orphotograph

写真の今がわかるWeb情報マガジン

Nikon Z 6II SHOOTING REPORT

約4分

派手な「機能」よりも「実」を取ったカメラ

11月6日に発売したニコンのZ 6Ⅱ。第一世代からの「正常進化」を謳った第二世代としての注目度は非常に高かっただろう。だからこそこんな声も聞こえてくる。「何が変わったのかよくわからない」という声だ。
しかし、よく考えてほしい。カメラの進化とはどういうものを指すのか。宣伝しやすい画期的な機能を搭載したり、スペックでわかりやすく表示できる変化はたしかに「派手さ」はある。その機能やスペックに心躍り、新しく買い替える人も多いだろう。筆者自身もそういうカメラの買い方をするときがある。
Z 6Ⅱに関して言えば、一見そのような派手さはなく、なにか物足りないと感じる人が多いのかもしれない。その思いはいい意味で十分に裏切られる。このカメラは間違いなく「実際に撮影して」その「深化」がわかるカメラだ。AF精度、スピード、全体的な操作感の快適さ……。それは数字にはとても表しづらいことばかりだ。カメラとしてのバランスの良い性能の底上げこそが本来のカメラに求められる「第二世代」の宿命なのではないか。
派手さはないが確実にカメラとしてのポテンシャルアップに貢献しているのが、画像処理エンジン「EXPEED 6」が2基搭載されたことだろう。連写コマ数が大幅にアップ。さらにAF/AEともにAFの高速追従が可能。撮りたい瞬間を逃すことなく確実に撮れるカメラになった。さらに本体のバッファー容量がアップしたことで、記憶媒体への書き込みの待機時間がほぼなく、連写をあまり多用しないポートレート撮影の場合には、まさにストレスフリーな撮影ができる。実際に瞳AFおよび顔検出AFを使って撮影してみたが、認識率、スピードともに申し分ない使い勝手だった。森の中のシーンでは、先に歩くモデルを後ろから追いかけて撮影しているが、振り向くと同時に瞳AFが作動して正確なピントを提供してくれた。もちろん三脚を使わない「手持ち撮影」だったが、約5段分の強力なボディー内手ブレ補正機構が搭載されているおかげで、撮り手が起因するブレはしっかりと抑えてくれる。このカメラは、動きのあるポートレート撮影には非常にマッチしたカメラだと感じた。

優れた光学性能を発揮するZマウントレンズ群

もともと定評のある光学性能のNIKKORレンズ。Zマウントになって、最大口径が大きくなったことでの恩恵は非常に高い。より光の集光性が高まることで、センサー部に届けることができる「光」の情報量が多いと感じるほど、細部に渡りその色変化を捉えている。今回のレポートでお借りした際にも「ピクチャーコントロール」は「ポートレート」に設定。撮って出しのJPEGを掲載している。Z 5の際に感じたJPEGの良さをZ 6Ⅱでも感じることができる。特に健康的な肌艶をしっかりと表現できているのには、非常に好感がもてた。これはセンサーと画像処理エンジン、そしてレンズがきちんと「三位一体」となって作り出しているからこそだ。
特に2020年12月発売予定のNIKKOR Z 50mm f/1.2Sに関しては開放時の圧倒的なボケ感でありながらも、ピント面は非常にシャープで驚いた。F1.2という絞り値から想像できないほど「芯」のある画作りになっている。この手のレンズは開放値で使用すると、ピントが合わないことが多いのだが、Z 6Ⅱとの組み合わせではそういったことはほとんどなく快適に撮影できた。ボケ味に関しては非常に素直で透明感のあるボケ味。積極的に開放値で使用したくなる美しいボケ感だ。大口径レンズらしく広いレンズ面でめいいっぱい光を取り込んでいる感覚を感じるほどだ。

どれだけ「デジタル化」が進んでも、カメラはやはりボディーとレンズのマッチングがどれだけいいのかで評価されるものだ。ニコンのカメラシステムは、バランスのとれた調和がもたらす「安心感」がある。これこそが長年光学メーカーとして世にさまざまなカメラを送り出してきた歴史なのだろう。


撮影・文/大貝篤史  モデル/堤 渚紗

※掲載の写真に関してはベータ機での撮影のため実際の仕様や写りとは異なる場合がございます

■Nikon Z 6Ⅱの製品ページ
https://www.nikon-image.com/products/mirrorless/lineup/z_6_2/

Leave A Reply

*
*
* (公開されません)