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LUMIX Creative Photo Style | 大貝篤史

「 Flower 」

淡い色使いの中に透明感を感じる
積極的に使いたくなるフォトスタイル

 日頃からポートレート作品を作り上げている写真家としても活動しているコンテンツクリエイティブ・ディレクターの大貝篤史氏。今回の作品「Flower」で使用したフォトスタイルの印象はどうだったのか。
「今回の撮影は、LUMIX S5に追加フォトスタイル『L.クラシックネオ』を使って撮影しています。デフォルトのままではなく、カメラ内設定で各種のパロメーターを自分好みに変更しています。このフォトスタイルは、大学生時代に使っていたコダックのポートラ400で、少し露出を高めに設定して撮影した様な色合いです。浅い色合いにどこか懐かしい雰囲気がありますね。さらにデジタルらしいヌケ感と透明感がアレンジされているのは、デジタル時代らしい非常にまとまったフォトスタイルです」
 そう話す大貝氏。このフォトスタイルを使う上で気をつけたことはあるのだろうか。
「LUMIXシリーズに搭載されているフォトスタイルはそのまま選んでもその効果を感じることができるほど、写真の性格を変えてくれます。しかし、そこに『個性』を付加させることで、より作品力が上がります。そのためにも、積極的にフォトスタイルの調整パラメーターを動かし、自分だけのプリセットを作るといいでしょう。実際に僕も30パターンほどプリセットを作り、ひとつずつ試しました。手間はかかりますが、自分らしい『色』を見つける楽しさがあり、その事自体が面白いと感じました」

 カメラに搭載されているデフォルトの機能をどこまで自分好みにしていくか。それこそが作品の完成度アップにつながりそうだ。今回掲載の作品「Flower」についても聞いてみた。
「淡く透明感のある世界を表現したく、まだまだ寒い冬の海で撮影してきました(笑)。このフォトスタイルは『青』と『黄色』の色使いがとても特長的ですので、その雰囲気を生かせる作品になったと思います。スチル作品だけではなく短編ですが動画作品も同時に撮影。両方とも世界観を同じにすることで、見てくれた人にも比較的わかりやすい作品になったと思います。作品のコンセプトは、春ということもありつぼみから花咲くまでの時間の流れをモデルで表現してみました。どことなく懐かしい雰囲気がコンセプトにあっていて、とても気に入っています。LUMIX S5に搭載されている『スロー&クイック』機能を効果的に使うことで、動画にメリハリをつけることができます。『L.クラシックネオ』は透明感のあるフォトスタイルなので、昼間の撮影ならその恩恵を存分に受けることができます。
 また、LUMIXシリーズ全般に言えますが、スチルでも動画でもフォトスタイルは使えるので、共通したイメージで撮影可能です。それは、両方の作品をリンクさせたいと思うときには、非常に有効だと感じましたね。僕にとってスチルであれ、動画であれ、一体感は重要です。LUMIX S5ならそれをいとも簡単に実現してくれます」

 今回使用した中望遠単焦点レンズ「LUMIX S 85mm F1.8」に関しても大貝氏はこう語る。
「スチルと動画ともに、LUMIX S 85mm F1.8のみで撮影しています。SIGMAの85mm F1.4のレンズと比べても、かなり小型かつ軽量なので、LUMIX S5に装着した状態でもかなり振り回せるレンズです。1日約6時間程度休まず撮影。その間、4時間程度は握りっぱなしでしたが、腕の疲れなどは皆無で快適に撮影できました。開放値はf1.8と十分な明るさがあり、背景をぼかしながらのスチルおよび動画撮影ができます。ポートレートには最適な焦点距離ですので、『THE PORTRAIT』な撮影に最適です。オートフォーカスに関してもかなり高速に動いてくれるため、撮りたい瞬間を逃しません。作品にあるように、モデルが走っていく後ろ姿の撮影は、AF-Cにセットしているのですが、迷うことなくきちんと追従しれくれました。さらに驚かされたのは光学性能の高さ。開放値での撮影でもレンズ周辺の落ち込みもありませんし、逆光時の嫌なフレアやゴースト、パープルフリンジもほぼ出ません。『L.クラシックネオ』のいいところをきちんと再現できるレンズだと感じました」
 ハイアマチュアからプロまで幅広い層に支持されているLUMIX S5。その魅力をズバリ聞いてみた。
「LUMIX S5の魅力のひとつは追加された『L.クラシックネオ』というフォトスタイルだと断言できます。なぜならこのフォトスタイルは現状ではLUMIX S5でしか味わえません。基本性能はLUMIX S1に似ている部分があり、LUMIX S1よりもかなり小型かつ軽量であることは確かにアドバンテージです。しかし、わざわざ買い替えるにはスペック的変更点はそれほど多いとは思えません。このフォトスタイルをLUMIX S5の購入のきっかけにしてもいいと思えるほど、他にはない写真・動画表現の可能性になると思います。たかがフォトスタイル、されどフォトスタイルです。昨今では、いかにSNSやコンテストで自分らしい美しい作品を発表するかが重要になっています。そのような目的にもこのフォトスタイルは活躍してくれるでしょう。モノクロ系フォトスタイルであるL.モノクロームシリーズが人気であるように、きっとこのフォトスタイルもどんどん派生していくことを期待しています。そうなると面白いですね」

■撮影/大貝篤史 文/orphotograph編集部 モデル/安倍萌生 ヘアメイク/隅田たくみ