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LUMIX S 50mm F1.8 SHOOTING REPORT

約4分
LUMIX S 50mm F1.8
LUMIX S 50mm F1.8

待望のF1.8の標準レンズ

2021年6月に発売したLUMIX Sレンズでの2本目の50mm単焦点レンズとなるLUMIX S 50mm F1.8。LUMIX S1がデビューした当時に発売された高性能単焦点レンズLUMIX S PRO 50mm F1.4とは異なるコンセプトのレンズだ。まず、両者を比較すると一目瞭然だが、そのレンズサイズの大きさにある。F1.8と開放値を控えめにすることで、大幅な小型化に成功。全長が約82mm、重さが約300gとかなりコンパクトになった印象だ。このサイズは先行して発売している24mm、85mmと同じサイズであり、LUMIX SのF1.8シリーズは共通のサイズとフィルター径にするというコンセプトに則ったものだ。これは動画撮影でも使用することを前提としており、フィルター径を同サイズにすることで、可変NDフィルターを径ごとに用意する必要がなくなるし、ジンバルなどに搭載した状態でのレンズ交換でもバランスが崩れづらい。スチルレンズとして高い光学性能を目指しながらも動画撮影対応を見越しているあたりは、LUMIXの強みなのだろう。

筐体の質感はやや低いが、その恩恵は思わぬところに……

レンズ自体の質感に関しては正直なところそれほど高くない。軽量化を重点にしたことで、筐体はプラスチック製(マウント部は金属)なであり、ややチープな印象だ。ネガティブな要素はそれ以外にはなく、プロモデルのレンズ同様に防塵・防滴仕様であり、マイナス10℃の耐低温設計だ。筐体にはLUMIX S PROシリーズのように絞りリングは搭載されておらず、ボディー側で変更するかたちだ。AFとMFとの切り替えるスイッチが搭載されているだけのシンプルな見た目はかえってどこか新鮮な印象を受ける。

あなどれない光学性能が魅力

描写性能に関しては、非常に良好。開放値のボケ味はやや硬い印象だが、芯のあるボケは昨今の「デジタルカメラ」らしいシャープさにつながっている。丸ボケに関しては素直できれいな丸玉を作り出し、日常的な使用であれば不満に思うところはない。絞込んでいくことで、さらに全体的にシャープになり解像感が増す。ボケ感はf2.8付近ではさらに硬さをますので、ポートレート撮影などで使用するのであれば、開放値で積極的に使ったほうがいいかもしれない。LUMIX S PRO 50mm F1.4と比較すれば、やはり軍配はPROラインに上がる。しかし、LUMIX S PRO 50mm F1.4は約955gとほぼ1kgとかなりのヘビー級だ。さらに全長も約130mmと大柄なので、街中でのフレキシブルな撮影には向かない。時間をかけた作品撮りやカメラマンとしての仕事の場合にはもちろんその性能を発揮できるだろう。その点、LUMIX S 50mm F1.8は街中でのスナップ撮影やポートレート撮影に適しており、「パッと撮ってパッと移動」というスタイルならむしろこちらのレンズの方をおすすめできる。

また、LUMIX S5との組み合わせで使用したのだが、AF性能の高さにも驚かされた。掲載している写真のほとんどが「人体認識AF」を使って撮影しているのだが、ピントの追従性能が高く、狙った場所にAFを合わせ続けてくれる。240fpsのAF制御が効いているのだろう。これ1本あれば、どんなシーンでも楽しめるのが50mmという画角のいいところ。自分の足で被写体との距離や画角を調節することで、個性豊かな写真を撮ることができる。筆者も大の50mm好きであり、この画角のレンズで何十年も勉強させてもらった。だからこそ50mmレンズはロマンがあり、自分に合ったレンズ選びが難しいとも言える。 LUMIX S 50mm F1.8は目立った特長のない単焦点レンズにみえるかもしれないが、このレンズを使い潰してから、さらに高性能なハイグレードレンズに移行してもいい。そういう「ファーストステップレンズ」になり得るレンズだ。

モデル/cocoro 文・撮影/大貝篤史


■LUMIX S 50mm F1.8
https://panasonic.jp/dc/products/s_series_lens/lumix_s_50.html

■LUMIX S5
https://panasonic.jp/dc/products/s_series/s5.htm


https://orphotograph.com/2021/02/11/panasonic-lumix-s-85mm-f1-8-shooting-report/