システムとしての完成度の高さがいい
フルサイズミラーレスカメラがスタンダードになりつつあるカメラ市場。そんななか、センサーサイズが小さいマイクロフォーサーズの存在が希薄になっている。筆者的にはセンサーサイズが小さいことが必ずしもハンデになるとは思っていない。マイクロフォーサーズだから撮りやすい写真があったり、メリットがあるはずだ。
まずマイクロフォーサーズの魅力はなんといってもカメラシステムとして軽量かつコンパクトだということだ。レンズ交換式カメラの場合には、レンズを交換することで様々な焦点距離が楽しめるというメリットがある。ズームレンズ、単焦点レンズ、特殊レンズなどなど色々なレンズを自分の用途に合わせて交換できる。しかし、交換できるからこそ撮影現場にレンズ群をたくさん持ち込むことで、様々な写真を撮ることができ、作品のクオリティーやバリエーションが出しやすくなる。また、仕事での撮影の場合にはクライアントからの要望で急遽撮影の方向性が変わる場合がある。そういう不測の事態にそなえてやはりレンズは多数持ち込みたいシーンなどが存在する。
決して大きくはないカメラバッグにレンズが7本、ボディー1台、バッテリー2本、メディアケースが楽に入る
そんな時にマイクロフォーサーズの場合には、なんといっても「レンズが軽量かつコンパクト」であることがメリットになる。昨今のマイクロフォーサーズモデルであるLUMIX GH6やOMDSのOM-1は決して小型ではない部類に入る。APS-Cモデルのほうが場合によっては小型であるケースも…。ただレンズに関しては「別の話」になる。開放値の明るいレンズやf2.8通しのレンズですら小型かつ軽量だ。カメラシステムとして見た時にかなりの重量かつ体積ダウンを実現でき、現場への持ち込みもスムーズだ。
■Panasonic LUMIX GH6 + LEICA DG SUMMILUX 12mm / F1.4 ASPH. (左上)
■Panasonic LUMIX GH6 + LEICA DG SUMMILUX 15mm / F1.7 ASPH. (右上)
■Panasonic LUMIX GH6 + LEICA DG NOCTICRON 42.5mm / F1.2 ASPH. / POWER O.I.S. (下)
スタジオなどある程度、撮影環境が整っている場所であれば大型の機材を持ち込んでも駐車場から近かったり、安全な置き場所を確保できる。しかし、風景撮影やスナップ撮影の場合には、悪条件化での撮影が強いられる場合があり、機材の安全管理という観点からもマイクロフォーサーズのカメラシステムは合理的だ。
■Panasonic LUMIX GH6 + LEICA DG NOCTICRON 42.5mm / F1.2 ASPH. / POWER O.I.S.
写りに関しても一切の妥協はない
■Panasonic LUMIX GH6 + M.ZUIKO DIGITAL ED 75mm F1.8
センサーサイズが小さいとイコール「写りが悪い」と思っている人がいる。確かに全体的な解像感や立体的な懐の深い写真はフルサイズセンサーの方が得意とする。ただマイクロフォーサーズモデルであるLUMIX GH6は約2400万画素でダイナミックレンジに関しても14bit RAW(非公式)であるなどフルサイズカメラのデータスペックに引けを取らない。センサーとエンジンがより進化することで進化していることで、写真のクオリティーが大幅にアップしている。また、高感度耐性においても数年前のマイクロフォーサーズカメラに比べると、数段良くなっており、高感度が弱いというイメージも今や「化石のごとく」だ。
■Panasonic LUMIX GH6 + LEICA DG SUMMILUX 15mm / F1.7 ASPH.
また、マイクロフォーサーズカメラのレンズは主にOMシステムソリューションとPanasonic LUMIXからそれぞれ多数リリースされている。どのレンズも開放値が明るいので、ボケにくいと言われるマイクロフォーサーズカメラでも十分にボケ感を味わえる。さらに開放値でも撮影でもどのレンズもかなりシャープに写るので、キレのある写真を撮ることが可能だ。細かいディテールもしっかりと表現でき、風景やマクロレンズを使った花草の撮影にも威力を発揮するだろう。
■Panasonic LUMIX GH6 + LEICA DG VARIO-ELMARIT 8-18mm / F2.8-4.0 ASPH.
想像力を高めてくれるマイクロフォーサーズ
ビギナーや入門者におすすめできるのがマイクロフォーサーズシステムだ。理由はレンズが揃えやすいことと持ち出しやすい小型かつ軽量なシステムが想像力を高めてくれるからだ。そもそも、マイクロフォーサーズカメラのレンズは比較的価格が安価だ。フルサイズ用なら15万円ぐらいしそうなスペックのレンズも数万円で購入できる。なので、レンズを揃えやすい。色々な焦点距離のレンズが揃えば、その分バリエーションを多く撮ることができ、結果想像力が高まっていき、作品の完成度を上げることができるのだ。 またLUMIX GH6とOM-1ともに動画機能もかなり充実し始めた。写真だけではなく、動画撮影にチャレンジしたいと思っている人なら被写界深度が深いマイクロフォーサーズはなおさらおすすめだ。写真にしても動画にしても重要なのは「想像力」だ。その想像力を掻き立てくれるカメラこそ生涯通じて使えるカメラなのかもしれない。
■Panasonic LUMIX GH6 + LEICA DG SUMMILUX 25mm / F1.4 II ASPH.
文・撮影/大貝篤史 モデル/山崎由芽
■Panasonic LUMIX GH6
https://panasonic.jp/dc/products/g_series/gh6.html