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増えるハイブリッドなカメラ

約6分


増えるハイブリッドなカメラ

FUJIFILM X-M5 SHOOTING REVIEW

富士フイルムから発売され当初から人気の高いコンパクトミラーレスカメラX-M5。このカメラのコンセプトは「still&movie」でこのカメラひとつで二役をしっかりと担ってくれるカメラだ。小型かつ軽量でありながらも上位モデルと同様のエンジン「X-Processor 5」を搭載。センサーには扱いやすい約2610万画素のAPS-Cセンサーを搭載している。これほどのセンサーを搭載してれば、十分に写真および動画撮影が可能だ。

今回のモデルは動画を強く意識したカメラなため、LVFは搭載されておらず、背面モニタでの確認となっている。実際に使用してみた感想は、スチル撮影メインの場合は正直EVFが搭載されているX-T系、X-E系シリーズの方がより扱いやすい印象だ。特に日差しの強い日の順光シーンではテカリが入り込み、ほとんど視認できない。逆光やサイド光での撮影であればそれほど気にはならない。これはある特定の人になるが、近視で老眼気味の人にとってはEVFがあったほうが、写真だろうが動画だろうがやはり使い勝手はいいのが現実だ。

FUJIFILM X-M5 + SIGMA 30mm F1.4 DC DN | Contemporary・1/3800秒・f5・ISO160

FUJIFILM X-M5 + SIGMA 30mm F1.4 DC DN | Contemporary・1/1400秒・f1.4・ISO160


スチル撮影がメインの方にオススメな機能が「フィルムシミュレーション」だ。この機能はメーカーが用意しているデフォルトのカラーファイルを撮影時にリアルタイム反映してくれる機能で、効果の違うカラープロファイルを選択することで、より自分好みの色合いの写真や動画を撮影できる。個人的に好みなのは「クラシックネガ」だ。よりフィルムライクなイメージで撮影でき、懐かしいノスタルジックな写真が撮影可能だ。

FUJIFILM X-M5 + SIGMA 30mm F1.4 DC DN | Contemporary・1/3500秒・f1.4・ISO160

FUJIFILM X-M5 + SIGMA 30mm F1.4 DC DN | Contemporary・1/3800秒・f1.4・ISO160


さらにカメラ内で追い込んでいくことが可能で、細かい調整はメニュー画面から適切な数値を選び反映できる。既定のカラープロファイルをそのまま使用すると、どうしても他の人と似たような雰囲気になってしまいがちだが、デフォルトをいじることで、より自分らしいユニークさを演出できる。

FUJIFILM X-M5 + SIGMA 30mm F1.4 DC DN | Contemporary・1/3800秒・f1.4・ISO160

FUJIFILM X-M5 + SIGMA 30mm F1.4 DC DN | Contemporary・1/5400秒・f1.4・ISO160

動画撮影時にもこのカラープロファイルを使用することが可能。共通のカラープロファイルを使用することで、写真と動画の世界観を大きく変えることなく、一体感のある作品を作りこむことができる。 動画撮影に関しては、F-log撮影を行うことが可能。最大で13stop(F-log2)での撮影が可能となり、グレーディング次第でよりオリジナリティのある動画を作成することができる。2種類のF-logがあり、よりダイナミックレンジが広い「F-log2」があるが、ベース感度がISO1250からとなっているため、日中での撮影では可変NDフィルターが必須になる。「F-log」のほうはISO800ということで、開放値での撮影を行う場合にはやはりNDフィルターは必須になる。カラーグレーディング前提なのは、とてもに「夢のある話」だが、それなりの動画制作ソフトとそれなりのパソコン環境、知識が必要になる。その点を考えると、フィルムシミュレーションをうまく活用することで、完成度の高い動画を気軽に撮影できるのではないだろうか。

FUJIFILM X-M5 + SIGMA 30mm F1.4 DC DN | Contemporary・1/1900秒・f1.4・ISO160

FUJIFILM X-M5 + SIGMA 30mm F1.4 DC DN | Contemporary・1/4400秒・f1.4・ISO160

スチル撮影においても最近はRAWデータをベースとした現像処理が主力になりつつある。フィルムシミュレーションを使うもよし、RAW現像処理で追い込むのもよし、自分らしい世界観を表現するのに便利なツールや機能が増えていることは間違いない。そういった「ハイブリット」なカメラが今後はさらに増えていき、写真も映像も気軽にハイクオリティな撮影が可能になるのだろう。

FUJIFILM X-M5 + SIGMA 30mm F1.4 DC DN | Contemporary・1/2900秒・f1.4・ISO160

FUJIFILM X-M5 + SIGMA 30mm F1.4 DC DN | Contemporary・1/2000秒・f1.8・ISO160

FUJIFILM X-M5 + SIGMA 30mm F1.4 DC DN | Contemporary・1/2900秒・f1.4・ISO160

FUJIFILM X-M5 + SIGMA 30mm F1.4 DC DN | Contemporary・1/3200秒・f1.4・ISO160


要はカメラを購入して何がやりたいのか……ということに尽きるだろう。写真だけの人もいれば、動画だけの人、そして両方の撮影をする人などなど、自分の撮影スタイルと目的に合わせて、カメラを選ぶことで、その先にある「色管理」の仕方が見えてくる。自己表現のツールとしてカメラを持っているZ世代にとっては、カメラとは重要なツールになりつつある。ポケットサイズながらも高性能なX-M5は、多くの20-30代から支持を受けるはずだ。

FUJIFILM X-M5 + SIGMA 30mm F1.4 DC DN | Contemporary・1/80秒・f1.6・ISO1250

FUJIFILM X-M5 + SIGMA 30mm F1.4 DC DN | Contemporary・1/50秒・f1.4・ISO1250

■モデル:latte (らて)

■製品情報
FUJIFILM X-M5
https://www.fujifilm-x.com/ja-jp/products/cameras/x-m5/

SIGMA
https://www.sigma-global.com/jp/lenses/c016_30_14/