
富士フイルムは2025年3月30日まで東京は代官山にある「代官山T-SITE」にてポップアップストア「愛おしさを哲学する写真機店」をオープンした。
このポップアップストアのコンセプトは「愛おしさ」。撮影するという行為には「愛おしさ」があるという通常写真を撮影する際に感じるであろう心の内を意識している。
このコンセプトを掲げた意味は今後の富士フイルムのミラーレスカメラにおいて非常に重要であると感じた。昨今、ミラーレスカメラが写真と動画を撮影するハイブリッドカメラとしての役割が定着しつつある。「カメラ=写真機」というイメージが薄れていくことにいささか違和感を感じることがある。しかし、富士フイルムはあえてこのタイミングで「写真機」であることを、強く打ち出したことは、大きな意味を持つ。

店内の上部には、各写真作家が撮影した写真が所狭しと飾られている。四方写真に囲まれている空気感は非常に居心地が良く、いつまでも見ていられると感じるほどだ。センターテーブルには、哲学的な言葉が描かれており、これも「写真機」としてキーになるようなメッセージが多かった。富士フイルムのXシリーズの現行ラインナップが並べており、タッチアンドトライが可能だ。


奥にはXシリーズの特徴を感じてもらえるコーナーが設置。「音」「デザイン」「色」の3つのコンセプトを立てて、Xシリーズの魅力を感じてもらえるコーナーになっている。
筆者的に面白いと感じたのは、「音」のコーナーだ。Xシリーズを所有している人はわかると思うが、各モデルにおいてシャッター音やダイヤル音が微妙に違っていて、さらに、その音がどのモデルも心地いい。ダイヤルフィーリングにしてもこだわりをもって設計をしていることを感じるモックが飾っており、普段見ることができない軍艦部の裏側なども展示。ダイヤルを回すとどういう動きをしているのかを見ることができる。


こういう試みは、ビルドクオリティを感じることができるし、所有欲を掻き立ててくれる。昨今ではミラーレスカメラもそれなり値段が高騰しており、若い世代やこれから始めてみたい層などが手軽に購入しづらい価格帯だ。だからこそ、数年前よりも「吟味して」購入したいという声は高まっており、事前にプロダクトのコンセプトや実機などを体験できるこのようなポップアップストアは全国で展開するのもいいのだろうと感じた。また、富士フイルムの十八番でもある「フィルムシミュレーション」などについても解説されていて、フィルムを知らない世代にも十分にその魅力を感じてもらえる内容となっている。

面白い試みだと感じたのは、セルフポートレート撮影ができるブースがあったことだ。どんなメーカーのカメラでも持参したカメラを構えた状態の写真を撮影できる。撮影した写真は、隣りにあるプリンターでその場で出力が可能(※データ形式はおそらくJPEGデータのみ)。台紙をもらえるので、そこに挟み込むことも可能。この台紙も非常にクオリティが高く、ついつい保存しておきたくなる。
富士フイルムのこれからのミラーレスカメラの指針を感じることができるので、ぜひ足を運んでほしい。

□富士フイルム情報ページ
https://www.fujifilm.com/jp/ja/news/list/12132
□代官山T-SITE
https://store.tsite.jp/daikanyama/