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Sony α1はより「想像力」が必要なカメラ

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約4分
Sony α1のボディーデザイン

あらゆる機能がトップクラス

 2021年1月27日にソニーからプロ向けハイエンドモデルに該当する「α1」が発表された。詳しいスペックなどはYouTube動画やソニーサイトで確認してもらえるので、そちらを見てほしいのだが、注目すべき点は、AF性能の大幅なアップ、8K対応、4Kでのスローモーション動画の録画というポイントだろう。
 AF性能に関しては、まだ実写しているわけではないのでなんとも言えないが、AF-C時の追従性能が従来モデルよりも大幅にアップしているようだ。さらにf22とかなり絞り込んだ状態でも流し撮り時などトラッキングAFが使用できるとのことで、バイクレース、カーレース、ラリー系の撮影、トライアスロンやサイクリングなど幅広いスポーツシーンでの使用が可能になった。AF/AEの測距間隔も1秒間に120フレームと驚異的なスピードで計測している。その他にも、動物瞳認識AFも進化し、野鳥などの小さな動物の瞳をしっかりと認識し、追従してくれるという。また、ファインダーに関しても「0ブラックアウト」ということで、連写の最中も被写体を見逃すことなく、撮影が可能になっている。
 そして、キヤノンのEOS R5ではすでに実装しているが、α1では8K30p(10bit 4:2:0)の動画撮影機能を搭載。8K動画の際に気になるのは「放熱性」であるが、長時間の撮影を念頭にいれたボディー設計の見直しを行うことで、温度上昇を効率よく抑制。新開発の放熱構造は、発熱を分散させることで、8Kでの連続撮影時間を約30分まで引き上げている。このあたりは外気温などの様々な要素が関係してくるので、一概には言えないが、実際に検証できる機会があれば行ってみたい。筆者が注目したのは、4Kでのハイフレームレート動画だ。いわゆるスローモーション動画であるが、4K動画制作の際に、「視覚的効果」として入れたい場合には60pで撮影したものを編集ソフト上で24pタイムラインにいれることで多少のスローモーション効果は期待できた。しかし、120fpsものスロー効果を組み込むことはなかなか難しかった。しかし、これが実現できることで、より4K動画の作品制作の幅が広がるのではないかと期待が持てる。

プロ向けムービー機としての位置づけ

 このようにここには記載していない部分も含めると、あらゆる面でポテンシャルアップが行われているα1。絶えず新しい技術を取り入れ、ハイクオリティーなものを求められるプロの世界で活躍できる一台だ。価格に関しても店頭予想価格が約90万円(税込み)と報じているニュース記事が多いが、「プロの道具」特に「動画撮影の道具」として見れば、決して高価ではない。しかし、これが一般コンシューマにどこまで必要なのか……。という点においてはかなり限られたニーズなのではないかと想像できる。
 また、今回のα1の強化ポイントを列記してみても、スチルカメラ対応というよりかは、動画撮影対応の大幅な強化というのが筆者の見解だ。ミラーレスカメラの「ハイブリッド化」はどんどん拍車がかかるだろう。技術進歩のスピードはどんどん上がっている。数年前では想像もつかないほどだ。だからこそ、今問われているのは、このカメラで「何を」表現するのかだろう。人間の想像力やイマジネーションがこの進化についていけているのか……。それこそが今後の最大の課題なのかもしれない。

8Kサンプル動画がYouTubeでアップされている


※2021年1月27日現在のソニーサイト掲載情報をもとに記事化しているため、今後仕様が変更する場合がございます

文/大貝篤史

■Sony α1
https://www.sony.jp/ichigan/products/ILCE-1/