宇宙という存在を感じる
夜景写真を撮り始めた頃、同じ場所でも昼間と夜ではまったく「違う顔」になることがとても新鮮に感じた。東日本大震災をきっかけに自分の意識は少しずつ変わっていく。
夜景はとても美しい。その美しい夜景の中には「綺麗」と言う言葉だけで片付けることができない存在があるように感じるのだ。そんな少し儚くも醜く感じるその街の要素も写し出したいという思いが強くなった。そう考えると、夜景はまるで「人間」そのものなのかもしれない……。キレイな側面もそうではない対局にある側面も存在する。街には様々なドラマが広がっている。遠くから見るととてもキレイな夜景もダウンタウンや繁華街の路地に入り込めば、そこには人間臭いドラマがある。そういう一面もしっかり残したいと思い、最近ではスナップ撮影にも力を入れている。
そして、ここ2〜3年で「宇宙」という大きなテーマに行き着いた。人間の世界など宇宙という広大な世界から見れば、とても小さな存在だ。夜景を撮影しながら空を見上げると、そこには星々が光り、そして未知なる空間としての存在感を感じるのだ。僕の挑戦はまだまだ続く。
藤村大介 ふじむら・だいすけ
1970年、香川県生まれ。1995年、フリーランスとしての活動を開始。ライフワークとして20年以上撮影を続ける夜景のほか、世界各地の建築、名所、旧跡、文化、民族などを取材。モットーは「Simple&Positive」。ウイステリア・フォトクラブ主宰。