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マルミの新フィルター「パンチ」シリーズは面白い

約4分

どの世代が使うかで評価は変わる

写真家の鈴木さや香さんがプロデュースした異色のフィルター「アルプスパンチ!」「なついろパンチ!」がリリースされた。このフィルターの特長はなんといっても懐かしの雰囲気のある写真をフィルターを装着するだけで再現。グリーン系のアルプスパンチ!とシアン系のなついろパンチ!というイメージで、それぞれ色被りが楽しめる。

また、ガラスを何層にもすることで空間を作り上げ、あえて光が乱反射し、フレアやゴーストが出るような設計になっている。また、ある波長の光線だけをキャンセルし、このフィルターならではの色味を表現している。昨今のデジタルカメラ用のレンズはどのメーカーも非常に光学性能やコーティングが優れ、フレアやゴーストを出したくてもなかなか出てくれない。よって解像感の高い写真を撮ることができる。

鈴木さや香さんのショップ「AtelierPìccolo」での展示

しかし、この高い解像感にどこか違和感を感じるシーンはないだろうか。すべてのシーンが「パキ」となっていると、撮りたい瞬間のイメージに合わない時がある。AdobeのLightroomなどの現像ソフトで色温度やコントラスト、彩度などをコントロールすることで、写真のシャープさを抑えたり、全体の色調をコントロールする人も多いだろう。それだと後からの作業になってしまい、どこか撮る瞬間の楽しさをスポイルしているように感じる。写真の理想は「撮影時にすべてがイメージ通り」撮れていることだろう。そんな悩みを抱えていた人にオススメできるのがこのフィルターシリーズだ。

実際に撮影していると、フレアやゴーストもしっかり出るようになるし、さらにどこかピンが甘いような「にじみ」のある写真が撮れる。その方向性は2つのフィルターに共通している。経験豊富な写真愛好家にとっては、「扱いづらい」と感じる人もいるだろう。そういう人へのアドバイスは、「贖(あがな)わないこと」だ。誰かが言った「いい写真」のセオリーに当てはめてはいけない。抵抗すればするほど、このフィルターの良さはどんどん打ち消されてしまう。

このフィルターが若い世代には新鮮

ちなみにフィルムカメラなど知らない若い世代に使って貰えば、このフィルターがもたらす効果は「かなり歓迎される」だろう。先入観のない若い世代においては、「このフィルターをつけるとフレアやゴーストがちゃんと出る!!」なのだ。自己のイメージするエモーショナルな世界は肉眼で見えている世界を忠実に写すことではなく、自分のイメージを忠実に再現してくれることなのだ。後からデータをいじることができるかもしれないが、撮影時に自分のイメージをリアルに感じながら撮影した方が、撮りたいと思う写真を撮りやすくなる。

リリースされている口径は、46ミリ、49ミリ、52ミリ、55ミリ、58ミリ、67ミリとなる。それ以外の口径はステップアップリングを使用することで対応できそうだ。フィルターのサイドには可愛いイラストと商品名が記載されている。ちなみに「日本製」と漢字で書いてあるのが面白い…。

すべての写真をこのフィルターをつけて撮影することは、想定していない。さらにこのフィルターを装着して撮影するのが適していると思われるジャンルは「スナップ」「ポートレート」だろう。どこか懐かしい一枚を撮影し、それがオンリーワンになりえる。そういう写真がそもそも秘めている魅力を味わうには、最高のフィルターだ。

確かにターゲットは限られているかもしれないし、現代のレンズ光学性能の追求に反しているかもしれない。しかし「良き懐かしき時代の写真」に魅力を感じている人には試してみる価値が十分になる。ぜひ、手にとってみて欲しい。本格的な発売は夏前からのスタート。先行予約は鈴木さや香さんの「AtelierPìccolo」のWebサイトに掲載のバナーから購入可能だ。

AtelierPìccolo
https://www.info-atelierpiccolo.com/

MARUMI 
https://www.marumi-filter.co.jp/