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「モノクロ描写の可能性が広がるフォトスタイルが作品を昇華してくれる」

写真作家としてアートな世界へ足を踏み込む写真家の田口るり子さん。
最近の作品もモノクロで制作している田口さんにLUMIX S5IIの作品づくりでの使用感を聞いた。

京都で開催される「KYOTOGRAPHIE」内で行われている気鋭写真家の写真展イベント「KG+」などに作品出展をおこない、数々の写真展を手掛ける田口るり子さんはLUMIXシリーズに搭載されているフォトスタイル「L.モノクローム」を愛用している。 「私は自分が『表現したい世界観』が強く出る作品を日頃から撮っています。今回掲載している写真『OUT OF NOISE』シリーズも自分の中の感情を、写真を通してさらけ出したものです。ジャンルという枠を超えてどこか不思議な世界観を表現できていると思います。ですので、色がないモノクロの世界観との相性がいいですね。  LUMIX S5IIに搭載されているフォトスタイル『L.モノクローム』は私のお気に入りのフォトスタイルです。カメラ内の設定でノイズを乗せたり強弱をつけたりできるので、その場で受けたインスピレーションで柔軟に対応できるフォトスタイルです。ノイズの乗り具合は3段階で選べますが、どれもきちんと変化が見えるので、モノクロ表現の幅が広がります。このカメラのノイズはランダムノイズでとても自然なうえ美しいノイズです。汚いノイズではなくフィルム感を感じるノイズをデジタルで表現するのはとても苦労します。しかし、LUMIX SIIならボディー内でそれができてしまうのはワークフロー的にも助かります。自分に合ったフォトスタイルを見つけて、カスタマイズして楽しんでほしいです」

LUMIX S5II + LUMIX S 20-60mm F3.5-5.6・1/1300秒・f6.3・ISO1000

そう語る田口さん。モノクロ写真はシンプルなので逆にとてもむずかしい。だからこそ完成度の高いモノクロフォトスタイルに魅力を感じているのだろう。さらにミラーレスカメラならではのアドバンテージも感じている。 「ミラーレスカメラであるLUMIX S5IIならファインダーをのぞけば、そこには『モノクロの世界』が広がっています。一眼レフカメラだと光学ファインダーですので、自分の脳内でモノクロに変換しないといけない。それはそれで楽しいですが、のぞいた世界が素直にモノクロの方が、初心者にはイメージしやすいのでこれからモノクロ作品をメインに作品づくりしたい人にはおすすめですよ。 さらに驚いたのがボディー内5軸手ブレ補正機構です。これがとても効きます(笑)。今回の撮影は街中をウロウロしながら撮影していまして、すべて手持ち撮影です。どんなシーンでもしっかりと画が止まるので、直感的に作品を撮れました。本当にバランスのとれたカメラだと思います」

LUMIX S5II + LUMIX S 20-60mm F3.5-5.6・1/500秒・f10・ISO200

今回使用したLUMIX S 20-60mm F3.5-5.6のレンズに関しても好印象だったという。カバーされている焦点距離がユニークだったと話す。 「今回の撮影で使用したこのレンズは個人的にとても好きなレンズです。焦点距離も20から60ミリと、あまりない焦点距離で面白いですね。テレ側が60ミリなのでよくある24-70mmのレンズよりも少し短いです。だかこそ『一歩踏み出す』ことを覚えました。この行為が私にとって貴重な体験でした。踏み込む事を覚え、新しい世界観を感じることができました。描写力もよく、モノクロ作品にはとても相性が良かったです。またワイド側も20ミリなのでいつも使用しているレンズよりも程よい広角感を感じました。 またレンズ自体がかなり小型かつ軽量なので、ボディーの軽快感を損なうことなく使えるのがいいのですね。せっかくボディーが小型かつ軽量でもレンズが重かったり、大きかったら、その恩恵もスポイルしてしまいます。キットレンズで付属するレンズとのことで、そのあたりも考えられているのでしょうね」

LUMIX S5II + LUMIX S 20-60mm F3.5-5.6・1/50秒・f5.6・ISO100

そう話してくれた田口さん。フィールドを歩き回りながら直感的な操作で作品を撮る。そんな使い方に最適なカメラであることがわかる。定評のあるモノクロ表現をさらに数段レベルアップさせてくれるLUMIX S5II。これからモノクロ写真を撮りたい人におすすめできる一台だ。

文/大貝篤史  撮影/田口るり子