orphotograph

写真の今がわかるWeb情報マガジン

SIGMA 10-18mm F2.8 DC DN SHOOTING REPORT

約5分

シグマらしいかゆいところに手が届くレンズ

シグマより万を期して発売したSIGMA 10-18mm F2.8 DC DN | Contemporary。DC DNレンズシリーズではなかった超広角域をカバー。これでさまざまなジャンルで使うだろう焦点距離は、ほぼ揃ったことになる。APS-C系のレンズがあまりリリースされない昨今、ここまで充実させてくるのは「さすがのシグマ」と言ったところだ。

このレンズの魅力のひとつは、なんと言ってもその筐体の小ささだ。超広角と聞くと、フィルター径がとても大きいイメージだが、このレンズのフィルター系は67mmと比較的小さめだ。広角側が10mmなのにも関わらず、フィルターがしっかりと装着できる。このあたりはさまざまなフィルターを装着して撮影する風景撮影などにも使い勝手がいい。ズームリングとフォーカスリングともに感触がよく、特にフォーカスリングは、ヌルッとした感触で繊細な調整もしやすい。

このレンズの魅力は、この大きさながらも開放値がf2.8ととても明るいことだ。暗所での撮影でも高感度耐性のいい昨今のミラーレスカメラと組み合わせることで、十分実用的な使い方ができる。前玉には大きめな非球面レンズを使用することで、筐体内で構成するレンズの数を抑えることに成功。高い解像感に貢献している。ワイド側では35mm判換算で約15mmを実現。パースの効いた撮影から王道とも言える風景写真まで幅広い用途に使えるレンズだ。最短撮影距離も11.6cm(最大撮影倍率1:4)なので、被写体に寄った近接撮影ができる。その点では、スナップ撮影などに持ち出しても面白い。

Leica CL + SIGMA 10-18mm F2.8 DC DN | Contemorary・1/1600秒・f2.8・ISO200

Leica CL + SIGMA 10-18mm F2.8 DC DN | Contemorary・1/13秒・f2.8・ISO1600

写りの妥協がないのがシグマらしさ

今回使用したのは、Lマウント用のレンズ。ボディーはLeica CLだ。余談だが、現在APS-CセンサーのLマウントカメラは現行ラインにはなく、Leica CLユーザーにとってはなんとも悲しい状況。シグマからAPS-C用Lマウントレンズがいまだにリリースされるのは、うれしい限りだ。


使用感としては「快適」の一言に尽きる。超広角レンズがこんなにもイージーに持ち出せるのはありがたい。装着したカメラを肩に提げ、数時間歩き回ったが、身体の疲れ方が違う。同様のフルサイズカメラシステムを持ち出したら、こんなにアクティブには動けない。写りに関しても開放値f2.8から全域で十分にシャープ。近接撮影を行えば、それなりにしっかりと背景がボケるので、立体感を感じた撮影が可能だ。F5.6程度まで絞り込むことでレンズ周辺域まで十分にシャープな写真が撮れる。風景撮影で使うならそれぐらいまで絞るといいだろう。 AF性能に関しても、Lマウントモデルでの検証だけだが、非常に高速に動作する。シグマのステッピングモーターはいつもながら静かで動きがいい。AF周りで悩みを抱えることはなさそうだ。

Leica CL + SIGMA 10-18mm F2.8 DC DN | Contemorary・1/250秒・f7.1・ISO100

Leica CL + SIGMA 10-18mm F2.8 DC DN | Contemorary・1/30秒・f2.8・ISO1600

フレアとゴーストに関しても、開放値f2.8で意地悪な環境で撮影すれば多少は出るが、絞り込むことでほとんど出ない。シグマ独自のコーティング「スーパーマルチレイヤーコート」の恩恵だ。
またこの小型かつ軽量な筐体なら動画撮影にも使える。動画の場合には自撮りなども考慮すると、35mm判換算で14〜30mm程度までがもっとも使いやすい。このレンズはまさにその焦点距離をカバーしているので、シグマのfp Lやソニーのα6700などに装着してジンバルに乗せて運用するなど、動画クリエイターにも重宝する1本になるだろう。

Leica CL + SIGMA 10-18mm F2.8 DC DN | Contemorary・1/320秒・f7.1・ISO100

Leica CL + SIGMA 10-18mm F2.8 DC DN | Contemorary・1/640秒・f2.8・ISO1600

レンズとしての機能性がありつつも、新しい試みがいい

今回初のおもしろい「試み」があるのが、レンズフードだ。従来のレンズだとねじ込んで装着するタイプだったが、今回は押し込んで装着するというまったく新しい方式。実際に使ってみたが、思いのほか使いやすい。デモレンズが届くまでは「簡単に外れておちるのでは?」と思っていたが、これが簡単には落ちない……笑。撮影中に外れて落ちたことは今のところ一回もない。ねじ込みタイプだとあまり多用していると、フードとレンズの擦れる部分が少しずつ削れてきて白くなる。実は結構気になったりしていたのだが、このフード方式ならそのようなことは起きないのでは……。これからも検証を続けたい。

文・撮影/編集部 モデル/KUROYUKA、RIHO

■製品情報 SIGMA 10-18mm F2.8 DC DN | Contemporary
https://www.sigma-global.com/jp/lenses/c023_10_18_28/