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写真の「チカラ」 #09  大門美奈

約 3 分

写真を見て記憶が蘇る、そういう写真が撮りたい

私の写真の原点は、大学生のときに学んでいた「造園学」だ。その専攻では、風景、景観について学んでいた。風景とは面白いもので、観光的要素を濃く表現すれば「光景」、思い出などの記憶を強く意識すれば「情景」なのだ。見る人や感じる人によって景色はいろいろなものに見えてくる。そういった「共感覚」こそが私にとっての「写真」なのだ。
そもそも写真の始まりは、フィルムカメラを使ってスライド用の資料を撮っていたことがきっかけだ。その時に感じたのは、自分の世界がこうも思い通りに表現できるのか……という感覚だった。それから、卒論のためにスペインに行って水路や建造物などを撮っていたのだが、街中を撮る楽しみも感じ、スナップ撮影に興味を持った。それから今に至るのである。

自分自身の「色」を表現できるカメラがいい

私の写真は少し暗めのトーンの写真が多い。それは、アートスクールに通っていたときの影響かもしれない。その時の授業では、自分の好きな色を知るためにカラーチャートを作ることがあった。色相環を作って、カラーチップを自分で着色して作り上げる。そのときに、出来上がったものを見ると、暗めのトーンのものが多く、自分の好みの色が確立した。その時のイメージが今でもあり、そういうトーンの写真を好むようになったのだ。
カメラも自分の色が出せるものを使っている。そういう意味で、シグマのdp Quattroシリーズはとても気に入っているカメラだ。3層構造のFoveonセンサーならではの色相の深さが、私好みの色を作り上げるのに適している。このカメラでなくては表現できない色も存在するだろう。また、スナップ撮影ならLeica M10を使うことが多い。自分の撮りたいフィールドに合ったカメラを持ち出し、自由気ままに撮影する。写真は人を豊かにするのだ。2020年はカラーでの表現をもっと増やしたいと思っている。いつかその集大成を写真展という形でお披露目したい。


大門美奈  だいもん・みな

神奈川県出身。2011年より写真家として活動をはじめる。作家活動のほか、カメラメーカーをはじめ生活雑貨メーカーやアパレルブランドとのタイアップ企画などに参加。個展・グループ展多数開催。写真集に「浜」(赤々舎)など。International Photography Awards 2017および2019にて入選。http://www.minadaimon.com/