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焦点距離の話

約4分


焦点距離の話

HITORIGOTO vol.05

ポートレート(人物撮影)において焦点距離を選ぶ際にどのあたりがいいのか。

それはモデルとのディスタンスで決めるのがいい。

その時に重要視してほしいのはモデルとの関係性だ。親密度によって撮影時の空気感や画角が変わってくる。親しい関係性なら24mmや35mmなど比較的広角の画角でその人間関係を描写するのがいいし、関係性が浅いなら50mmや85mmを多用して客観性のある写真に仕上げていくのもありだろう。無理にその境界線を破いていくと、親密感よりも不快感などが写り込み、むしろ「こんなはずではなかった」という写真に仕上がってしまう。

LUMIX S5 + SIGMA 50mm F1.4 DG DN | Art・1/8000秒・f2・ISO100

Leica X1・1/1000秒・f5.6・ISO100


もうひとつの考え方としてはモデルとの親密度ではなく、撮りたいシーンで選ぶ場合だ。広めの画がほしいなら広角気味、圧縮効果を活かした背景ボケの写真を撮りたいなら85mmや135mmなど撮りたいシーンでレンズを選んでいく。そういう考え方は重要だ。


そう考えるとやはり1本持っておきたいレンズとしては大三元レンズのひとつである「24-75mm」のレンズだ。このレンズなら広角から中望遠まで幅広い焦点距離をカバー。いろいろな意味でマルチに使えるレンズだ。開放値に関してはおすすめはあくまでもf2.8のモデル。f4通しのレンズのほうが安価な場合が多いが、ポートレートシーンで使うならやはりf2.8の明るさはほしい。このレンズを軸に単焦点レンズを揃えていくのがいいだろう。

単焦点レンズがほしい!というヒトにおすすめなのは、50mmという焦点距離のレンズだ。50mmというレンズは自分で距離をコントロールすることで、広角的にも中望遠的にも使えるマルチプレイヤー。さらに各メーカーから安価で非常に明るいレンズが多数リリースされている。おすすめは開放値がf1.4のレンズで、ここまで明るいレンズであれば強烈なボケも味わえるし、f2.8程度まで絞り込むことで、全体的に解像感のあるシャキッとした描写が可能になる。解像度が欲しければ開けて撮影し、あまくても柔らかさを感じた写真にしたければ、開放値で撮る……的な撮影が可能になる。

LUMIX S5 + SIGMA 50mm F1.4 DG DN | Art・1/250秒・f2・ISO100

LUMIX S5 + SIGMA 50mm F1.4 DG DN | Art・1/8000秒・f1.4・ISO100

LUMIX S5 + SIGMA 50mm F1.4 DG DN | Art・1/8000秒・f1.4・ISO100


焦点距離を意識しながら撮影することで、モデルと自分の距離感がわかるようになり、撮りたいイメージに近い写真を撮ることができる。なんとなく撮影してしまって後悔したことがあるヒトは多いはず。撮影会であろうが個撮だろうが、何度もチャンスがあるわけではない。だからこそ、その撮影チャンスをしっかりと活かすためにも、どのレンズ、どの焦点距離を得意とするのかを自分で理解する必要があるのだ。

■製品情報
SIGMA 50mm F1.4 DG DN | Art  
https://www.sigma-global.com/jp/lenses/a023_50_14/