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LUMIX S5IIで撮影されたBMX写真

「さらにワンランク上のオートフォーカスシステムが楽しめる」

国内外の数々のBMXシーンを撮影し続けるフォトグラファーの我満直紀さん。
スピード感のある競技の撮影をサポートしてくれるのがオートフォーカス(AF)の被写体への追従性だ。
LUMIX S5IIのAF性能の進化を聞いた。

LUMIX S5IIから新たに導入された像面位相差AF。従来のコントラストAFおよび空間認識AFにプラスアルファされたAFシステムがもたらす恩恵は大きい。より完成度が上がったAFシステムについて自転車競技であるBMXを日々撮り続けているフォトグラファーの我満直紀さんはこう話す。

「作品撮りとしてBMXを撮影するときは、置きピン&一発撮りで行うことがほとんどですが、大会の撮影では状況やジャンルによって追従AFや連写機能もたくさん使用するので、その性能が良いことはとても助かります。今回は大会撮影ではないですが、追従AFや連写もたくさん使って撮影してみました。撮影の前に前モデルであるLUMIX S5で少しテストしてから臨んだのですが、かなり進化したというのがファーストインプレッションでした。人体認識をONにしてライダーにピントを合わせながら撮影しましたが、ヒット率は思っていたよりも良かったので驚きました。もう少し悪いかなと思っていたので……。意外だったのは縦の動きに強かったことです。横の動きに関しては比較的合いやすいのですが、各社ともに縦の動きにしっかり追従するとなるとばらつきが出ます。この価格帯で購入できるカメラとしてみれば、十分すぎる性能です。被写体を捉え始めてしまえば、広いフィールドを走り回るBMXの動きにも追従するし、しっかりとピントのある写真が撮れます。天気の良い日の屋外での撮影であれば、絞り込んで撮影できるので、なおさらこれだけピントがあれば満足です。

shoot on LUMIX S5II

LUMIX S5II + LUMIX S PRO 24-70mm F2.8・1/800秒・f8・ISO250

さらに連写時のレスポンスもすごく良かったです。搭載されているバッファーメモリーが従来モデルの約4倍程度になっているとのことで、連写中に止まってしまうことはありませんでした。もたつき感がなくストレスを感じません。また、SDカードスロットも2つあり、どちらもUHS-Ⅱに対応していることで、書き込みも高速に行えるので競技撮影にも嬉しい配慮ですね。そしてライダーのオフショットやポートレートを撮影をしたいときでも、高いピント精度で撮影ができました。ボディーに付いているジョイスティックでAFポイントを移動できるのですが、そのレスポンスが早い。さらに斜め方向への移動も可能なのでスムーズです」

Shoot on LUMIX S5II

LUMIX S5II + LUMIX S PRO 16-35mm F4・1/1000秒・f9・ISO100

shoot on LUMIX S5II

LUMIX S5II + LUMIX S PRO 16-35mm F4・1/250秒・f10・ISO160

LUMIX S5IIの最大の進化ポイントであるAFシステムは、確実にワンランクアップしていて、少し苦手だとされていた「動きもの」にも十分に対応できている。新しいAFシステムの恩恵はスチルだけでなく、動画撮影でも絶大だ。取り逃しの少ないAFはプロの世界でも非常に重要でこれからの進化が楽しみだ。その他には、どの点が気になったのだろうか。

「まずボディーデザインが格好良く、持っているだけでワクワクしますね。そのうえ、機能性も十分にあるのがなお素晴らしいです。LUMIX S5と比べて少し大きくなったグリップもとても握りやすく、LUMIX S PRO 70-200mm F2.8などを装着して撮影してみたりしたのですが、その際にもしっかりと固定できました。ミラーレスカメラは年々小型化していく傾向にありますが、小型なのにグリップ形状が持ちやすいことで、重めのレンズとのバランスもなんとか保てます。カメラ自体がとても軽く、疲れないのがとても嬉しいです。遠征の際は大会の合間にライダーたちと観光したりすることもありますが、このサイズなら気軽に持ち出してオフショットをたくさん残せそうです。
また、背面モニターがバリアングル液晶になっているのも嬉しいですね。BMXはローアングルで撮るとかっこいい場面も多いので、寝そべって撮ったりもするのですが、バリアングルがあるととても楽にローアングル撮影ができます。動画撮影でもこのモニターなら視認性も操作感もよく、重宝しそうです。 小さいお子さんや初心者ライダーのちょっとのジャンプでも、ローアングルで撮るとすごく飛んでいるように撮れるので、ぜひやってみていただきたいです!タッチパネルなので直感的な操作が可能な上、タッチAFにも対応しているので便利です。かと言ってファインダーの性能が悪いかというとそんなことはなく、視認性はいいし、タイムラグもそれほど感じずに撮影に集中できます。長時間のぞいていると疲れるLVFもありますが、LUMIX S5IIはそれを感じません。ストレスフリーなカメラです」

shoot on LUMIX S5II

LUMIX S5II + LUMIX S PRO 70-200mm F2.8・1/1000秒・f8・ISO100

ボディーの完成度が高いことで、撮影のクオリティーも上がる。それこそがLUMIX S5IIが求めた理想の形であることがわかる。スペック表に「文字」として出てこない使用感こそ大事にしていくことで、より親しみやすいカメラになる。まさに初心者にもおすすめできるカメラだと我満さんは話す。

「どんなカメラを使っているの?と聞かれたり、相談をいただくことが時々ありますが、競技撮影の現場でよく使用されるプロ仕様のカメラは、びっくりするくらい価格が高く、気軽におすすめできるものではありません。私自身も最初は携帯カメラから始まり、コンパクトデジタルカメラ、そしてAPS-Cの一眼レフ、フルサイズ一眼レフ、ミラーレス一眼と、徐々に機材のグレードを上げていきました。初めての一眼レフは、LUMIX S5IIと同じくらいか、もっと安いカメラで、そのカメラの限界を感じるまで使い倒しました。

撮ってみないとわからないことがたくさんあるので、まずは第一歩を踏み出すことが大切だと思っています。そして、LUMIX S5IIは、その第一歩を踏み出すためのカメラとしておすすめできる、『かっこよくて、小さく軽く、それでいて素早い動きにも対応できて、表現力もすごい』ミラーレスカメラのいいところがぎっしり詰まったカメラだと思います。BMXの撮影にチャレンジしてみたいと思っている方や、お子さんがBMXをしていて、かっこいい写真を残したい!と思っている親御さんなどに、ぜひ使ってみていただきたいですね」

そう笑いながら話してくれた我満さん。レベルの高い撮影からちょっとした家族写真までどんなシーンでも使えるカメラ。だからこそ、プロも選ぶことができるのだと我満さんから学んだ。

文/大貝篤史 撮影/我満直紀 BMXライダー/内藤寧々