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GFX 50Rへの泣き言

約4分
GFX50R

デジタル一眼カメラのセンサーサイズは年々大型化している。現在の主力もすでに35mm判フルサイズセンサーだ。筆者も企業からの仕事依頼などの場合には積極的にフルサイズセンサー搭載モデルを使用している。カメラのミラーレス化が進むことで、フルサイズセンサーでも小型かつ軽量に作れているものが多く、使い勝手がいいのだ。

そんな中、筆者は富士フイルムから発売されているGFX 50Rを購入した。きっかけは小型なボディーデザインのGFX 50Rが在庫限りになっているのを目にしたからだ。同社はGFX 50S Ⅱなどを最近リリースし、いわゆるラージフォーマットカメラを意欲的に展開している。その中でも一番「街中での使用」が許容範囲だと思われていたGFX 50Rで、なくなったら困るなー(きっと次のモデルが出るんだろう)と思いつつ、購入した。筆者は主にポートレートを撮っている。ラージフォーマットならではのネトっとした懐の深いボケ味を担当してみたいと思ったからだ。

セレクトしたレンズはGF63mm F2.8 R WRだ。35mm判換算で約50mm相当ということで、個人的に見慣れた画角だし、「大好物」な画角なのでこれにした。それはそれは期待度満点で早く撮りたいという思いでいっぱいだった。

思っていたよりもムズカシイ

実際に作品撮りの現場に持ち込んだが、これがムズカシイ……。いつもの調子で撮影したがなんとなく「あれ???」と違和感を感じる。最初はラージフォーマットならではのボケ味にしっくり来ていないのかと思ったが家に帰ってきてその理由に気づく。いざデータをPCに取り込み確認してみたが、やはりしっくりこない。この違和感がどこから来るのか……。理由はその「解像度の高さ」だ。正確には解像感の高さという表現が正しいのかもしれない。

明らかにフルサイズセンサーよりもピント面および周辺も含めてシャープに写る。ポートレート撮影の場合には、ある程度の「甘さ」が必要だ。そのスキのない解像感が違和感を生んでいたのだ。

「マジか……」

そんな言葉を自然と吐き出した。このカメラはきっと筆者のような下手くそが手にしてはいけないカメラなのかもしれないとドキドキが止まらない。風景写真や建築写真、造形写真のジャンルなら、細かいディテールを表現でき、それが奥行きを生み、立体感につながるのだろう。ポートレートでもスタジオでの広告撮影なら抜群の破壊力だろう……。まさにカメラにも「適材適所」があるのだと、久々に痛感した。ようは筆者には「オーバースペック」だったのだ。

野外でのフィールド撮影を主とする作品づくりにはあまり向いていなかったショックで、数日間寝れなかった(笑)。ただ、つねに前向きに考える筆者なので、このGFX 50Rはスタジオ撮影用に購入したのだと思うことにした。そんな仕事、年に10回ぐらいしか来ないけど……。でもこれでそういう仕事も増えるという期待値を込めるのだ!

こういう「失敗」すら楽しいのが写真だ。某著名なスナップ写真家が昔よく言っていた「写真なんて失敗の連続。どこまで根気よくやり続けることができるかだよ。腕も機材も、ね」筆者はまだこういう自分の技量不足から生まれる「失敗」を楽しいと思えるから、まだまだ写真が上手くなるのでは……と勝手に思っている。

にしても、、よく写るカメラだなー。

文・写真/大貝篤史



■富士フイルム GFX 50R
https://fujifilm-x.com/ja-jp/products/cameras/gfx-50r/

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