場合があるが、それでも体への負担はかなり軽減した。1日中移動しながら砂浜を歩くのはなかなか大変だ。OM-1 Mark IIなら疲労感はやはり少なかった。アラフォー世代の僕らには、むしろこういうカメラシステムのほうが向いているのかもしれない。

文・撮影/bigshell_gram モデル協力/KAHO

■製品情報サイト
OM SYSTEM OM-1 Mark II 
https://jp.omsystem.com/product/dslr/om-d/index.html