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Lens Impression / FUJINON XF23mmF1.4 R

約3分

明るくて柔らかな印象を与えるレンズ

35ミリ判換算で35mm相当の画角になるこのレンズは、なんといっても開放値でのボケ感が印象的である。ピントの合った部分から滑らかに滲み、全体的に優しい印象を与える。開放値ではピントのシャープさが少し劣る印象だが、ほんの一段絞るだけでも解像度が増す。絞れば絞るほどキリッとした写真も演出できるので、幅広い表現が楽しめるのだ。筆者はむしろ、開放値でのふんわりとした柔らかい雰囲気が気に入ってしまい、結果的にf1.4で撮影した写真ばかりを並べることとなった。

便利だと思ったのが、Xマウントレンズの特長でもあるピントリング。カチッと前後にスライドさせるだけでAFとMFを瞬時に切り替えられる機動力は、雨が降るような悪条件下でもストレスのない撮影を可能にする。オリーブの木を撮った際、実だけにピントを合わせるためにフォーカスモードを変える必要があったのだが、ピントリングのお陰で傘を差したままでも簡単にMFに切り替えることができた。

ミラーレスカメラの単焦点レンズで質量約300gと聞くとずっしり重い印象を受けるが、大口径F1.4の開放値を考えると、むしろコンパクトな方だろう。今回使用したボディーはX-Pro2だが、現行モデルであるX-Pro3につけてもしっくりとくるサイズで、一日中持ち歩いても負担にならず、雨の日のスナップを気軽に楽しむことができた。

また風景スナップだけでなく、ポートレートや物撮り、料理写真などあらゆる被写体に対応でき、室内や夜といった暗めのシチュエーションでも高解像で撮影することが可能だ。そして明るいだけでなく独特の優しい雰囲気を演出できるのが、このFUJINON XF23mm F1.4 Rの最大の魅力だろう。

APS-Cサイズでありながら開放値f1.4という明るさの恩恵が生きた一枚。前ボケも非常に綺麗なので、奥行き感を作りやすい
ピント面は非常にシャープなので、際立たせたい部分を印象づけることが可能。開放値から使えることで、幅広い用途で使用できる万能レンズ

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撮影・文/岸本 絢
https://www.ayakishimotophoto.com/

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