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LUMIX G9PROII RACING

-目次-

失敗の許されないレース撮影
車認識AFの魅力
カメラとしての基礎体力の高さ
超望遠レンズでも手軽に使える

失敗の許されないレース撮影

さまざまなレースシーンで迫力のあるレーシングカーの撮影を行っているモータースポーツ写真家の田村弥さん。刻々と変わる撮影環境で撮影するためには「タフなカメラ」が要求される。失敗が許されないジャンルだけに、信頼できる相棒が必要になるのだ。

「とにかく信頼性の高いカメラが必要です。モータースポーツシーンはカメラの総合力が試される場所ですね。レースはある程度コンディションが悪くても実施されることが多いので、突然の雨などにもコース上で対応しなければなりません。晴れても夏場の場合には炎天下の中で撮り続けることもよくあることです。我々フォトグラファーもタフでないといけませんが、カメラもタフでないと瞬間を切り抜くことができません。基礎体力の高いカメラを使うことで、それらの環境でもしっかりと撮影できます」

LUMIX G9PROII RACING

車認識AFの魅力

――――今回のLUMIX G9PROIIで気に入ったポイントはどのあたりだったのだろうか。

「LUMIX G9PROとの大きな違いとして感じたのは『AF性能の向上』です。従来の空間認識AFに加え、像面位相差AFが追加されたことで、格段にAF性能が向上しています。今までだと、逆光で点光源(例えばクルマのヘッドライト)などがあると、どうしても迷いがちだったのですが、このカメラの場合には、同じようなシーンでも、ヒット率は格段にアップしています。またLUMIX G9PROIIからは自動認識AFに『車』が追加されたことは興味深かったです。実際にサーキット撮影で使用してみたのですが、ファインダー内にしっかりとクルマがあれば、高い精度でクルマを認識してAF枠が追従してくれます。コツとしては、最初から狙ったクルマをカメラが認識してAF追従ができていることですね。使いこなすことで、アングルの自由度があがり、自分の撮りたい瞬間をしっかりと撮れ、機会損失が減ります。撮影に慣れてくれば、さらに自身のオリジナルを追求することができます。このAFシステムがそなわったことで、レース写真を撮りたいビギナーの負担は大幅に軽減し、さらにステップアップの機能としても期待できます。プロである僕もこの機能をしっかりと使いこなし、理解することで、今までとは違う写真を撮ることができる可能性を秘めていますよ」

LUMIX G9PROII RACING
LUMIX G9PROII RACING

□LUMIX G9PROII + LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm / F4.0-6.3 ASPH. II / POWER O.I.S.・1/500秒・F6.3・ISO400

LUMIX G9PROII RACING

□LUMIX G9PROII + LEICA DG VARIO-ELMARIT 8-18mm / F2.8-4.0 ASPH.・1/250秒・F10・ISO80

カメラとしての基礎体力の高さ

――――今回の進化ポイントである像面位相差AFの恩恵以外にも、マイクロフォーサーズ・カメラだからこそのメリットがあるという。

「とにかくカメラシステムもコンパクトで扱いやすいですね。サーキットでの撮影の場合には、施設内を徒歩で移動しなければならないことがあります。サーキットは結構広いので、身体の負担もあります。そのときに軽い機材であることは、その分動きやすくなるということなので、撮影のバリエーションが出ることにつながります。さらに、LUMIX G9PROIIなら防塵・防滴性能が優れているため、急な雨などにも対応可能です。純正の高性能レンズはほとんど防塵・防滴仕様なので、安心感があります。今回の撮影も天候が変わり、雨が降り出しましたが、それほど濡れていることを意識せず、撮影に集中できました。 また、ボディーデザインが気に入りました。特にボタン類の配置は非常にいいですね。右手だけでほとんどの操作ができてしまう。特にAF-SやAF-Cの切り替えボタンがジョイスティックの上部にあります。自然と親指がいくところにあるので、ノールックでの切り替えが直感的にできます。一瞬でも逃したくないレース撮影では、こういう細かい配慮が意味を持っています。いいカメラですよ」

LUMIX G9PROII RACING

□LUMIX G9PROII + LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm / F4.0-6.3 ASPH. II / POWER O.I.S.・1/125秒・F5.1・ISO50

LUMIX G9PROII RACING

□LUMIX G9PROII + LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm / F4.0-6.3 ASPH. / POWER O.I.S.・1/800秒・F6.3・ISO100

超望遠レンズでも手軽に使える

――――I型から定評のあった超望遠ズームレンズ「LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm / F4.0-6.3 ASPH. / POWER O.I.S.」だが、II型になってどのような印象をもったのか。

「このレンズのI型はよく使っているのですが、II型になってもその描写力はすばらしく十分に満足いくレンズでした。このレンズのような高倍率望遠ズームレンズの場合には、中間部分の描写が甘くなることがあるのですが、このレンズに限ってはそのようなことはなく、全域の焦点距離でその描写力が楽しめます。

□LUMIX G9PROII + LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm / F4.0-6.3 ASPH. / POWER O.I.S.・1/800・F4・ISO6400

また、テレコン対応になったことで、最大1600mm(35㎜判換算)の超望遠レンズとしても使うことができるようになりました。テレコンを常用することはありませんが、いざというときに使えるのと使えないのでは、やはり使える方がいいですよね(笑)。使い勝手の部分もしっかりバージョンアップできているのがいいです。 また、LEICA DG VARIO-ELMARIT 35-100mm / F2.8 / POWER O.I.S.関しては、この小型かつ軽量な筐体で通しF2.8なのは今でも信じられません(笑)。ボケ味も非常にふんわりしていて気持ちのいいボケです。まるで単焦点レンズを使用しているかの優しいボケで使いたくなるレンズです。どちらのレンズも光学式手ブレ補正機構を搭載しているので、LUMIX G9PROIIと組み合わせることで強力な手ブレ補正を実現する『Dual I.S. 2』で使用できるのがいいですね」

LUMIX G9PROII RACING

□LUMIX G9PROII + LEICA DG VARIO-ELMARIT 8-18mm / F2.8-4.0 ASPH.・1/500秒・F9・ISO200

最後に田村さんが「今回のレースはこのカメラを使って撮影した写真をクライアントにしっかりと納品できました。これって普通のことかもしれませんが、プロの仕事にも十分に対応できるカメラだということを意味します。LUMIX Gシリーズもドンドン進化してるんですね」と真剣な眼差しで話してくれた。

LUMIX G9PROII RACING

撮影協力/BMW M Team Studie、富士スピードウエイ

LUMIX G9PROII RACING