SIGMA 14mm F1.4 SHOOTING REPORT

超広角の明るいレンズ

シグマより2023年6月に発売したSIGMA 14mm F1.4 DG DN | Art。超広角の14mmの焦点距離で開放値はf1.4という明るさが魅力のレンズ。このスペックだと風景写真や星空撮影などをターゲットにしたレンズだ。重量的には約1,170g（Lマウント）とそこそこ重量はあるが、写りを見たらそれでも持ち出したくなるレンズだ。
今回のボディーはSIGMA fp LとLUMIX S5IIでの撮影だったが、どちらのボディーでも組み合わせの相性としては良かった。LUMIX S5IIはグリップ部が大きいこともあり、手持ち撮影が多いシーンならLUMIX S5IIのほうに軍配が上がる。ただ、この手のレンズは三脚に固定して撮影するケースが多く、fp Lとの組み合わせの使い勝手が悪いというわけではない。

■SIGMA fp L + SIGMA 14mm F1.4 DG DN | Art・1/40秒・f1.4・ISO1600

使い勝手を考慮された設計がいい

筐体の造りはArtシリーズということで、かなり高級感のある造りだ。重量があるためガッチリ感を感じる。三脚座も標準で付いているので、ボディーを三脚に乗せるのではなく、レンズを三脚台に固定して使用するイメージだ。実際にその方がバランスが良かった。筐体部には、絞りリングロックスイッチ、フォーカスモード切り替えスイッチ、AFLボタン、MFLスイッチがあり、直感的な操作感がいい。暗所での撮影でもボタン類のクリック感がしっかりしているので、手探りでも操作しやすかった。便利だったのは、MFLスイッチ。マニュアル操作にて星空にピントを合わせた状態でONにしておけば、不用意に触れたときにピントがズレることがない。今回実際に暗闇での撮影を行ったが、この機能は現場だととてもありがたい機能だった。さらにタイムラプスでの星空撮影時には必携のレンズヒーターを装着しやすいように工夫されているなど細かい配慮が筐体に施されている。

■SIGMA fp L + SIGMA 14mm F1.4 DG DN | Art・3.2秒・f1.4・ISO6400

■SIGMA fp L + SIGMA 14mm F1.4 DG DN | Art・4秒・f1.4・ISO3200

また、お決まりだが防塵・防滴性能に配慮した構造になっている。自然の中で使用することが多い焦点距離であるので、このあたりはありがたい。さらにレンズキャップにも一工夫されている。リアフィルターを装着できる仕組みになっているのだが、そのフィルターを格納しておける構造になっているため、いざ使いたい時に忘れてしまったり、ガサゴソとカメラバッグから探さなくてもいい。計2枚まで格納可能だ。

■SIGMA fp L + SIGMA 14mm F1.4 DG DN | Art・1/15秒・f4・ISO1250

■SIGMA fp L + SIGMA 14mm F1.4 DG DN | Art・1/40秒・f6.3・ISO1600

写りにも妥協がなく、使い方次第でどんなジャンルでも

肝心の写りだが開放から周辺の解像感が高く、星空撮影で気になるサジタルコマフレアが起きづらい。開放値においても全域で良好なため、さらに絞り込んでいくほどさらに解像感は上がっていく。星空撮影の場合には、シャッタースピードを稼ぐために明るいに越したことはない。しかし、開放が甘いとやはり周辺に向けて像が流れてしまうため、星空撮影には不向き。SIGMA 14mm F1.4 DG DN | Artなら、その憂いは最小限で済む。

ポートレート撮影時にはややコツが必要。あまり被写体を中央部から離れた構図にしてしまうと、顔がゆがんでしまう。センター付近に配置し、パースの効いた構図をチョイスすることで、ダイナミックなポートレート写真が撮れるだろう。もし、広すぎて色々と入り込んでしまい使いどころが少ない……。と悩んでいる人には、今回掲載の作例のようにワイドアスペクト比を選ぶといい。SIGMA fp Lであれば、16:9や21:9などかなりワイドな比率が簡単に選べるため、上下を少し切り捨てることでよりワイド感のある作品を撮ることができる。使い方次第で作品の「バリエーション」をつけることができる。こういうレンズを1本持っていると新しい発見があっていい。