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OM Digital Solutions OM-1 SHOOTING REPORT

約8分
OM-1
OM-1 ボディー

伝統の「OM-1」の名を冠したカメラ

2021年1月よりOMデジタルソリューションズとなったオリンパスのカメラ事業部。社名が変更してから初めてのフラッグシップモデルが「OM SYSTEM OM-1」(以下、OM-1)だ。筆者もオリンパス時代のOM-D E-M1 MarkⅡは所有していたことがあり、今回のインプレッションはひさびさのOMシリーズということでとても楽しみだった。
フラッグシップモデルというだけあり、ボディーを握った際の印象はとてもいい。マイクロフォーサーズ規格のセンサーを搭載しているメリット十分に生かしたボディーサイズながらも「これはカメラだ」と主張してくるボディーデザインは所有欲を擽る。特にグリップ部に関してはかなり改良されており、非常に握りやすく長時間握り続けていても違和感がまったくない。ほどよく大型化されたことで、手のひらに接する面積が広くなり、重めのレンズを装着した状態でもバランスがいい。このあたりは、さすが老舗のカメラメーカーの血統が流れていると感じる素晴らしさだ。OM-D E-M1 MarkⅢと比べるとセンサーの画素数には変更はなく、約2037万画素とマイクロフォーサーズ規格としては標準的。しかし、画像エンジンは「TruePic X」になっており、従来機よりも絵に繊細さが生まれた。45インチのPCモニターで見たときに、ここまで繊細に描写するのか…と思うほどだ。マイクロフォーサーズ規格だからといって細かなディテール表現が苦手ではないかと思っている人は、認識を改めたほうがいいと思うほどだ。また、常用感度もISO25600まで対応。夜間撮影や室内での撮影でも高速シャッターが使え、撮影できるジャンルや表現が増える。OM-1は小型かつ軽量なので、どこにでもいつでも持ち出せる一眼ミラーレスカメラであり、その特徴を具現化してくれる機能アップだ。描写力に関してもダイナミックレンジが従来モデルよりも広くなっていることが撮影時に実感できるほど改良されている。背面液晶パネルの視認性もよく、従来モデルのいいところはしっかりと受け継がれ、弱いと感じた部分を地味でも確実に改良している「総合力」の高いカメラだ。

OM Digital Solutions OM-1 + M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO

圧倒的な進化を感じたAF性能

今回の撮影時にもっとも驚いたのは「AF(オートフォーカス)」の進化だ。従来モデルに比べると合焦スピードも精度も大幅にアップ。この進化だけでも買い換える価値があると思えるほど、小気味いいAFだ。イメージとしてはシャッターボタンを半押ししたと同時に合焦していると感じるほど、駆動スピードが速い。
また、M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PROなどのかなり明るいレンズでの開放値撮影でも合わせたい部分に芯のあるピントが来る。マイクロフォーサーズ規格には明るいレンズ群が多数あるため、積極的に開放値で撮影するケースが多いと思うが、このカメラであれば安心して使える。1053点オールクロス像面位相差クアッドピクセルAFの恩恵は高く、カバー率も100%のため、フレームのどの部分でもピントを合わすことが可能だ。 今回のようなポートレート撮影時に活躍してくれるのが「顔検出AF」だ。被写体の顔や瞳を自動で認識し、合焦し続けてくれるのだが、この精度もさらに改善され、ほとんどのシーンでこのモードを使用した。レスポンスが格段に向上したことで、被写体を動かしながらの撮影を積極的に行えるため、バリエーションが豊富に撮れる。「AI被写体認識AF」は、フォーミュラカー、バイク、航空機、鉄道、鳥、動物などをカメラが判断し、適切な合焦を行ってくれる。カメラに任せられるところは任せることで、構図や光の向きなどを瞬時に追い込むことができ、完成度の高い写真を撮ることが可能だ。

