orphotograph

写真の今がわかるWeb情報マガジン

shoot on LUMIX S5II

「どんな『ゆる鉄』シーンでもこのカメラなら撮れる」

関西エリアで鉄道写真家として活躍する森誠さん。
鉄道がある風景をテーマに様々な角度から鉄道と向き合っている。
そんな森さんにLUMIX S5IIの魅力を聞いた。

鉄道写真というと「編成写真」をイメージする読者も多いだろう。しかし鉄道のある景色とは何もそれだけではない。様々な角度から鉄道写真を表現する森さんにとってLUMIX S5IIの印象はどうだったのだろうか。

「まず真っ先に感じたのは『小型・軽量』であることです。普段はプロユースのミラーレスカメラを使用しているので、なおさら小さくて軽いなと感じました。この大きさと軽さならフィールドを歩き回るようなシーンでも疲労感があまりなく、どこにでもいけますね。なので、『ガチ鉄』よりも『ゆる鉄』に向いたカメラだと思います。その機動力を生かして、どんどん前に進んでいく。その先には自分しか撮れない鉄道写真があるかもしれません。そんな可能性を感じます。

また、システムとして考えても今回撮影で使用したLUMIX S 20-60mm F3.5-5.6とLUMIX S 70-300mm F3.5-5.6 MACRO O.I.S.というレンズも軽いので、体への負担が少ないです。どちらのレンズも描写力があるので、掲載作品のような多彩な表現が可能です。カメラバッグが本当に軽いですよ(笑)」

shoot on LUMIX S5II

LUMIX S5II + LUMIX S 70-300mm F4.5-5.6 MACRO O.I.S.・1/4000秒・f5.6・ISO400

そう話す森さん。編成写真ならば超望遠の出番が増えるし、風景写真のようなシーンでは広角レンズが重宝する。鉄道写真というジャンルは、幅広い焦点距離が必要なケースが多いのだろう。だからこそカメラシステムとしての使いやすさを考えたい。

「色味に関してはとても素晴らしいです。RAW+JPEGで撮影したのですが、JPEG撮って出しの描写に関しても表現力がありますね。ボディー内のカラー設定で追い込んでやれば、さらに自分の意図した色が出る。これはかなり優秀だと感じました。RAWデータのダイナミックレンジも広いため、朝焼けの微妙なトーンも少し調整しても破綻しません。
さらに驚いたのは『赤』が良く出ることです。この点は、他のフォトグラファーさんも言っているようですが、僕も感じました。赤の表現がきれいだと全体的に締まりがある写真になります。光の抜け感の幅が広いので、逆光時の耐性が高いです。写真にとって『色』とはその場の空気感をしっかりと持ち帰って、気持ちを伝えるためにはとても重要な部分です。だからこそ、薄っぺらいのはいけない。大事なのは『色の深み』なんです」

shoot on LUMIX S5II

LUMIX S5II + LUMIX S 20-60mm F3.5-5.6・1/100秒・f7.1・ISO2000

色の重要性を語ってくれた森さん。写真の真髄はやはり色表現であることがよく分かる。森さんはさらにカメラの細部へのこだわりについて話す。

「ほとんどのシーンを手持ちでの撮影だったのですが、言われないと気づかないほど自然に手ブレ補正が効きます。効き方があまりに自然なので最初忘れてしまいました(笑)。カクっと嫌な効き方をする手ブレ補正機構があるのですが、LUMIX S5Ⅱは自然にしっかりと手ブレ補正機構が働くので撮影に集中できます。僕が使用した望遠レンズならボディー内5軸手ブレ補正機構+レンズ内手ブレ補正機構が働く『Dual I.S. 2』が作動します。これは超望遠で撮影していることを忘れるほど強力です。 またグリップも前モデルと比べて握りやすくなっています。小指の下のかかり具合がちょうどいい感じで違和感がない。僕の撮影スタイルは片手持ちの時間が長いのですが、腕の疲れはあまり感じませんでした。さらにボディーのカスタムボタンの位置がよく、自分なりにカスタマイズして『マイカメラ』にしていく楽しみがありますね」

shoot on LUMIX S5II

LUMIX S5II + LUMIX S 70-300mm F4.5-5.6 MACRO O.I.S.・1/30秒・f5.6・ISO2000

細かいところに気を配りながら作られたカメラだからこそ撮り手のストレスを軽減させることができ、その結果、いい作品が生まれる。その好循環を作り出しているのがこのカメラのポテンシャルなのだろう。今回進化したAF性能に関しても森さんは語る。

「像面位相差AFも導入してさらに死角のないAFになったのだと思います。今回の撮影では新幹線のような動きの速い車両は試していませんが、在来線の速度域なら十分に追従してくれますよ。特に縦の動きに関して不安がないのは鉄道写真を撮る上では重要なのかもしれません。合焦精度に関しても素晴らしく、車体のネジすらしっかりと写し出します。これだけのスピードと精度があれば、よほどの事をしない限り困ることはないですね」

shoot on LUMIX S5II

LUMIX S5II + LUMIX S 70-300mm F4.5-5.6 MACRO O.I.S.・1/250秒・f6.3・ISO200

鉄道写真と一言で言っても、さまざまな撮り方があることがわかった。そしてどのシーンでもそのポテンシャルを余すことなく発揮できるのがLUMIX S5IIなのだ。写真機として磨きがかかり、撮り手に諦めさせないカメラだからこそ長く愛用できるカメラになる。そんなメッセージを森さんからもらった。

文/大貝篤史 撮影/森 誠