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LUMIX S5 SHOOTING REPORT〜NEW PHOTO STYLE〜

約6分

懐かしさを感じるそれがL.クラシックネオ

パナソニックのLUMIXシリーズ初のフルサイズセンサー搭載カメラで話題になったLUMIX S1シリーズ。さらにブラッシュアップされ、より小型かつ軽量になったLUMIX S5。ハイプロも使用できるLUMIX S1と比べ、トータルバランスのいい性能が人気のポイントだ。例えるならば「どのステータスも丁度いい」というようなカメラだ。
このカメラの登場で、よりLUMIS Sシリーズを手にしたいと思う写真愛好家も多いはずだ。単焦点レンズも今後拡充されていく方向で、ハイスペックなLUMIX S PRO 50mm F1.4や最近発売されたLUMIX S 85mm F1.8をはじめ、F1.8の単焦点レンズは拡充されていくロードマップがすでに発表されている。
軽量かつ小型なLUMIX S5の登場に合わせて、小型で光学性能の高い単焦点レンズが拡充されることはよりスナップやポートレートなどに活躍できるカメラシステムが生まれていくことを意味している。
そんな状況下で生きてくるフォトスタイルが今回の大型ファームアップ(Ver.2.0)で追加されたL.クラシックネオだろう。このL.クラシックネオは、コダック社のポートラシリーズを彷彿させる色使いが特長で、どことなく懐かしいイエローとブルーが高度なレベルで再現されている。またフィルム感を出したい人のために、L.モノクロームシリーズで定評のあった「ランダムノイズ」をカラーでも見事に再現。カラーノイズをランダムで入れるのは技術的にかなり難しいと思われるが、その自然なノイズ感がよりフィルムらしい懐かしい雰囲気を演出している。粒状に関しては従来どおり3段階で調整が可能。おすすめは「弱」の設定。絶妙なノイズ感で風景やスナップ、ポートレートまで幅広い被写体で使用が可能だ。デジタルらしいヌケの良い写真を好む人であれば、粒状は「なし」を選択するのがいいだろう。


JPEG撮って出しでクラシカルな表現が楽しめる

今回の撮影データはすべてJPEG撮って出しでの掲載だ。通常ならRAWデータをAdobe Photoshop Lightroomにて現像処理を行っていたが、懐かしいフィルムでの撮影をイメージした写真を撮りたい場合には、このL.クラシックネオのおかげで、現像処理を行う必要性を感じなくなった。仕事での撮影であれば、RAW + JPEGで保存することで、クライアントからの様々な要望にも答えることができるし、作品撮りならこのL.クラシックネオですべて創り上げてみたいと思わせてくれる出来栄えだ。LUMIX S5ならL.クラシックネオをベースにLUMIX S5の設定を細かく「最適化」することで、自分好みのL.クラシックネオを作り上げることが可能だ。
具体的には、ホワイトバランスをAWBcもしくはAWBwで使い分けることで、基本の色味が大きく変わるので、それだけでも楽しい。それに加え、フォトスタイル自体の変更項目は、「コントラスト、ハイライト、シャドウ、彩度、シャープネス、ノイズリダクション、色相」と多数の項目を自由に変更することができる。これらを自分の好みにセットしておくことでまるでフィルムカメラを持ち歩いているような懐かしさとワクワク感を感じることのできるフォトスタイルなのだ。LUMIX S5とこのフォトスタイルの組み合わせを使っていると、新しい時代のフィルム表現とはどういうものなのか…を考えさせられる。今市場で人気があるのはやはりどこか懐かしい雰囲気のフィルム調の写真だ。令和時代になり、世の若い層は「昭和ロマン」と言う言葉を使っている。筆者にとっては「大正ロマン」のほうがあっているのだが(笑)。そういう若い層にも十分に魅力的なフォトスタイルだろう。掲載の一部写真には、Lマウント用のライカMマウントを使い、オールドレンズを使用して撮影したものがある。昔ながらの「にじみ」を感じ、フレアおよびゴーストもしっかり出る。こういう遊び方が「選択できる」カメラであることは、非常に面白いと感じた。
また、このフォトスタイルは動画でも適用できる。懐かしい雰囲気の動画が誰でもかんたんに録れるのであれば、筆者もぜひチャレンジしてみたい。


LUMIX S5が生きるフォトスタイル

L.クラシックネオの登場は必然だったのではと思う。LUMIX S5が登場したことで、LUMIX Sシリーズは次のステージに入った。軽量かつコンパクトなボディーだからこそ生きてくるフォトスタイルであり、何気ない日常をよりエモーショナルに切り抜けるカメラに仕上がった。すべての写真愛好家にハイスペックモデルが必要なのかというと、筆者はそのようには思わない。むしろ、バランスの取れたカメラこそ、あらゆるシーンや使い方を要求され、「タフ」なカメラでなくてはならないのだろう。LUMIX S5は非常に「タフ」なカメラだ。ぜひ、その魅力を味わってもらいたい。

※このフォトスタイルを使用するには、ファームアップVer.2.0を適用してください
※このフォトスタイルはLUMIX S5のみの対応となっています

撮影・文/大貝篤史 モデル/森崎りな(https://orange-company.co.jp/actor/morisakilina/

LUMIX S5製品ページ
https://panasonic.jp/dc/products/s_series/s5.html

LUMIX S5ファームアップページ
https://av.jpn.support.panasonic.com/support/dsc/download/index4.html?_ga=2.267641294.1127279519.1606920080-605177864.1541488367