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写真の「チカラ」#04  田口るり子

約 4 分
田口るり子_写真のチカラ
M/下薗詠子

想像力が私の強み

子どものころから想像することがとても好きだった。写真をはじめたきっかけもその「想像力」なのだ。撮ることがとても好きで、周りの友人を撮影することが多かった。その人が自分では気づきにくい部分を写真は具現化してくれる。その具現化した「いいところ」をひとつひとつ写真に込めて撮る。それは私にとって、人とのコミュニケーションの大事な手段だったのだ。当初は多くの人に写真を見せたいということよりも、そばにいてくれる人に見てもらえればいいと感じていた。
しかし、その規模はだんだん大きくなっていく。被写体になってくれた友達だけではなく、その周りの人にももっともっと写真をみてほしい。そしてその写真から被写体の魅力を感じ取ってほしい。そんな思いの中には、自分自身が周りに認めてもらいたいという欲求もあったのかもしれない……。写真を認めてもらえれば、私自身の「居場所」もきっとあるのだと。
自分の人生を変えた写真は、富士フォトサロン新人賞2003で新人賞をもらったときの写真だ。受賞したときに写真を撮り続けていて良かったと感じた。写真を通して、たくさんの人たちと出会うことができたからだ。
私の父は若いときに画家を目指していた。そんな父が私にくれたアドバイスは「いい人に出会え続けるなら写真を続けなさい。きっとうまくいくから」だった。その言葉の意味が今ならよくわかる。私は人を大切にしながら写真と向き合っていくことを大事にしたい。「写真」は私に「社会性」を与えてくれた。それは安心感であり大切なもの。私は独りでは生きることができないというとてもシンプルなことを教えてくれた。

カメラに飲み込まれない自分でいたい

カメラに対しては自分の生き方が出ている。最新のカメラでなくてもいいし、器用にたくさんのカメラを使える人がいるが、私は手に馴染むカメラがあればそれでいい。唯一使い分けるとしたら、仕事用と作品撮りのカメラを変えているぐらいだ。仕事ではニコンのD800を今でも使っている。このカメラはなぜか自分の手に馴染む至高のカメラ。仕事では信頼性の高いカメラを選ぶ。これはとても重要なことだろう。
作品撮りでは、オリンパスのOM-Dシリーズ、SIGMAのdpシリーズを使用。他にもフィルムカメラを使用。撮りたいコンセプトに合ったカメラを何度も吟味して選んでいる。カメラは私にとってひとつのツールだ。そういう割り切りをもって接することで、カメラに「飲み込まれてしまう」ことなく、撮影できる。今のデジタルカメラはとても性能がいい。だからこそ、その性能に溺れることなく、自分自身の技術と撮りたいものへの想いを具現化できるカメラを選びたいのだ。
2020年は10月に個展も予定している。写真家として世間に自分の作品を発表し続けることが、私なりのルール。そして日本からいつかは世界へ……そういう思いがモチベーションを高めてくれる。忘れてはいけないのは「新しいことへのトライ」。すべてがうまくいくわけではない。むしろ失敗のほうが多いのだ。その中で追求し続け、熟成を重ねる。2020年は突き抜けた写真集を手掛けたい。


田口るり子  たぐちるりこ

愛知県名古屋市出身。2003年から独学で写真を始める。フジフォトサロン新人賞2003にて審査員だった沢渡朔氏、荒木経惟氏に才能を絶賛され新人賞を受賞。それを機に写真家としての活動を始める。作品はヌード写真や家族のドキュメンタリーポートレートなど、人をテーマに様々な手法で撮り続け、国内外の写真展や紙面で発表し続けている。公益社団法人日本写真家協会会員。日本舞台写真家協会会員。HP→https://www.rurikotaguchi.jp/
instagram→@t_ruriko(https://www.instagram.com/t_ruriko/)