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Panasonic LUMIX GH6 SHOOTING REPORT

約6分

待望のLUMIX Gシリーズのフラッグシップモデル

2021年6月に発売したLUMIX GH5 M2から約1年。フルモデルチェンジして発売したのがLUMIX GH6だ。センサーも画像エンジンも刷新され、マイクロフォーサーズ規格としては、久々に技術の進歩を感じるカメラだ。センサーは約2652万画素とマイクロフォーサーズ規格のカメラでは最高レベル。さらに従来の約2倍の処理スピードを実現したヴィーナスエンジンの恩恵は大きく、AF性能の向上、ハイフレームレートの動画撮影などカメラ全体のパフォーマンスが大幅にアップしている。従来のGH5シリーズとはまったく別次元のカメラであり、スチル撮影、動画撮影の両方をしっかりとこなせるマルチカメラなのだ。

外見に関してもデザインは大幅に変更された。グリップ部はかなり太くなり、握り心地は非常によく、長時間の撮影でも疲れづらい。このあたりはスチル利用のヒトには、とても有り難い変更点だろう。背面液晶部に関しては、チルトフリーアングル機構を採用。自由自在に背面モニターを動かすことができるので、ハイアングルやローアングルでの撮影でも楽な姿勢で撮影ができる。また動画撮影でジンバルなどを使用した場合にも、レイアウトの自由度が上がり、ストレスを感じずに撮影が可能になる。シャッターボタンのフィーリングも良好で、どんどんシャッターを押したくなる……そんな小気味の良い手応えのあるフィーリングだ。

より撮影の質を高めけてくれる進化が見える

もっとも進化を実感できたのは「AF性能」だ。AF-Cモード(追従)での追従精度およびスピードが格段に向上している。特に「リアルタイム認識AF」を使用した際にその違いを感じた。ポートレート撮影時には、顔認識もしくは瞳認識に切り替えて使用しているが、従来モデルよりも粘り強く追従することで、失敗写真の量は大幅に減った。また、水辺などで走り回るモデルを撮影する際にも、よほど悪条件でなければ満足のいくヒット率だ。

各社が瞳認識や顔認識AFを採用してから、ポートレート撮影の仕方がだいぶ変化した。LUMIX GH6は合焦ポイントもほぼ全画面サポートの315点なので、被写体の配置への自由度も格段にアップ。スチルにしても動画にしてもAF性能は非常に重要で、高度な作品づくりには欠かせないものになっている。 ハイビットレートの動画データに対応させるために、カードスロットにはCFexpress TYPE BとSDカードが採用された。CFexpressスロットになったことで、アップルのProRes HQのデータを内蔵カードに直接入力することが可能になった。映像現場ではスタンダードなフォーマット形式を外付けのSSDなどを接続しなくても使えるのは、使いやすい。また、スチル撮影でも記録先をCFexpressにしておけば連写時のリカバリーも速くなる。それでいて、SDカードスロットがあることで、今までのメディア資産を活かすことができ、CFexpress TYPE Bを新規で購入しなくても撮影できるのはユーザーにとってはありがたい。スチル撮影しか当面しないヒトならSDカードでも十分だ。

ポートレート撮影に向いている一台

今回はポートレート撮影を中心に使用してみたが、非常にアグレッシブな撮影が可能だった。AF性能の大幅な向上のおかげで、少し薄暗いシーンでもAFがしっかりと追従し、モデルを止めて撮影せず、自然な流れの中で撮影できた。もちろん「キメキメポートレート」でも正確なピント合わせが可能だ。筆者はモデルを動かしながら撮影するのが好きなので、LUMIX GH6は非常に使いやすいと感じた。ボディー重量もGH5よりも少々重くなったが、握っていてストレスを感じるほどの重量アップではない。また、強力なボディー内手ブレ補正機構があるため、手ブレはほとんど皆無であり、クリアな写真を撮影できる。F値の明るいレンズを組み合わせることで、どんな条件でもハイパフォーマンスを発揮。ポートレート向けのカメラである。

地味だが大きな進化だと感じたのは、「ISO100が常用で使用することができる」ようになったことだ。この進化は、ポートレートを撮影するうえではかなり重要だ。LUMIX Gシリーズには、開放値が明るいレンズが多数存在する。ISO100で1/8000秒のメカニカルシャッターが使えれば、よりボケ感のある撮影が可能になり、表現の幅がグッと増える。マイクロフォーサーズ規格のモデルでもポートレートを存分に味わえるカメラがようやく出たと心が踊った。

Panasonic LUMIX GH6 + LEICA DG NOCTICRON 42.5mm / F1.2 ASPH. / POWER O.I.S.
Panasonic LUMIX GH6 + LEICA DG SUMMILUX 25mm / F1.4 II ASPH.

色づくりに関してもJPEG撮って出しの場合には、非常に忠実で扱いやすい。フォトスタイルを色々と変更することで、より自分好みのカラープリセットを作ることができる。「LUMIXはJPEGでもしっかりと使える」ところがいいとユーザーから評価されているのも頷ける。もちろんRAWデータの色階調に関してもマイクロフォーサーズ規格のセンサーを搭載しているとは思えないほど、色深度が深い扱いやすいデータだ。JPEG撮って出しで楽しむのもよし、RAWデータをベースに追い込んで自分の世界観を表現するもよし。写真ライフの方向性に合わせて自在に楽しめるカメラだ。

Panasonic LUMIX GH6 + LEICA DG VARIO-ELMARIT 8-18mm / F2.8-4.0 ASPH.
Panasonic LUMIX GH6 + LEICA DG SUMMILUX 25mm / F1.4 II ASPH.

Panasonic LUMIX GH6 + M.ZUIKO DIGITAL ED 75mm F1.8 (左上)
Panasonic LUMIX GH6 + LEICA DG SUMMILUX 25mm / F1.4 II ASPH. (右上、下)

Panasonic LUMIX GH6 + LEICA DG SUMMILUX 15mm / F1.7 ASPH.

マルチな用途に応えてくれるカメラ

LUMIX GH6はプロユースでも耐えることができる動画撮影機能が搭載されている。4Kオーバーの5.7K動画撮影はもちろんのこと、4Kでのハイフレーム撮影、アップルのProRes HQでの撮影など、スチル用途だけでなく動画も同時に撮影したいヒトや今後チェレンジしてみたいヒトならこのカメラを強くおすすめする。動画撮影用にもう一台カメラを購入することを考えれば、LUMIX GH6はかなりコスパに優れたカメラなのだ。

また、マイクロフォーサーズ規格のカメラはレンズ自体も非常に安価で、高性能レンズをどんどん買い足すことができ、撮影がとても楽しくなっていく。まさに「ユーザーを育ててくれるカメラ」である。ビギナーからミドルクラスのユーザーにおすすめだ。

文・撮影/大貝篤史 モデル/たま


■メーカーサイト■ https://panasonic.jp/dc/products/g_series/gh6.html