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金森玲奈さんが写真展『日々を紡ぐ2011-2021』を開催

約3分

10年という激動と平凡を写真が語る

写真は日々を語る。そして、それは点ではなく線になっていく。

そんなふうに感じる瞬間を写真家・金森玲奈さんの写真から感じる。写真は何も特別なものを撮るためのものだけではない。平凡な日常を自分なりに残す「手段」だ。筆者は日頃からカメラを極力持ち歩くようにしている。仕事の打ち合わせ時もプライベートで遊びに行くときも、家族と会食するときにも……。その理由を「格好良く」言うのであれば、シャッターを切りたい瞬間は、日常にあふれているし、実際そういうときの写真をなんとなく後世に残したい。そんな思いからだ。

金森さんは2011年に起きた東日本大震災のアルバム洗浄ボランティアに参加。そのときに、ただ「物」として存在する写真がそれ以上の価値をもっていることを実感させられる体験をしたという。それはきっと金森さんの「ココロ」に強く何かを残したのだろう。だからこそこの写真展を開催しようと思ったのではないか……と思う。それほど10年前の出来事は日本に住む人に大きな衝撃を与えた。

あれから10年。いまはまた違う意味で世界中を巻き込んだ「衝撃」が日々起きている。未知のウイルスとの戦い。この戦いの行末はまだまだわからない。だからこそ、不安を覚えたり、時には強く恐怖を感じる。少なからず筆者はその一人だ。金森さんも「かつての日常を思い出す余裕すらない」と感じるほど、変わってしまった我々の世界。だからこそ金森さんは、この日常を残したいと思い、カメラを向け続けた。その10年の暖かい瞬間を感じる写真展が金森玲奈写真展『日々を紡ぐ2011-2021』だ。写真家である金森さんの感性で切り抜かれた日常が、どんな安らぎを与えてくれるのか。忘れかけた日常を思い出させてくれるのか。それをぜひ、現地の写真会場で感じてほしい。


■写真展情報■
金森玲奈写真展 『日々を紡ぐ2011-2021』
開催期間:2021年3月24日(水)〜4月4日(日)13:00-19:00 月曜日休廊
会場:gallery re:tail 東京都武蔵野市吉祥寺本町 3-12-9 潤マンション 103
http://thetail.jp/