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YOKOHAMA NIGHT with SIGMA fp L

約5分

 ひさびさの撮影やディレクション業務に追われる日々…。そんな大変ありがたい中、手元にあったSIGMA fp Lを握りながら窓外の景色に釘付けになった。眼下には、まばゆいばかりの夜景が広がり、そこにとても強い生命力を感じたからだ。新型コロナウイルス感染症の影響で、まともに撮影ができない日々が1年以上続いている。これは僕にとって「異常」のなにものでもないし、とてもストレスを感じる日々なのだ。

 そんな中、仕事で宿泊したホテルが非常にロケーションがよく、思わず「撮りたい」という願望に駆られ、夜を待って撮影した。SIGMA fp Lは約6100万画素とかなりの高画素モデル。きっと、この眼下に広がっている都市夜景をしっかりと表現してくれるのではないかと期待していた。お供のレンズはSIGMA 28-70mm F2.8 DG DN | Contemporary。このレンズは機動力が高く、まさに1本あればほとんどのシーンが撮影できてしまう優れものだ。解像感は高く、広角側の28mmを使えば、こういった夜景の撮影にも十分に対応可能だ。広めの画には三脚を使い広角側を積極的に使用。交差点などにクローズアップしたい場合には、望遠側を使い、さらに手持ちでの撮影を行っていた。そのためカメラの設定をISO3200と個人的には高めに設定し、ギリギリ手持ちでセーフなシャッタースピードを稼ぎながらの撮影だ。

SIGMA fp L + SIGMA 28-70mm F2.8 DG DN | Contemporary・f5・ISO100
SIGMA fp L + SIGMA 28-70mm F2.8 DG DN | Contemporary・f9・ISO100

 ISO100での三脚固定の写真に関しては、とにかくシャープで解像感が高い。プレビューモニターを確認するたびに思わず「オー!」と口ずさむほどだ。日頃はポートレート撮影が多いので、レンズは開放値で使っていたり、ある程度の甘さがポートレートには必要だったりするので、ここまでしっかりとした画を撮ることは普段あまりなく、とても新鮮だった。ISO3200での手持ち撮影に関しても、程よいノイズ感が逆にアーバンなイメージにぴったりで、非常に好感が持てた。約6100万画素であることを考えると、驚異的にノイズレスな画であることは間違いなく、fp Lの素性の良さが際立った。これだけノイズレスなら積極的に高感度を用いたポートレート作品なども撮ってみたいと衝動に駆られ、近々、夜の街頭ポートレートを撮ってみたいと思う。

現像にはAdobe社のPhotoshop Lightroomを使用しているのだが、fp LのRAWデータは非常に扱いやすい。ダイナミックレンジが非常に広いので、明部、暗部ともにきちんと色情報が残っている。自分のイメージ通りな現像処理が可能なので、撮影後の楽しみも加わる。昨今では、若いフォトグラファーを中心にRAW現像がかなり一般化しており、fp Lはそういった需要にも十分に対応できると感じた。

 非常に個人的な意見ではあるが、fp Lは使い込むことが重要なカメラであると最近感じる。手に入れた当初は「このオーバースペックをどう使うのか…」と頭を悩ませていた。またカメラというよりかは、少し近未来的な「クリエイティブ・ツール」のような外観が、さらにカメラとしての視点を曇らせた。しかし、2回目、3回目と仕事で使用するうちに「おや?」と感じる機会が増えていった。何回も使い込むことでカメラ自体が潜めていた「メッセージ」のようなものが伝わってくる。そのカメラの声に耳を傾けることができれば、fp Lはジャンルを問わずすべてのクリエイティブシーンに「高品質」を与えてくれるカメラであることがわかる。今度はfp Lを使った動画作成をしてみたいと思う。これこそが、fp Lの魅力であり、いじわるなところなのかもしれない(笑)。

SIGMA fp L + SIGMA 28-70mm F2.8 DG DN | Contemporary・f18・ISO100
SIGMA fp L + SIGMA 28-70mm F2.8 DG DN | Contemporary・f2.8・ISO3200



文・撮影/大貝篤史

■SIGMA fp L
https://www.sigma-global.com/jp/cameras/fpl/
■SIGMA 28-70mm F2.8 DG DN | Contemporary
https://www.sigma-global.com/jp/lenses/c021_28_70_28/