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写真の今がわかるWeb情報マガジン

狭間 -Vol.01-

約3分

はじめての冒険。非日常なセカイ。
少しだけいつもとは違う「自分」。
来たことも知りもしない地に訪れた。
そこにはまるで昭和な時代を匂わせるようなセカイが広がる。
どこかタイムスリップしてしまったかのような
不思議な体験だ。


海に憧れるときがある。時には恐れられ、
時には雄大な恵みを与えてくれる。
だから海はとても好き。
ここではすべてが平等で、そして彼女はより一層美しくなる。
まるで胎児だったときの記憶をたどるように、懐かしくも安らぐ
不思議な空間だ。

何気ない彼女を見ていると、
どこか忘れていた気持ちがこみ上げてくる。
人が人であるために必要なことはなんなのか……。
リスペクトすること、相手を思いやること、理解すること。
それでも上辺だけの言葉に成り下がっていく。
それこそが、一番恐れていたことだし、
写真に写したいことを上辺だけ掬って、
それでよしということではないのだろう。


夜が来た。夜はやってくるのだ。
遠い先から少しずつ確実に向こうから
あらゆるものを押し流すために、
その勢いのままやってくる。
流されていく……。
その圧倒的な存在にボクは何もできない。
彼女もきっとそうだろう。
美しくも儚い。
けれど、もっとも人間らしい瞬間。
人間であることを忘れてしまえば、もう後戻りはできなくなる。
それを毎日教えてくれるのが「夜」という空間だ。


闇が支配した後は、
そこにはmonochromeなセカイが広がっている。
彼女が写るものはすべての色がかき消されて、
そこにはさらけだされた
「真実」しか写らない。
ありふれた日常で、
どこにでもある光景なのだがろう。
だからこそ、儚くそして美しく、尊いもの。
誰かが誰かの側にいること。
例えそれがどんなカタチであれ、
見ないフリなどできない。
だって、キミらしい瞬間があるから。

Photographer : Atsushi Ogai 
Model : KUROYUKA

Camera : Nikon Z 6 , LUMIX S5II
Lenz : AF-S NIKKOR 50mm f/1.4G , AF-S NIKKOR 85mm f/1.8G , Planar 50mm f1.4 , Planar 35mm f2 , SIGMA 20mm f1.4 DG DN | Art , SIGMA 24mm f1.4 DG DN | Art

Model profile

KUROYUKA

愛知県で被写体活動を行っている彼女。普段の自分と理想の自分の狭間で葛藤しながら、日々の生活を送っている。
今後はモデルとしてさらになる飛躍を目指して、さまざまな表現や可能性を模索中。今回の撮影も自分の可能性を引き出すために、テーマを持って行った。

Instagram @kurocker_17