OM Digital Solutions OM-1 + M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO
OM Digital Solutions OM-1 + フォクトレンダー NOKTON 25mm F0.95 Type II
OM Digital Solutions OM-1 + フォクトレンダー NOKTON 25mm F0.95 Type II
OM Digital Solutions OM-1 + M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO
OM Digital Solutions OM-1 + M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO
OM Digital Solutions OM-1 + M.ZUIKO DIGITAL ED 20mm F1.4 PRO
OM Digital Solutions OM-1 + M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO
※上から順に

フラッグシップである証

OM-1を手にして一番に感じたのは「安心感」だ。各メーカーからフラッグシップモデルはリリースされているが、OMシリーズはこの点に関しては非常に定評がある。レベルの高い防塵防滴性能、-10℃まで使用できる耐低温性能。さらにマグネシウム合金を使用したタフなボディー。センサーへのゴミ付着を抑制してくれるダストリダクションシステムなど、「どのメーカーも謳っているではないか」という機能だが、OM-1はどの機能もその効果・性能のレベルが非常に高いのだ。筆者はかなりラフなカメラの使い方をしている方だと思うが、悪劣な環境が起因するトラブルはOMシリーズにおいて遭遇したことは一度もない。壊れづらいカメラというのは、「プロモデル」において非常に重要なことなのだ。それも高いレベルであればあるほど、プロの相棒として長い間愛されるカメラであり続けることができる。もちろん、すべての写真愛好家が悪劣な環境で撮影をしているわけではない。だからこそ自分に適したカメラをチョイスすればいいのだが、「大は小を兼ねる」ように安心仕様であることに越したことない。そういう観点の「カメラ選び」があってもいい。

総合力のある信頼の一台

ポートレート撮影でのテストであったが、ストレスを感じるシーンはほとんどなかった。軽量かつコンパクトなため、モデルと徒歩での移動でもほとんど疲れを感じることはない。撮りたいシチュエーションで瞬間的に撮影できるため、周りにも迷惑をかけずに撮影できた。OMシリーズの「お家芸」とも言えるボディー内5軸手ぶれ補正機能のおかげで、高精細な写真を気軽に撮ることができる。ファインダー(EVF)も約576万ドットで倍率0.83倍であることで非常に見やすく、さらに120フレームのため残像も残らず、非常に見やすかった。撮影時に使用したレンズはM.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PROとM.ZUIKO DIGITAL ED 20mm F1.4 PRO、さらにM.ZUIKO DIGITAL ED 75mm F1.8だったが、ポートレートでは積極的に使っていきたいレンズ群の性能をフルに引き出せる「総合力」があるカメラだ。 今回は時間がなくテストできなかったが、動画性能も大幅にアップしている。「OMシリーズは動画機能はあまり充実していない」と感じる人が多かったと思うが、このモデルからは十分に動画メインの使い方も可能なのではと感じられるスペックだ。特にLogでの撮影が正式に追加され、カラーグレーディングの自由度が大幅にアップした「OM-Log」で白飛びや黒つぶれの少ない動画が撮影できる。さらにAtomos製「NINJA V、NINJA V+」を使用することで、AppleのProRes RAWでの撮影も可能。より本格的に動画作品を撮ることが可能だ。これからのOM-1の進化に目が離せない。

OM Digital Solutions OM-1 + M.ZUIKO DIGITAL ED 20mm F1.4 PRO
OM Digital Solutions OM-1 + M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO
OM Digital Solutions OM-1 + フォクトレンダー NOKTON 25mm F0.95 Type II
OM Digital Solutions OM-1 + M.ZUIKO DIGITAL ED 20mm F1.4 PRO
OM Digital Solutions OM-1 + フォクトレンダー NOKTON 25mm F0.95 Type II
OM Digital Solutions OM-1 + M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO
※上から順に


文・撮影/大貝篤史 モデル/金度延

■メーカーサイト
OMデジタルソリューションズ OM-1
https://www.olympus-imaging.jp/product/dslr/om1/index.html