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手に届く中判デジタルカメラ 富士フイルムGFX100S

約4分

新しい風を引き込むGFX100S

 富士フイルムからプロフェッショナルニーズからハイアマチュア向けのラージフォーマットデジタルカメラ「GFX100S」が発表された。GFX100Sは、高精細な自然風景、コマーシャルシーン、ファッション、営業写真館向けを想定としたカメラ。2017年1月にGFX 50Sを、19年にはGFX100を発売。GFX100は有効画素数約1億200万画素を達成。ラージフォーマットデジタルカメラとしての確固たる地位を確立した。その後継機が今回のGFX100Sに当たる。富士フイルムがこだわるラージフォーマット。ラージフォーマットカメラが引き出す、写真の立体感や圧倒的な質感はかなり魅力的だ。フルサイズがどれだけ進化しても、センサーフォーマットサイズのアドバンテージは根本的に解決できないという。フルサイズセンサー機の約1.7倍ものセンサー面は、取り込める光の量が圧倒的であり、緻密な色再現、広い階調感が実現できる。その結果、圧倒的な立体感につながっていくのだ。

 また、GFX100Sの魅力はそのモンスタースペックを、GFX100と比べて約30%も小さなボディーサイズに収まっていることだ。重量もGFX100に比べ、約500㌘も軽い約900㌘だ。このサイズ感と重さならフィールドワークにも十分対応でき、撮れる写真の幅が増えるのは間違いない。さらに、新開発のボディー内手ブレ補正機能を搭載し、最大約6段分の手ブレを補正してくれる。またシャッターユニットも改良し小型化。あらゆる内部パーツを小型化することで、これだけの「軽量化」を実現している。もちろん、プロユースを想定していることがあり、ボディーはマグネシウム合金、防塵防滴、耐低温性設計となっている。想定価格は約70万円。

GFX100S

ラージフォーマットでも高度なAF性能

 GFX100Sの深化ポイントに、AF性能の向上がある。従来の概念では、ラージフォーマットのセンサーは、動体撮影は難しいとされていた。しかし、GFX100Sはかなり高度なトラッキングAFを採用しており、動き回る被写体を捉え続け、正確なAFが可能になっている。合焦スピードも最速0.18秒を実現。もっさり感があるようなイメージを持つラージフォーマットカメラのイメージは、もはや皆無に等しいだろう。また、よもや定番化している顔・瞳検出AFも実装しており、あらゆる被写体で快適な撮影を約束してくれる。

 この恩恵は、動画撮影時にもアドバンテージになる。4K 30P 4:2:0 10bit(カメラ内SDカード)の動画性能を誇り、ラージフォーマットならではの「懐の深い」映像を叩き出してくれるが、その分、厳密なピント合わせが重要になってくる。実写していないのでこの段階ではなんとも言えないが、このAF性能が動画でもしっかり作動すれば、品質の高い4K動画が撮影できることになる。それもイージーに……。ぜひ、実写レポートの際には検証してみたい。

GF80mm F1.7 R WRはポートレートに最適なレンズ

 GFX100Sのリリースに伴って、新レンズもリリースされた。それが、GF80mm F1.7 R WRだ。フルサイズ換算で約63㍉相当ということで、少し長めの標準域の単焦点レンズ。画角が50㍉に近いため、使い勝手のいいレンズだ。GFX100Sの機動力を生かしたスナップ撮影から、その豊かなボケ味を生かしたポートレート撮影まで幅広い層にアピールできるレンズだ。

 開放値はf1.7であり、ラージフォーマット用としては、かなり明るいレンズとなっている。長さは約99.2㍉、重量は約795㌘とかなり携帯性のいいレンズだ。GFX100S同様に、防塵・防滴仕様でマイナス10℃の耐低温構造になっている。これも実写レポートでその特性をお届けしたい。


文/大貝篤史

富士フイルム GFX100S
https://fujifilm-x.com/ja-jp/products/cameras/gfx100s/

富士フイルム GF80mm F1.7 R WR
https://fujifilm-x.com/ja-jp/products/lenses/gf80mmf17-r-wr/