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写真の「チカラ」 #27 山下大祐

約2分
写真のチカラ山下大祐
山下大祐写真

憧れの写真に近づきたい、それがいつか自分だけの写真に変わる

ほかの鉄道写真家と同じく僕も漏れずに「鉄道」が大好きだった。そんな僕の心に残る鉄道写真を撮っていたのが写真家の山崎友也さんだった。その写真に憧れていた僕は、山崎さんの写真を参考に、カメラの勉強をガムシャラにしていた。自分自身の手で憧れのワンシーンをどうしても撮りたくなったのだ。
鉄道写真は、カメラの技術以外にも鉄道ならではの基本知識が必要になる。ただシャッターを切るだけではない緻密に計算された世界。撮れば撮るほど、のめり込んでいった。なんとなくだが「写真のベース」がわかってくれば、自分が撮りたい目線やアングルが見えてくる。それが自分の作品の「作風」であることに気づき始める。それが、僕自身のスタイルが完成した瞬間だ。伝えたいことが先にあって、シャッターを切る。そのことは、僕らしい鉄道写真を撮るにはとても重要なこと。
最近は鉄道の「動画」を撮るようになったが、写真とはまるで違う考え方が必要で面白い。感性にまかせて撮影をすることには違いはない。しかしそこに至る技法とプロセスが異なるのだ。ゴールは同じだが、そこに向かうまでの道のりや準備するものが違うことは、どちらの作品を創り上げるにしても貴重なものだ。まだまだ発展途上だが、これからは動画にも力を入れていきたい。 そして、いつかは世界に出ていきたい。日本の鉄道写真の「知識と技術」を世界にもっと売り出してもいいのではないだろうか。僕はそんな夢を見ながら、これからも自分にしかできない表現を模索し続ける。


山下 大祐  やました・だいすけ

兵庫県出身。日本大学芸術学部写真学科卒業後、ロケアシスタントをしながらwebや雑誌、学校写真等の撮影をする。2014年からレイルマンフォトオフィス所属。鉄道誌、カレンダー、鉄道資料の撮影、鉄道写真講師で活動する中、自らの作品づくりに注力している。日本鉄道写真作家協会会員。