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FUJIFILM X Half SHOOTING REPORT

約5分

FUJIFILM X Half
SHOOTING REPORT

日常を気取らずに撮影できる
フィルムカメラ的コンデジ

-REPORT-

富士フイルムから満を持して発売されたのがFUJIFILM X Halfだ。コンセプトはフィルムの「ハーフカメラ」。サイズ感もX100シリーズよりひとまわり小さく、スマホサイズと同等のサイズ感だ。まさに手のひらサイズということで、かなりコンパクトだ。重量も約240グラムと重さだけならスマホよりも軽い。このカメラの特徴はなんといっても、縦撮影がデフォルトになっていることだ。ファインダーも縦表示だ。横写真が撮れないわけではなく、カメラを横にすることで「横撮影」が可能になる。

ダイヤルやボタン類は必要最低限でシンプルなデザインだ。当初はダイヤル類が少ないことで、少し使いづらいイメージだったが、慣れてくるとそれほど気にならなくなる。よく変更する露出調整に関してはしっかりとダイヤルで調整可能。電源レバーも適度なクリック感があり、使いやすい。露出調整ダイヤルの横にはレバーがある。まるでフィルムカメラの巻き上げレバーのようだ。これはX Halfに搭載されている「フィルムカメラモード」を使用した場合には、まるでフィルムを巻き上げるかのように、撮影毎にレバーを操作しないとシャッターが切れない。不便だと感じる方はノーマルモードを使えばいいわけで、昔ながらのフィルム文化を若い世代に体験してもらうためのギミックだと思えば非常に面白い。

デザインはシンプルで飽きは来ないだろう。背面に関してはフィルムシミュレーションを表示したり、設定項目を変更するための小窓と縦配置されたプレビューモニターがあり、それ以外はスチルと動画を切り替えるスイッチとプレビューボタンしかない。設定などの操作は主にタッチパネル操作で行う。APS-C系のXシリーズと比べると、若干モサッとしているが、Instaxチェキシリーズだと思えば、それも気にならない。AF操作などはタッチでAFポイントを移動させるのだが、9点しかないのでかなり大雑把なイメージだ。

合焦速度はそれほど速くないので、本格的な撮影には不向きだ。AF-Cモードに関してもハンチングすることが多く、過度な期待はしないほうがいい。あくまでもスナップを気軽に楽しむためのカメラという位置付けで、ゆったりとした時間の流れを楽しみながら撮影するイメージだ。

レンズに関しては35mm判換算で約32mmとスナップ撮影には絶妙に使いやすい焦点距離だ。これは富士フイルムの「写ルンです」と同じ焦点距離とのことで、より気軽に撮影できる。開放値はf2.8と決して明るいレンズではないが、センサーサイズが1インチであることも考えると、ボケ味やボケ感を期待するようなカメラではない。写りは非常にシャープでセンサーとの相性もいい。よりシャープに撮影したいならf5.6程度まで絞り込むことで、全域でシャープな撮影が可能だ。

光学ファインダーはあるが、メガネ着用者は隅々まで見えないのでこれもおまけ程度のイメージ。フィルムカメラのようにファインダーを覗き込むという非日常な経験をさせてくれるという意味では非常に重宝する。ただののぞき窓なのだが、思わず覗き込みたくなるのはカメラ愛好家の証だろう(笑)。

写真に関してはJPEGのみ撮影可能。RAWでの撮影はできないので細かい調整はできない。より作品性を求める人には賛否が分かれるところだろう。個人的にはRAWデータの記録ができないことをネガティブにとらえていたが、そもそもX Halfでそこまでガッツリした撮影をするのかといえば、正直SNSを中心として作品発表が主戦場だ。展示なども含めた作品づくりなら、レンズ交換式ミラーレスカメラを使用すればいい。

動画に関しては、MOVかMP4形式で撮影できる。ビットレートは3段階から選択でき、最大で50Mbpsとなっている。これに関しても本格的に撮影したい、気軽に撮影したいならミラーレスカメラかスマホのほうが撮影しやすい。AF-Cの精度がそれほどいいわけではないので、動画撮影中なんども外れてはハンチングすることが多かった。このあたりは改良してほしいほどだ。

軍艦部にはシューはあるが、コールドシューのためストロボなどは装着できない。また、動画時の外付けマイクの装着に使えるんじゃ……と思うが、外部マイクには非対応のため、マイクとして使用することはできない。フィルムカメラをオマージュするために水準計などをつけるのもいい。

外観を中心にご紹介したが、本格的なデジタルカメラを求める人には正直オススメできない。11万円前後ならNikon Z fcやFUJIFILM X-M5など対抗馬はいくらでも出てくる。ファーストカメラで購入を検討するなら「少し高いトイカメラ」のイメージを持っていると購入時にイメージが合う。またすでに本格的なミラーレスカメラを持っているなら、セカンドカメラ、サードカメラとしては十分に魅力的なカメラだし、ちょっとした外出(PTO)でも、X Halfだけで撮影が完結するシーンは多いはずだ。次回はスマホ連動について紹介したい。

■商品情報

FUJIFILM X Half 
https://www.fujifilm-x.com/ja-jp/products/cameras/x-hf1/



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