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SIGMA 18-50mm F2.8 DC DN | Contemporary SHOOTING REPORTS

約5分

超小型かつ軽量な大三元レンズ

 今回のレポートは、シグマから発売されたAPS-Cセンサー対応の高性能ズームレンズ「18-50mm F2.8 DC DN | Contemporary」だ。対応マウントは2021年11月時点では、EマウントとLマウントの2種類。35mm判換算で27〜75mm相当の焦点距離をサポートしている。全域でf2.8とかなり明るいズームレンズとなっている。

 箱から出したときにまず驚いたのが、その圧倒的な「小ささ」だ。思わず単焦点レンズが送られてきたのかと思うほど筐体が短く小さい。筆者はそれほど手が大きい方ではないが、それでもまさに「手のひらサイズ」だ。重量も約290gと超軽量なので、ジャケットのポケットの中に入れていても苦にならない。これでf2.8通しのレンズだとは全く想像できない。明るい高性能ズームレンズの場合には、どうしても「でかい、重い」という印象があり、「これが性能を欲すると起きるジレンマか…」と思うほど。昨今のミラーレスカメラの小型化を考えると、まさに小さな戦車に巨砲をのせているような状態になりかねない。これでは、ミラーレスカメラの利点を損なうことになる。レポートで使用したのは、ライカのTL2だが、装着時においてもまったくそのサイズ感に違和感がなく、むしろぴったりでかなり好感が持てた。Leica TL2も非常に薄くて小さいミラーレスカメラなので、バランスはとてもいい。

レンズが増えることで撮れるものが格段に変わる

 数年前まで、Leica Tシリーズ用レンズは非常に高いライカ製のものしか存在せず、なかなか手が出しづらいという声を聞く。シグマは単焦点のContemporaryシリーズ3本もリリースしており、このレンズを加えれば、ほとんどの撮影ジャンルを楽しめるだろう。筆者的にはLeica TL2はどこかLeica M10の色思想に似ているため、もっと主力で使いたいと思っていた。そんな矢先にSIGMA 18-50mm F2.8 DC DN | Contemporaryが発売したことで、より作品づくりに使えるカメラシステムと昇華したのだ。

 特にこの筐体の小ささを生かし、街中でのスナップショットでは無敵だと感じるほど機動力があがる。それでいて、明るいレンズのためボケ感もあり、ポートレートにも積極的に使用できる。まさに万能レンズだ。フォーカスリングには適度なトルク感があり回しているのがとても気持ちいい。このあたりのこだわりもさすがのシグマだ。

基本性能が高いことは安心感につながる

オートフォーカス性能は非常によく、よほど条件が悪くない限り、迷うことはない。万が一迷って合わない場合には、ヌルヌルと動く気持ちのいいフォーカスリングでピントを追い込んでいくことができる。今回の撮影では真っ暗なホテルの一室だったため、MFでのピント送りを多用したが、ミラーレスカメラならではの「ピント面拡大機能」を駆使すれば、不便だと感じることはなかった。唯一の不満点は、筐体にAF/MFの切り替えスイッチがなく、カメラのコマンドからわざわざ設定する必要があった(Leica TL2の場合)ことぐらいだ。AFの駆動音に関してはとても静かで、積極的に動画撮影で使用できる。

写りに関してはピント面に関しては開放からシャープ。今回も開放値での撮影がほとんどだったが、f2.8の割にはちゃんとボケ量があるイメージだ。このあたりは、他メーカーのものと比べても立体感を感じる画が撮れる。F5.6まで絞り込むことでだいぶ周辺域までシャープになるので、風景写真などの場合には絞り込んで使うといいかもしれない。

 シグマ独自の技術「スーパーマルチレイヤーコート」の効果で、逆光撮影時のフレアやゴーストなどもかなり抑制してくれる。ポートレート撮影ではゴーストもフレアも演出のひとつとして捉えていることがあり、強引に入らないかとかなりいじわるに撮影すれば、入るは入る。そういう特異的なケースを除けば、とても良好なコーティングだ。

ミラーレスカメラの機動力をアップしてくれる

 いわゆる大三元レンズをミラーレスカメラになって持ち出さなくなる理由の1番がその重さと大きさだ。どんなに写りがいいからと言われても、システムとして小型化できることがメリットのひとつとなっているはずなのに、そこがスポイルされてしまうのは気持ち的に「ノーサンキュー」だ。どうせ重くなるなら、24、35,50、85mmのそれぞれの単焦点レンズをカメラバッグに詰めたほうが現地で後悔することは少なくなるだろう。しかし、このレンズであれば小型かつ軽量であるため、まずファーストレンズとして持ち出し、その後ボケ用のレンズとしてf1.4クラスの単焦点レンズを1本持っていけばいい。結果的にシステムがかなり軽くなる。部屋での撮影でも、屋外での撮影でもフレキシブルに撮影できるに越したことはない。小型なAPS-Cミラーレスカメラに新しい使い方を提案してくれる万能ズームレンズだ。


撮影・文/大貝篤史 モデル/外山史織


■メーカー製品ページ
https://www.sigma-global.com/jp/lenses/c021_18_50_28/