orphotograph

写真の今がわかるWeb情報マガジン

SIGMA fp SHOOTING REPORT

約6分
SIGMA fp + LUMIX S PRO 50mm F1.4・1/8000秒・f1.4・ISO100・絞り優先モード

今までのカメラとは違うと感じるインパクトがある

2018年にライカカメラ社のLマウント規格をSIGMAとPanasonicが採用するいわゆる「3社アライアンス」の発表があった。その際には、ちょっとした衝撃が走るほど3社のカメラボディーにとっては朗報であり、新しい可能性を感じさせてくれるものだった。
そんな中、2019年10月に発売したSIGMAのfp。 カメラのコンセプトは「ポケッタブル・フルフレーム」というものだ。これは、このカメラを見たことがある人なら感じたことだと思うが、とにかく「小型」だ。センサーには有効画素数約2400万画素のフルサイズセンサーを搭載。大型のセンサーが搭載されていてこの大きさなのか…と思うほど小さい。もちろん、小さくすることで犠牲にしているものは多々あり、そのあたりをよくよく理解して購入するべきカメラであることは間違いないが、そもそもだがこのカメラは従来のカメラファンが一般的に使うような「使い方」を想定して造ったというよりかは、これから「新しい写真表現」をする上で、カメラに求められるものは何なのか……ということを「提案」してくれたカメラだ。このカメラを使う上でまずこの大前提を理解した上で使いたい。

SIGMA fp + 35mm F1.4 DG HSM | Art ・1/4000秒・f3.2・ISO100・絞り優先モード

カメラに多くを望まないこと

そういうことを前提にカメラを構えれば、俄然楽しいカメラだ。気さくに撮りたいときには背面モニターを見ながらタッチAFで瞬間的に撮れる。ちなみに今回の撮影では、ポートレートだったこともあり、ある程度しっかりと構図を決めてからシャッターを切るシーンが多かった。そういうシーンでは、AFの合焦スピードも思っていたよりも快適で、狙ったところにしっかりとピントが来る。瞳認識AFを使ってみたが、激しく動き回らない被写体なら十分に追従してくれるし、精度も高い。たまにワンテンポ遅れると感じることがあるが、それも「ご愛嬌」だ(笑)。ミラーレスカメラであることを最大限に生かしたAFエリアの広さも好感が持てる。被写体を配置する自由度が高いため、作品撮りの際に、自分の想像力を具現化した撮影が可能だろう。メカニカルシャッターがないことに関しては、当初は少し「違和感」を感じたが、今となっては特に気にならない。気になる点があるとすれば、それは外部ストロボの同調速度が14bit RAWでの撮影時には1/15秒になってしまうことだろう。ここまでスローシャッターだと三脚の使用は必須だし、ポートレートで使うには被写体ブレが気になる。物撮りなら使えると思うが、ストロボを使用したポートレート撮影には不向きなカメラだ。ただ、何度も言うがそういう使い方を「想定していない」カメラだと思えばいい。これ1台で何でもこなしたい……となると色々と不自由なところも出てくるが、このカメラの主戦場は「フィールド」であることを考えれば、2台持ちの2台目という選択がベストなカメラだろう。

SIGMA fp + 35mm F1.4 DG HSM | Art ・1/5000秒・f1.4・ISO100・絞り優先モード

色味はとても好感が持てる

このカメラ初めて使ったときから「おー!」と思うのが、その「色味」だ。同社が出しているdpシリーズやsdシリーズでは「下手くそな」筆者では自分の思うような色味を出すのにとても苦労する。この2シリーズはFoveonセンサーなので、そもそもfpとは違う。このカメラに搭載されているベイヤーセンサーは非常にポートレート向きな色味だと感じた。人肌に関しても嫌味がない新鮮さを感じる色づくりだし、なんと言っても透明感を感じる色味が出る。透明感はポートレート撮影においてはとても重要なポイントになる。RAW データのダイナミックレンジも広く高感度耐性もいい。夜間での撮影でもノイズの少ない安定した色が出るので、積極的に夜間撮影に使いたくなる。fpを使って思うのは、なんだかんだ言ってもカメラはやはり「色」だということ。自分が好感を持てる色味でないと、長くは使えない。ましてや「愛機」になることはないだろう。

SIGMA fp + LUMIX S PRO 50mm F1.4・1/1250秒・f1.6・ISO100・絞り優先モード

このカメラのもっとも“おしい”点

動画がメインではなく、スチル撮影が多い筆者にとって重要なのは「ファインダー」だ。8:2の割合でスチル撮影なので、「のぞき穴」はほしい。なぜファインダーがほしいかというと、それはズバリ「気分が乗る」からだ。ファインダーをのぞいていると、周りにも自分自身にも「撮っています!」というインパクトを与えることができる。それは特別な行為をしているのだということに酔いしれ、そして周りにもそれを納得させることができる。このボディーサイズは維持してほしいし、内蔵ファインダー搭載で大きくなってしまうならそれはもはや「fp」ではない。なので、できれば、外付けのEVFファインダーをセレクトできるようにしてほしかった。それなら「メイン機」にもなり得る!と思えるのだ。ちなみに、オプションでSIGMA LCD VIEW FINDER LVF-11というLCDビューファインダーがある。それをつければいいじゃんと思う人もいるかもしれないが、それをつけてしまうとfpのコンセプトから程遠い大きさになるのだ。何度もいうように、動画撮影ならそれでもいいかもしれない。しかし、あくまでもスチルカメラとしての使用を考えると、EVFは必須だと思う。

SIGMA fp + LUMIX S 24-105mm F4 MACRO O.I.S.・1/500秒・f4・ISO100・絞り優先モード

めざせ!! フルアーマーガ●ダム!

とはいえ、豊富なアクセサリー類は正直テンションが上がる。ほぼすべてオプション(以下、OP)を結局購入してしまった。購入したOPの合計金額はなんと13万2000円(税別)(※外部ストロボも同時購入)だ。ちょっとしたミドルクラスのミラーレスが変える値段……。しかしガンダム世代の筆者としては「フルアーマーガ●ダムにしたい」という願望を抑えることはできなかった。まさに「拡張性の鬼」のようなカメラだ。カメラとしての性能もしっかりと確保し、なんとなくOPを集める楽しみを与えてくれるSIGMAのfp。今の時代にはマッチしたカメラなのかもしれない。

SIGMA fp + LUMIX S PRO 50mm F1.4・1/2500秒・f1.8・ISO100・絞り優先モード

ここで紹介している商品はコチラ!


撮影・文/大貝篤史
モデル/広道優花(ABP)https://www.instagram.com/yuuka_hiromichi/?hl=ja

■SIGMA fp
https://www.sigma-global.com/jp/cameras/fp-series/

投げ銭でサイトのサポーターになろう!