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shoot on LUMIX S5II

「スキントーンの難しいところがしっかりと描かれている」

人肌表現が「命」のビューティー分野で定評のある写真家の高桑正義さん。
日々のモデル撮影において重要視する「人肌表現」についてLUMIX S5IIの可能性を聞いた。

スナップポートレートからスタジオワークまで幅広く人物撮影をこなす写真家の高桑正義さん。LUMIX S5から使用しているからこそ、その進化についてシビアな目線で見ていたという。そんな高桑さんが注目したのがスキントーンだ。

「日頃から広告や作品づくりでポートレートを中心に撮影しているので、一番気になったのはやはり『スキントーン』でした。LUMIX S5のコンセプトである『生命力、生命美』をそのまま継承し、さらに磨きがかかったと聞いていたので期待していたのですが、想像以上の出来栄えでしたね。肌のグラデーションがとてもきれいで、細部までしっかりと写しています。さらに白飛びなどもせず、ギリギリのところで粘るような印象を受けました。また、デジタルカメラ全般に言えるのですがどうしても赤系の色がくすむ傾向にあります。しかし、LUMIX S5IIなら赤がそのまましっかりと表現できていて、飽和してしまうこともありません。さらにシャドー部に乗ってくる赤に関しても濁りが少なく、まさに人肌表現に向いているカメラです。ダイナミックレンジが広いこともあり、コントラストの描写が優秀で、ストロボで極端な撮影を行っても破綻しません。スタジオワークでも積極的に使っていけますし、モノクロなどコントラストの描写が『肝』になる撮影でもメリハリのある写真を撮ることができます」

shoot on LUMIX S5II

LUMIX S5II + LUMIX S 85mm F1.8・1/20秒・f1.8・ISO100

そう話す高桑さん。新開発のCMOSセンサーと画像処理エンジン「ヴィーナスエンジン」の恩恵がもっとも出やすいのはポートレート撮影だと思うが、その点においてもまったく死角のないカメラになっている。豊かなダイナミックレンジがあることでの恩恵は大きい。

「これだけのグラデーション性能と色深度があると、写真に厚みが出てきます。立体感のある写真を撮ることができるので、その場の空気感を演出しやすいカメラです。写真はどうしても2次元での表現ですので、そこに奥行き感を表現したいとなるとカメラとレンズの両方の性能が要求されます。今回使用したLUMIX S PRO 50mm F1.4とLUMIX S 85mm F1.8の描写力がよく、相乗効果でより立体感が演出できています。カメラはボディーの性能だけで語るのではなく、やはりレンズ性能も重要です。そのバランスがとてもいいのがこのカメラシステムの素晴らしい点です」

shoot on LUMIX S5II

LUMIX S5II + LUMIX S 85mm F1.8・1/8秒・f8・ISO100

センサーの素性の良さや画像処理エンジンの描写力を活かすも殺すもレンズ性能であることが高桑さんのコメントから読み取れる。LUMIX Sシリーズのレンズ群も単焦点を中心にだいぶ増えてきており、これからも楽しみだ。ポートレート撮影においてアドバンテージを感じた機能は他にあったのだろうか。「撮影時には人体認識AFを使用しましたが、瞳にしっかりとオートフォーカスが合焦し、精度に関してもまったく申し分がないレベルです。LUMIX S5でもそれほど不満はありませんでしたが、さらに磨きがかかった印象です。やはり像面位相差AFの追加が効いているのでしょう。今回はスタジオでの作品撮りだったので、それほど激しくモデルが動くシーンはありませんでしたが、大きく動くシーンよりも小刻みに前後左右に動くモデルの瞳にしっかりとAFが追従し続けることができるかどうかのほうが重要です。その点、LUMIX S5IIに関しては安心感のある十分な性能を持っており、AF-Cでの撮影でも精度がいいですね。

さらに、ボディー内手ブレ補正機構に関してもしっかり効いているのがわかるほどです。さらに作品として敢えて『ブレ』がほしいシーンでも縦もしくは横のみの手ブレ補正を効かせるができるため、ストロボを使った面白い表現などにもしっかりと対応できます。自分の意図に合わせて変えていけるがいい。きちんと写真機として意識した機能が盛り込まれているのがうれしいです」

shoot on LUMIX S5II

LUMIX S5II + LUMIX S 85mm F1.8・1/80秒・f4.5・ISO100

そう話してくれた高桑さん。LUMIX S5IIを手にしてさらに想像力が掻き立てられ、今後は動画作品などもトライしてみたいと話してくれた。スチル撮影だけではなく、動画作品への期待値が高いのもLUMIXシリーズの特長だ。写真作家の創作意欲を高めてくれるカメラだからこそ、細かい進化が求められる。このカメラには「もっといいものを創造したい」と思わせてくれる何かがあるのだろう。

文/大貝篤史  撮影/高桑正義  モデル/川辺優紀子