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ニコン Z fcはニュージェネレーションなカメラ

約7分
ニコンZfc
Nikon Z fc

クラシカルなレトロデザインが物欲をそそる

ニコンから面白いカメラが登場した。それがNikon Z fcだ。デザインは、クラシカルで懐かしさがありながらも、今若者に人気のクラシカルデザインなので、20代からもそれなりに支持されている。フィルムカメラブームに乗った「デジタルカメラ」のように思えるが、それだけでは終わらないのが「ニコン」のいいところだ。実際に筆者が購入しての「自腹」レビューではあるが、ファーストインプレッションで感じたのは、非常にバランスの取れたいいカメラだということ。

無理にフルサイズセンサーを採用しないことで、若者でも購入しやすい価格に収めた。また、この価格帯ならヘビーユーザーの2台目としても十分に考えることができる。センサーサイズはZ 50と同様で約2088万画素のAPS-Cセンサーだ。上位モデルでも搭載されている画像エンジン「EXPEED 6」を採用することで、より高い解像感やスピーディーな画像処理が可能になり、Z fcに搭載されている多彩な機能も恩恵を受けている。高い基本性能を保持しているので、カメラとしての完成度はかなり高く、プロユースでなければZ fcで十分な写真ライフを楽しむことができるだろう。

実際にボディーを持ってみると、かなり軽いという印象を受けた。カタログによる約600mlの水と同じ重さということで、かばんの中に入れていても負担になる重さではない。軽いからチープに感じるのかというとそういうわけではない。ボディーにはマグネシウム合金を使用し、堅牢性も十分だ。小型ボディーながらしっかりとした作り込みは所有欲を高めてくれる。また、通常購入の場合にはブラックしか選べない人工皮革部分も有料ではあるが6色のカラーバリエーションから選んで変更することが可能。今まではこのようなサービスを提供してこなかったニコンが率先して行うのは「新しい試み」だと感じた。Z fcのターゲット層がより若い層であることがよくわかる。

「面倒(めんどう)」に見えることがむしろ重要!

ニコンZfc

ボディーの軍艦部には、ダイヤルが3つあり、Nikon Df以来のダイヤルの多さだ。時計もそうなのだが、アナログのほうが直感的な操作が可能であったり、視認性も高いことが多々ある。そういう意味では、Z fcの軍艦部にあるダイヤル類の視認性がよくわかりやすい。そして、ダイヤルの操作感がよく、回すと絶妙なクリック感があり「操作している」という実感が湧く。軍艦部だけ見ていると懐かしいクラシカルカメラを触っている錯覚に陥る。
EVFに関してもセンターにあることで自然にのぞける。約236万画素の有機ELパネルを採用し、視野率も100%であることもあり、非常に見やすいEVFだ。MF操作時にもピントを合わせやすいので、積極的にオールドレンズを装着して撮影できるだろう。

王道の使い方だけがニコンにあらず

そんな今どきの使い方ができるZ fcなので、今回は純正レンズではなくサードパーティ製のマウントアダプターを装着し、ライカM用のレンズを装着してポートレート撮影を行った。ライカMマウントのレンズはフルサイズ対応ながらも小型かつ軽量なので、Z fcのボディーデザインには丁度いい。ニコンのAPS-C用Zマウントレンズはまだまだ少なく、高性能純正レンズ(特に単焦点レンズ)が出揃うまで、「裏技」を駆使して実用化するのもとても楽しい。マウントアダプターは焦点工房から出ているTECHARTの「TZM-01」を使用。この商品は、AFが利用できるということで、よりアグレッシブに撮影が可能だ。レンズはライカM用のVoigtlander Classic NOKTON 40mm F1.4を装着して撮影した。

実際に撮影してみて感じたのは、非常にレスポンスがいいカメラであることだ。価格面や入門機モデルのような位置づけのカメラは、上位モデルと比べると全体的にもたつきがあったり、使用感が直感的ではないケースが多いのだが、Z fcに関しては皆無だ。かと言ってバンバン連写をしながら撮影するカメラかと言えばそうではなく、一枚一枚を大事にしていく撮り方が似合う。ダイヤル類の操作感や背面モニターそばにあるボタン類が使いやすく、初めてこのカメラに触れてもすぐに使いこなせるようになるだろう。特に「i」ボタンは便利で、よく変更しそうな機能へ簡単にアクセスできる。筆者はあまりタッチパネルを使用する習慣がないため、物理ボタンは非常に助かる。

Nikon Z fc + Voigtlander NOKTON classic 40mm F1.4 (すべて)

使い方は自分次第でカメラはいい

Nikon Z fc + Voigtlander NOKTON classic 40mm F1.4

Z fcがクラシカルなカメラなので、レンズに関してもあえてフレアやゴーストが出るオールドレンズを使用するのがとても似合う。Z fcを握ると思うのは「プロダクトデザイン」が撮影技法や撮影スタイルを決めるのではないかということだ。

実際にNOKTON classic 40mm F1.4での撮影で困ったのは、快晴時での開放値撮影だと、NDフィルターは必須となることだ。Z fcはISO下限が100で、シャッタースピードも1/4000秒が限界のため、f1.4で撮影だとどうしても露出オーバーになる。だったら、絞り込めばいいじゃん!という読者の声が聞こえてくるようだが、ポートレーターとしてはやはりなるべく開放値を昼間でも使いたいのだ(笑)。ライバルになるだろう富士フイルムのX-T3などは、1/8000秒の高速シャッターが切れるので、f1.4のレンズでも開放値の撮影がしやすい。この点を除けば、ポートレート撮影でも十分に使えるカメラだし、スナップ撮影なら少々絞り込んで撮影することが多いと思われるので、Z fcは頼もしいカメラ(相棒)になる。

Nikon Z fc + Voigtlander NOKTON classic 40mm F1.4 (すべて)

オールマイティーなカメラが果たして必要なのか?

オールマイティーなカメラではないがそこがいい

Z fcはこれからカメラを購入して写真を撮りたいビギナーには十分な機能と性能を持っている。このカメラをまず購入し、数年後にステップアップしてZ 6やZ 7シリーズを購入するのもいい。その際には、セカンドカメラとしての役割を担えるキャラクターがZ fcにはある。このカメラを握ると「不自由なことの刺激」を感じる。フルサイズのプロ機と比べれば、装備されていない機能はあるだろう。しかし、カメラやレンズはとどのつまり自分に合っているものであれば、「何でも」いいのだ。だからこそ、自分が愛着を持って使えるカメラが重要になってくるし、そこには「物」としてのインパクトが必要だ。その意味で言えば、ニコンのZ fcは十分にインパクトを与えてくれる。まさに撮っていて「楽しい」カメラだ。買ってよかった……。自腹で購入してのレビューだったがいかがだろうか?唯一の懸念事項を挙げるとすれば、現在(2021年10月)バッテリーがまったく市場にないことだ。買いたくても買えないのだ……。バッテリーの持ちが決して悪くはないZ fcだが、それでも1日中撮影するのであれば、換えのバッテリーは1本ほしいところ。それを調達できるかどうかが筆者の課題だ(笑)。こんな時代だからこそハプニングは楽しみたい。

モデル/絢愛 文・撮影/大貝篤史

Nikon Z fc + Voigtlander NOKTON classic 40mm F1.4 (すべて)




■Nikon Z fc
https://www.nikon-image.com/products/mirrorless/lineup/z_fc/

https://orphotograph.com/2021/06/27/nikon_maicro_lens210630

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