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FXボディーでDXレンズを使うという「選択肢」

約6分


FXボディーでDXレンズを
使うという「選択肢」の意味

Nikon Z 6
SIGMA 30mm F1.4 DC DN | Contemporary
SIGMA 56mm F1.4 DC DN | Contemporary


ニコンのカメラには

FXフォーマットとDXフォーマットがある

 ニコンのカメラシステムにはフルサイズ(FX)とAPS-C(DX)がある。もともと一眼レフカメラの販売時からふたつのフォーマットは存在した。大きな差はセンサーサイズにおける実質的な焦点距離の違いや、ボディーの価格差が大きいところだ。ミラーレスカメラ「Zシリーズ」は、かなり大口径なマウント径であり、FXフォーマットカメラにDXレンズを装着するという選択は、もはや単なる「妥協」ではなく、意図的なメリットを想定しての「選択」へと変わった。

 この組み合わせを語る上で重要なポイントは、ミラーレスカメラだからこそEVFを採用したことが大きい。一眼レフカメラにDXレンズを装着すれば、ファインダーの隅には暗い影が落ち、クロップ枠という名の制約に視界を狭められたが、ZシリーズのファインダーはEVFのため、レンズを装着した瞬間にオートでDXモードへと切り替わる。ファインダーいっぱいにクロップされた像を写し出してくれる。


広がるレンズの選択とDXから

FXボディへの移行のしやすさ

 選択肢が広がったことの恩恵は、言うまでもなく「機動力の確保」にある。たとえば、Z 8というミドルクラスのカメラに、あえてパンケーキのようなZ DX 16-50mm f/3.5-6.3 VRやSIGMA 30mm F1.4 DC DN | Contemporaryなどの小型かつ軽量なDXレンズを装着すれば大幅な軽量化に成功する。フルサイズの常用ズームレンズや明るい単焦点レンズでは成し得ないこの「軽量化」は、撮影者のフットワークを劇的に軽くし、重厚な機材では躊躇してしまったであろう「もう一歩」の踏み込みを可能にする。また、望遠域レンズにおいてもこの傾向は顕著だ。DX 50-250mmを装着すれば、FX換算で375mm相当の画角を、片手に収まるほどの質量で手に入れられる。この「擬似的な焦点距離の延伸」は、荷物を極限まで削りたい山行や、予測不能な動きを追うフィールドにおいて、圧倒的なアドバンテージとなる。

 また、高額なFXボディーを購入する際にFXレンズまで完全に移行するにはイニシャルコトストがかかる。そんな際にでも、一旦はボディーのみ買い替え、資金が貯まり次第、レンズも入れ替えるなどDXレンズ資産をうまく活用することで、移行もスムーズに行える。

Nikon Z 6 + SIGMA 30mm F1.4 DC DN | Contemporary・1/8000秒・f1.4・ISO100

Nikon Z 6 + SIGMA 30mm F1.4 DC DN | Contemporary・1/160秒・f10・ISO100


DXクロップにおける
センサー画素の制約はある


 デメリットとして真っ先にあがるのがDXクロップにおける弊害だ。例えば約4500万画素を誇る高画素機であれば、DXクロップ後は約1950万画素という、一般的なスタンダードミラーレスカメラに匹敵する解像度まで落ちる。Nikon Z 6シリーズのような約2450万画素のスタンダード機では、記録画素数は約1030万画素まで落ち込む。これを「十分」と見るか「不足」と見るかは、撮り手の思想に委ねられるが、大判プリントや大幅なトリミングを前提とするならば、そこには明確な限界線が引かれている。さらに、センサーの中央部しか使わないということは、FX機が本来持っている豊かな階調表現や、高感度時におけるノイズ耐性の余裕を、使い切ることにはならない。例えば同じF値であっても、被写界深度は深くなり、フルサイズ特有の、背景が溶け出すような空気感は幾分なりとも影を潜めることになる。

Nikon Z 6 + SIGMA 30mm F1.4 DC DN | Contemporary・1/1250秒・f5.6・ISO100

Nikon Z 6 + SIGMA 30mm F1.4 DC DN | Contemporary・1/8000秒・f1.4・ISO100


大切なのは自分の
撮りたい写真の方向性

 しかし、写真の価値とは、全てにおいて高画素モデルがもたらす絶対的な解像感や圧倒的なボケ量の多さで決まるものだろうか。かつて写真誌『アサヒカメラ』の誌面を飾った名作たちの多くが、現代のデジタルカメラのスペックからみれば、アドバンテックなどまったくないカメラシステムで撮られていたことを思い出してほしい。FXフォーマットカメラにDXレンズを纏わせるという選択は、機材の性能を極限まで引き出すことへの執着を捨て、代わりに「撮ることの軽やかさ」を手に入れるための高次元な「トレードオフ」であるという考え方もできないでもない。

自分の写真をどんな媒体で発表するのか、作品の方向性においてどこまでの解像感が必要なのか……。など作品の方向性を確立することで、FXフォーマットカメラにDXレンズを装着するデメリットはかき消されるだろう。ニコンが用意したこの「遊び」とも言える互換性は、機材に撮らされるのか、それとも機材を使い倒すのか……。そんな問いかけすら感じるものだ。

Nikon Z 6 + SIGMA 30mm F1.4 DC DN | Contemporary・1/8000秒・f1.4・ISO100

Nikon Z 6 + SIGMA 30mm F1.4 DC DN | Contemporary・1/8000秒・f1.4・ISO100

Nikon Z 6 + SIGMA 30mm F1.4 DC DN | Contemporary・1/1250秒・f1.4・ISO100

Nikon Z 6 + SIGMA 56mm F1.4 DC DN | Contemporary・1/1250秒・f1.4・ISO100

Nikon Z 6 + SIGMA 16mm F1.4 DC DN | Contemporary・1/2000秒・f1.4・ISO100

■モデル協力/KAYO 

■製品情報
Nikon Zシリーズ https://nij.nikon.com/products/mirrorless/?srsltid=AfmBOoo_zj6c8sTfzbVLmz3Nh6k7P3QMBqQBW-iKY69hU_-heOQMat5t
シグマ https://www.sigma-global.com/jp/