orphotograph

写真の今がわかるWeb情報マガジン

SIGMA 105mm F2.8 DG DN MACRO | Art REPORT

約4分

非常にクリアでシャープな写りにうっとりする

2020年10月に発売したシグマの中望遠マクロレンズであるSIGMA 105mm F2.8 DG DN MACRO | Art。今回レポートして思ったのは、筆者にとっては非常に「食わず嫌い」なレンズだったことだ。「マクロ」レンズのイメージは、お花畑でおしべやめしべにクローズアップした写真やミツバチのような昆虫を撮影するためのレンズ……のような印象があり、さらにそういう作例が世に多いのも事実だ。その意識やイメージに引っ張られていたことがあり、「ポートレートには関係がないレンズかも」などと勝手に思っていた。しかし、今回の撮影で非常にそのことに後悔しつつも、これからは積極的に使っていけば、ポートレート作品の幅を広げてくれるレンズに成り得ると思うほどだ。程よい圧縮効果を狙った背景の整理された撮影や、モデルの目元など特徴ある部位に寄った少し目線の違うポートレート撮影の可能性を感じ、さらに全体的にシャープな写りはF1.4などの明るいレンズの優しい印象とは違う非常に現実感のある写真を撮ることができる。
開放値がF2.8ということだが、焦点距離が105mmと中望遠を活かしたボケ感があることで、実際のF値よりも大きなボケを感じる。さらに特筆すべきはその「解像感」だ。前述のように、開放値で撮影してもピント面だけでなく、全体的に「しゃきっとした」画になる。細かいディテールまでしっかりと描かれていて、絞り値がF1.4クラスの105mmとはまたひと味もふた味も違った印象の写真になる。また、非常に色乗りのいい描写力なので、被写体がそもそも持つ質感や色合いを忠実に表現できている。ボケ味はクリアなイメージで、ポートレート撮影に積極的に使用したいと思わせてくれるレンズだ。
よくよく考えてみれば、「Macro」という名称が付いているだけで、中望遠単焦点レンズであることには変わりがない。その点を忘れずにいれば、使いどころはどんどん増えていくだろう。

Panasonic LUMIX S1 + SIGMA 105mm F2.8 DG DN MACRO | Art

使い勝手のいい小型かつ軽量な筐体でどんなシーンでも使える

重量も約715g(Lマウント)と軽量。サイズ感も非常によく、携帯性がいい。さらにAFレンジが広いマイクロレンズならではだが、きちんと「フォーカスリミッタースイッチ」があることで、AFの駆動ロスも最小限にしてくれる。もちろん、動画対応を念頭においており、絞りリングのクリック音のON/OFFスイッチなどが搭載。撮影スタイルに合わせて、レンズ動作を自分の思い通りにコントロールが可能だ。さらにレンズ自体は防塵防滴仕様で、雨天時などの撮影でも気にすることなく使用できる。
また、AFの駆動音が非常に小さいのには驚いた。静音設計というわけではないだろうが、昆虫などを撮影する人には非常に好感が持てるはず。
さらに、最新のLマウント専用テレコンバーター「TC-1411(1.4倍)、TC-2011(2.0倍)」を使用することで、ワーキングディスタンスはそのままにさらに高倍率でのマクロ撮影ができるのもいい。
まさにオールマイティーなジャンルに対応できる中望遠レンズであり、撮影の幅を広げてくれる「ここ一番の隠し玉レンズ」としてカメラバックに潜めておいてはいかがだろうか。

Panasonic LUMIX S1 + SIGMA 105mm F2.8 DG DN MACRO | Art

■文・撮影/大貝篤史 モデル/マヤ
■SIGMA 105mm F2.8 DG DN MACRO | Art  https://www.sigma-global.com/jp/lenses/cas/product/art/a020_105_28/