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富士フイルムのXシリーズの新ポートレートレンズ現る!

約4分

富士フイルムは「Xシリーズ」用のポートレート撮影に最適な中望遠単焦点レンズである「XF50mmF1 R WR」を2020年9月24日(木)から発売を開始する。希望小売価格は20万円(税別)で実勢価格は18万円前後になると予測されている。

当初示していたレンズロードマップでは33㍉(35㍉判換算で50mm相当)であったが、より上質なボケ味と小型かつ軽量化を考慮した結果、50㍉(35㍉判換算で75mm相当)で開発することを決意。その甲斐あって、片手で握れるほどの大きさと約845㌘とF値が1.0のレンズとしては非常に扱いやすいサイズ感と重さだ。最新現行モデルであるX-T4との組み合わせにおいてのバランスはよく、いち早くレビューを担当した写真家の高桑正義さんも絶賛。ボディーとレンズのバランスがいいことでもたつきのないキビキビした撮影が可能であることなどその「アドバンテージ」について話していた。

同社のX-T4とX-Pro3に装着したイメージ

またこのレンズの魅力は、超明るい開放値を「オートフォーカス」で使用できるということだろう。AF方式に「リアフォーカス方式」を採用。前玉が大きなレンズでありながら優れたAF性能と軽量化が実現できた。さらに、富士フイルムがこだわったのは「ボケ味」だ。高桑さんいわく「開放値では非常に柔らかいボケを実現させながらも、少し絞り込むことでシャープさも手に入る」と熱弁。玉ボケの美しさにこだわり、ガラスモールドレンズの金具に超精密加工を施工。ボケの中に現れる「同心円状の模様」を徹底的に抑制。その恩恵は絶大で、玉ボケが非常にクリアでヌケのいいものになっている。レンズのボケの質と量は、その焦点距離と開放値の明るさで決まるが、APS-CサイズのセンサーであるXシリーズを考慮すると、非常に強いボケを楽しめるレンズだろう。実際に同社が発売しているデジタル中判カメラ用レンズである「GF」レンズシリーズの近い焦点距離のものと比べ、遜色のないボケ味が感じられるというのは、とても興味深い。ポートレート撮影をこよなく愛する人には「ボケ番長」は多いはず。APS-Cセンサーモデルだとボケにくいと感じる人にとってはのどから手が出るほど、欲しいレンズになりそうだ。

少し気になるのは、焦点距離の近い「元祖・ポートレートレンズ」であるXF56mmF1.2 Rとの「棲み分け」だ。その点に関してはプレゼンに参加していた高桑さんは「XF56mmに関しては開放値からシャープな描写だが、XF50mmF1 R WRは開放値で非常に柔らかく、オールドレンズのような味付けを感じた。そういう描写を味わいたいならXF50mmF1 R WRはおすすめできる」と話す。要は使い所なのだろう。ポートレート撮影に最適であることは間違いないが、俊敏なAF性能をフルに使えるレンズであれば、スナップ撮影にも多用できるだろうし、風景写真ではインパクトのある1枚を撮影できるレンズになるかもしれない。このレンズは使い手の想像力を試すレンズなのでは……とさえ思わせてくれるレンズなのだ。

少しあとになるかもしれないが、そのうちレビューさせてもらったら、レポートを掲載したい。(※その時はきっとポートレートなのだろう)

文/大貝篤史

■富士フイルム XF50mm F1 R WR製品ページ
https://fujifilm-x.com/ja-jp/products/lenses/xf50mmf1-r-wr/

■高桑正義さんサイト
https://www.seigi-photograph.com/