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shoot on LUMIX S5II

「LUMIX S5Ⅱはシステムとしてバランスのとれたカメラ」

クリエイティブ・ディレクターとして広告やメディアの制作を行っている大貝篤史さん。
本業がディレクターだからこその目線で話を聞いた。

普段から本業のかたわらで日常感を感じるポートレートの作品をSNSやWebサイトで発表し続けている大貝篤史さん。LUMIX S5IIの魅力についてはどう感じているのか。

「LUMIXシリーズはマイクロフォーサーズモデルも含めて数十年使っていますが、その魅力はやはりカメラシステムとして完成度が高いことですね。カメラの良さはボディーだけではなく、レンズ、ストロボ、サポート機器など『トータル』で判断しています。そして最近ではスチル撮影だけではなく、動画コンテンツの制作など多岐に渡る用途が要求されます。LUMIX S5IIならどんなクリエイティブ・ワークにも対応でき、創造したいものに対して柔軟に『变化』させることが可能です。その多目的性は、バランスよく制作物を提案、制作、納品したい制作の現場にはとてもマッチしている。仕事ではスチルも動画も提案しないといけないし、プライベートではポートレート作品をどんどん創り出していきたい……。そんな欲張りな僕にはこのカメラは最高のパートナーになってくれると思います」

shoot on LUMIX S5II

LUMIX S5II + LUMIX S 50mm F1.8・1/6400秒・f1.8・ISO100

そう話す大貝さん。拡張性の高いLUMIX S5IIの中でも特に注目したいのはレンズ群の豊富さだという。

「LUMIX S5IIはライカ社とシグマとの3社アライアンスを結んでいます。これはLマウントという共通のレンズマウントで製品を開発することで、それぞれのレンズをそのまま使用できることを意味します。本来、他社製レンズなどを装着する際には、マウントアダプターを使用するなど工夫が必要になる場合が多いですが、この3社間であればその必要性はありません。それぞれが高いレベルできちんとAFが効き、そのレンズのパフォーマンスを担保しながら使用できますよ。LUMIX Sシリーズの純正レンズ群はだいぶ拡充されていますが、まだ足りていません。しかし、ライカ社やシグマのレンズで補完することで、ほとんどの焦点距離、単焦点レンズ、ズームレンズを『純正レンズ』のごとく使用できます。それは表現する幅が広がるということを意味し、クリエイティブには絶対的に必要な要件です。こういう環境が『前提』としてあるカメラだからこそ使いこなす楽しさがあるのだと思います」

shoot on LUMIX S5II

LUMIX S5II + SIGMA 90mm F2.8 DG DN | Contemporary・1/1250秒・f2.8・ISO100

shoot on LUMIX S5II

LUMIX S5II + Voigtlander NOKTON 40mm F1.4 SC・1/4000秒・f1.4・ISO100

shoot on LUMIX S5II

LUMIX S5II + SIGMA 35mm F2 DG DN | Contemporary・1/1000秒・f2・ISO640

カメラシステムとして高いクオリティーがあるLUMIX S5IIだが、ポートレート撮影時に重宝する機能がたくさんあると話す。

「AI技術を駆使した人体認識AFは非常に重宝しています。顔や瞳はもちろんのこと『モデルの体全体』にもしっかりと認識します。僕の作風は周りの情景なども写し込んだ引きの写真が多く、その場合にモデル自体をしっかりと認識してくれるのはとてもありがたい。フレーミングの自由度が大幅に増え、全体の構図に集中した撮影ができます。そうすることで、周りの空気感を感じてもらいやすくなり、『ポートレート写真だけどなんとなく風景っぽい』写真を撮ることができます。またこのAFシステムは優秀で、モデルをフレームいっぱいに入れた場合には、自動で瞳を探してくれます。AFをカメラ任せにすることで、もっと他のところに気を配ることができるし、新しいことにチャレンジする余裕が生まれますね。像面位相差AFが追加されたことで、スーっと合焦するのでテンポ良く撮影でき、モデルを待たせることがなく、モデルのテンションが落ちません(笑)」

shoot on LUMIX S5II

LUMIX S5II + LUMIX S 50mm F1.8・1/500秒・f5.6・ISO100

shoot on LUMIX S5II

LUMIX S5II + LUMIX S 50mm F1.8・1/5000秒・f1.8・ISO100

「LUMIX S5IIは従来モデル(LUMIX S5)と比べて、バッファーメモリーの容量が約4倍になっているそうです。その恩恵は撮影時に直感的に伝わってきます。僕はフォトスタイル『L.クラシックネオ』を愛用しているのですが、設定で『カラーノイズ』をONにして、RAW+JPEGで撮影すると、動作が極端に重くなってしまったり、待たされることが多くストレスを感じることがありました。しかし、LUMIX S5IIならそのあたりが改善されていて、よほど連写を切らない限り待たされることがなくなりました。ユーザーがネガティブに感じていた部分をしっかりと次期モデルで修正してくるのは、ユーザーフレンドリーが高い証拠です。

ボディーにあるジョイスティックも4方向から8方向に動くようになり、任意でAFポイントを移動する際にとてもスムーズにできるようになっています。細かい改良点なのですが、そういう基礎体力の高さがこのカメラの最大の魅力なのかもしれません。『写真機』としてポートレート写真で表現したいことをきちんと形にできる。それも比較的簡単に……。だからこそ、初心者にもすすめることができます」

shoot on LUMIX S5II

LUMIX S5II + LUMIX S 50mm F1.8・1/320秒・f9・ISO100

shoot on LUMIX S5II

LUMIX S5II + LUMIX S 50mm F1.8・1/1600秒・f1.8・ISO1600

shoot on LUMIX S5II

LUMIX S5II + LUMIX S 50mm F1.8・1/1250秒・f1.8・ISO1600

フィールドでのポートレート撮影には最適なカメラであることが実感できたという。そんな大貝さんは今後のLUMIX S5IIで動画撮影にも力を入れたいのだそうだ。

「像面位相差AFが追加されたことで、動画撮影のオペレーションがより『写真家』好みになりました。動画をメインに撮影しているビデオグラファーは複数人で動くことが多く、それぞれ役割分担され、撮影に臨むケースが多いです。しかし、フォトグラファーは単身もしくは2名程度の少人数で動くことが多く、動画撮影には不向きな環境にあります。だからこそ、『できることならなるべくカメラ任せにしたい』という願望がより強いんです。一番肝になる『フォーカス』をカメラ任せにすることで、ワンマンオペレーションで撮影しやすくなり、スチル撮影の延長線上での動画撮影が可能になると思います。このカメラでチャレンジしてみたいですね」

shoot on LUMIX S5II

LUMIX S5II + SIGMA 35mm F2 DG DN | Contemporary・1/640秒・f2・ISO640

スチル撮影も動画撮影も一台で高いポテンシャルの成果物が撮れるLUMIX S5Ⅱ。クリエイティブ・ツールとして完成度を高めていくメーカーの姿勢が撮り手の可能性の扉を開いてくれる。そういういい関係でいられる「カメラ」なのだ。

文/orphotograph編集部 撮影/大貝篤史 モデル/富澤絢愛 スタイリスト/博多屋あい