orphotograph

写真の今がわかるWeb情報マガジン

SIGMA 50mm F2 DG DN | Contemporary SHOOTING REPORT

約5分

待ちに待った焦点距離のIシリーズ

SIGMA fp L + 50mm F2 DG DN | Contemporary・f2

シグマがリリースしているビルトクオリティーを重視した所有欲を高めてくれるシリーズ「I」シリーズ。このシリーズに新しいレンズが加わった。SIGMA 50mm F2 DG DN | Contemporayは、筆者にとって待ちに待ったレンズだ。Iシリーズが最初に登場したのは2019年。それからずっと、いつ出るのかと首を長くしていた焦点距離が50mmだ。筆者は50mmをメインに撮影を行なっているので、どうしてもこの焦点距離が気になっていた。同メーカーだとより光学性能を追及したArtシリーズというラインナップがある。もちろんこのシリーズにも50mmが先行発売されており、その写りがとても素晴らしく仕事で使うならこの1本だと思うほどだ。

迷うレンズ選び

SIGMA fp L + 50mm F2 DG DN | Contemporary・f2

ただ、50mmの明るいレンズは大口径になり、重さも大きさもそれなりになってしまう。それでも写りがいいので現場には持ち出すのだが、スナップ寄りの作品撮りや気軽な一人旅には、コンパクトなレンズの方が運用の面でアドバンテージがある。若干の画質を犠牲にしても、そちらのほうがいいのだ。しかし、50mm F2 DG DN | Contemporaryは解像感の面ではまったく問題を感じない。ボケ味という意味では、f1.4のレンズよりもボケ量は少なく、若干固めなイメージだ。しかし、芯がしっかりした画となり、Artシリーズとの「使い分け」ができる。要は「性格の違い」というだけなのだ。しっとりとしたボケ味にもピント面はシャープ。圧倒的な奥行き感を大事にしたのが、50mm F1.4 DG DN | Art。やんちゃな使い方で軽快に走り回り、それでいて豊かなボケ味が味わえる50mm F2 DG DN | Contemporaryというイメージだ。

SIGMA fp L + 50mm F2 DG DN | Contemporary・f2

スナップポートレートに最適

SIGMA fp L + 50mm F2 DG DN | Contemporary・f2

今回はスナップポートレートで使用したが、レンズが小型なため、カメラとのバランスがとても良かった。 見た目が小さいため、モデルも少しゆったりとした表情になるのは、気のせいではない。威圧感が少ないため、素の表情を引き出しやすいのだ。日常の空気感を大事にしたい撮影にはもってこいのレンズだ。絞りリングも適度なクリック感があるため、誤動作も少なく、瞬発力のある撮影が可能だ。このサイズ感のレンズならば、ラフにポケットに入れておくことができ、使い勝手がいい。シグマのfp Lとの組み合わせでの相性がよく、まさに「最強スナップカメラ」の出来上がりだ。

写りに関しても開放値のf2から全体的にシャープ。解像感が非常にあるため、絞り込んで使用したいと思わないほどだ。比較的明るいレンズなので、開放値での撮影なら、そこそこボケる。フルサイズミラーレスカメラで使用することを考えれば、十分なボケ味だろう。ボケの階調感も素晴らしく、ポートレートで積極的に使いたくなる滑らかさがある。これはとても不思議な感覚だ。ボケ味に関しては、実際よりもっと明るいレンズを使っているような感覚になる。

SIGMA fp L + 50mm F2 DG DN | Contemporary・f2

SIGMA fp L + 50mm F2 DG DN | Contemporary・f7.1

質感は購入の決め手になる

Iシリーズの一番の特長は、金属質な筐体から醸し出される「高級感」だ。カメラに求めるものは「愛着」であり「特別感」だろう。その点でいえば、50mm F2 DG DN | Contemporaryは所有欲があり、揃えたくなる魅力がある。「なんだ、写りには関係ない話じゃないか」と思うヒトがいるかもしれない。しかし、スペック表に現れないこだわりやデザインこそ、これからのレンズに求められるものだと筆者は思う。

SIGMA fp L + 50mm F2 DG DN | Contemporary・f2

SIGMA fp L + 50mm F2 DG DN | Contemporary・f2

50mmが追加されたことで、よく使用すると言われている焦点距離である24mm、35mm、90mmと揃えれば、レンズシステムとしても完成する(Iシリーズ自体は現在9本ラインナップ)。IシリーズはArtシリーズよりも安価なため、揃えやすい。開放値もほとんどのレンズがf2と明るい部類に入る。圧倒的なボケ味を作品に取り入れる必要がないなら、f2と明るいながらも圧倒的なコンパクトさが売りのIシリーズで揃えるのがおすすめだ。50mmという焦点距離が追加されたことは大きい。

SIGMA fp L + 50mm F2 DG DN | Contemporary・f2

SIGMA fp L + 50mm F2 DG DN | Contemporary・f5

■文・撮影/大貝篤史 ■モデル/果歩

■製品情報ページ■
SIGMA 50mm F2 DG DN | Contemporary
https://www.sigma-global.com/jp/lenses/c023_50_2/3